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第70回 螢の帖ー香子が言いたかった事

「玉鬘十帖」は玉鬘が九州から上京し、源氏の世話になりながら、最後は髭黒の大将に盗み取られる様に結婚するという話です。この所、源氏のアバンチュールはうまくいきません。空蟬に逃げられ、末摘花という醜女と二夜を過ごし、また玉鬘にも逃げられてしまうという事です。瀬戸内寂聴さんが「光源氏はいろいろ恋をしたが禁忌がある。それは母と娘を愛さない事だ」とおっしゃってました。そういえば秋好む中宮も六条の御息所の娘で源氏は色目を使うのですが、中宮からもちろん拒絶されています。

「螢」の帖は、玉鬘に恋する源氏の異母弟・兵部卿の宮に源氏は焚き付ける様な事をして楽しんでいます。すなわち、夜、兵部卿の宮の前で隠しておりた螢を玉鬘の方へぱっと話すのです。驚いて袖を顔に当てる玉鬘。また一瞬の妖しきまでの美しさに兵部卿の宮は更に恋心を募らせます。

ある日、源氏は玉鬘に物語論を言います。
「正史と言われる日本紀などは、そのほんの一面しか書いてないのです。こうした物語の中にこそ、細かいことがくわしく書いてあるのでしょう」

この言葉は千年たっても私の心を打ちました。忖度しない、真実の事を物語にして今後とも頑張りたいと思います。

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