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第96回 厳島神社の内侍

忠実の死を聞いて、落胤の娘が母である平重盛は秘かに手を合わせました。
「我が祖父に当たる方か・・・会う事もなかったが・・・」
重盛は平家腹心の盛国から自分の母の出自の秘密を最近聞いていました。

翌年(1163年)になって、忠通の娘で、崇徳院の皇后であった聖子は髪を全て剃る出家をし、病床の父を見舞いました。病気平癒のための完全出家です。父と娘はその数気な運命を思って嗚咽しながら手を取り合いました。崇徳院は讃岐でまだ生きていましたが、傍には兵衛佐がついており、お姫様育ちの聖子は讃岐まで行く気はありませんでした。

その年の春、清盛は厳島神社に参詣しました。そしてその巫女(みこ)の中に、重盛や亡き基盛の母によく似た美しい内侍を見つけました。誘惑に勝てず、清盛は内侍を抱き、やがて内侍は懐妊しました。
盛国が、内侍を息子の盛俊の妻としましたと報告をしました。女児が生まれましたが盛俊の娘として内侍は引き続き厳島神社に住まう事にしました。
「まるで白河院が私を孕んだ母上を、父忠盛の所へ遣わしたと同じじゃな」
清盛は心が痛みました。

内侍との間に生まれた清盛の七女になる御子(みこの)姫君と呼ばれた女婿は18歳の時に、徳子に二代の后を迫った後白河法皇をなだめるために代わりに入内させましたが、美貌であるにも拘わらず法皇は姫を無視し、嫌がらせにお付きの女房に手を付けたりして、悲しんだ姫君はまもなく亡くなったという事です。(続く)

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