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第142回 以仁(もちひと)王の令旨(りょうじ)

源頼政は以仁王に面会し、言上しました。
「王様にとって平家は憎き仇のはず。平家追討の令旨(りょうじ)をお出し下さいませ」
以仁王は驚きました。
「しかし、令旨というのは皇太子以上の者でなければ出せぬものであるが・・・」
「王様ならば皇太子と言っても過言ではありませぬ。どうか自信を持ってお出し下さいませ」
頼政は平伏しました。暗い顔をしていた以仁王は、決意する様に言いました。
「そうじゃな、このままおめおめとおっても朽ち果てるばかりじゃ。座して死すより、予の将来を塞ぎ、煮え湯を飲ませてきた平家に、一泡喰わせてやろうぞ」
以仁王の表情にようやく明るさが見えてきました。

以仁王はそうは言ったものの、頼政が帰った後、不安になり、翌日、京で評判の人相見、少納言伊長(これなが)を召しました。(続く)

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