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第151回 異母兄弟

以仁王以下の多くの首が西八条邸の前に晒されました。
上皇と以仁王とは異母兄弟でしたが、一度も会った事はありませんでした。
高倉上皇は一目見たいと夜陰に乗じて晒された首を供を一人だけ連れて見に行きました。
以仁王は目を閉じて無念の表情に見えました。
「異母兄上(あにうえ)様・・・」
初めて見る十歳上の異母兄はどことなく自分に似ていると思いました。

御所に帰ってからも高倉上皇は衝撃を受けていました。平家の血を引く自分を帝にするために、有能ながら皇位を外されたこと。そして謀反人となって首を晒されてしまった事・・・
『朕には何もできぬ・・・』二十歳の上皇はひたすら悩み、翌年崩御されるのでした。
後白河法皇も以仁王の死の知らせを聞きました。我が子の死です。
「おのれ、平家。清盛・・・許さぬぞ」
以仁王の同母姉の式子内親王も嘆く毎日でした。

しかし以仁王の死は無駄ではありませんでした。それは小さな種としてやがて大輪として花開く運命となったのです。
以仁王のたくさん書いた令旨は全国の雌伏する源氏へと運ばれていったのでした。(続く)

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