Deux Élégies

　　　Ⅰ

空があまりに美しいので
私は疲れてしまう
醜悪な現状を視るのと
同じ位美しい未来は辛い

鳥がのんびり唄っている
お好きにどうぞと私は言う
苛立ちを紛らすコニャックの香りで
一日はそれっきりなのだ

悪い感情が募れば募る程
空はますます美しく　まるで
挑発を受けているかのようだ

疲れてしまった私よ
燃えるならもう燃えてしまえ
太陽よ　空よ━━勝者は君らだ

　
　　　Ⅱ

ぼんやりと
暮れゆく空を眺めていたら
どっしりと━━悲歎ひたんの煙が
私の背中に　肺にと重い

半分死んでいる魂
そのもう半分もまた死にかけ
何が何でも生きてやろうと
そうして私は頑張るのだが

それにもだんだん疲れてしまって
街燈がいとうの　淡いひかりにさえ
心はくらくらと揺らぐのだった

これから長い夜が来る
しずかな風の中で　私はひとり
自らの狂気の予感と闘っている

(2019.4.14)