#7 テレビ朝日に落ちた話

テレ朝のことが大好きだ。学生の時も、社会人になってからも。

なので就職希望先の一つにテレ朝があった。もちろん超人気企業で簡単ではないことはわかっていたけれどそれでも二次面接くらいまでトントン拍子に進んだ。あ、ちなみ交通費もいただきましたありがとうございますテレ朝さん。


繰り返すけど、僕はテレ朝が大好きだ。

幼い頃は戦隊モノでお世話になり、ドラえもんでお世話になり、思春期の頃はミュージックステーションを録画し流行りの曲を覚え、熱闘甲子園で涙し、学生時代はおはよう朝日で天気を知り、探偵ナイトスクープを見ながら酒を飲むのが好きだった。


もしこの記事を読んでいるテレビ志望の学生がいたら言いたい。

ここまでの文章に違和感を感じなかったら、落ちるぞ。

テレビ局のビジネスに関しては人よりも詳しい自信があるのでいつか触れるとして、テレビ局とはコンテンツビジネスである。

アナウンサー志望の綺麗な学生の就活支援をたまにするが経験上、それをわかっていない学生は大体落ちている。

アナウンサーは社員であると共に、番組というコンテンツを華々しく飾る黒子だということをよく理解しなければいけない。

つまりアナウンサーを目当てに番組を視聴するのはごくごく一部の層で、番組に出ているアナウンサーが嫌いじゃないからチャンネルを変えないだけなのだ。ここすごく大事ね。


話が逸れたので戻す。


テレビ朝日の面接時「好きな番組はありますか?」と聞かれ僕は間髪入れずに答えた「熱闘甲子園です」と。

怪訝な顔をする面接官(なんかの番組のプロデューサーだった)に怖じけずにこう続けた「だってあんなにリアルで、人を感動させる番組他にないです。僕も誰かを感動させ、勇気を与える番組を作りたいんです!」


落ちた。

なぜなら、熱闘甲子園はテレ朝ではなく朝日放送制作の番組だったから。

つまり僕は、作ってもいない会社に、別の会社が作ったものが好きです!と力説してしまったのだ。

せめてテレ朝制作の全番組のWikipediaを見て、全プロデューサーの名前くらいは覚えて、面接官と告げられた時に彼の作っている番組の名前を答えられたら受かったのではないかと思う。

要は、大好きなテレビ朝日という会社ですら、僕は浅い情報でしか挑もうとしていなかったのだ。

「就活は下調べが大事」とはよく言う。

けどそれは決して表面的な情報だけではなく、その本質や仕組みまで理解する。という事を示す。

別に弊社の採用サイトに書かれているキャッチコピーに惹かれました!って言われてもこっちはピンと来ないし、最悪の場合そのキャッチコピーって広告代理店が考えてるからね。


テレビ朝日に落ちたあと広告代理店に入り、テレ朝とよくお仕事させていただく機会があるが、元テレ朝人事の人に言われたことがある。

「あなたを落とすなんて弊社の見る目のなさがヤバい」

いやいやそうじゃないです、僕があまりにも御社の事を真剣に考えていなかっただけなのです。だって好きな番組聞かれて、熱闘甲子園だって言っちゃったんですよ僕!

って告げると、その人は笑ってた。

もう一度就活できるなら、僕はテレ朝に行きたい。

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