保育に関する問題についてちょっと考えてみた

保育所作りたくても… 住民が騒音など懸念、延期相次ぐ

http://www.asahi.com/articles/ASH3W76FKH3WUTIL04M.html

少し前、このようなニュースを見かけた。

最近・・というわけでもないけど「待機児童」の問題は聞くようになってきました。

最も待機児童数の多い世田谷区では約1100人ほどの待機児童がいるようです。

これは世田谷区の5歳以下の子供の約0.5%ほどのようで。

ちなみに待機児童とは「保育所等の利用を希望しているにもかかわらずもろもろの理由で利用できないこども」のことだそうで。

さてこの待機児童問題、どういったことが原因なんでしょうか。

まずひとつは保育所の数と料金いう問題。

保育所には認可保育所と認可外保育所というものがあります。東京都の場合は認証保育所という都独自の区分もあるのですがここでは割愛。

認可保育所とは国や地方自治体が定めるさまざまな基準をクリアした施設で、公的資金による援助が受けられます。

そのため、保育料は平均して月2~3万円ほどで、かつ認可を受けるだけの質も確保しているため、大変人気です。多くの待機児童はここに入園しようとしてできなかったのではないでしょうか。

また各家庭の事情によって対応等も変わるそうで、収入が少ない家庭は少ない保育料ですむという利点もあります。

対して認可外保育所は地方自治体の認可を受けておらず、そのため保育園によって施設や教育内容、料金等も大きく異なります。

場所によっては6万円~10万円など、けっこうな額を要求されるため、収入が少ない家庭には利用しにくいというのがあるかもしれません。

認可保育所はけっこう厳しい審査基準で、施設の広さ等も基準に含まれるため、特に東京などの用地の少ない県ではなかなか数が増えにくいという問題を抱えています。

このような状況の中、せっかく増えようとしている認可保育所が、騒音問題に関する苦情で開園を延期するという自体になったのは、待機児童を抱えている家庭には辛いニュースだったでしょう。

実のところ周辺住民、特に高齢の方から騒音に関する苦情が入るというのはけして珍しいことでもないそうで。

子供なんてうるさいのが当たり前、とはいえ、実際に自分が被害を受ける立場になったら反対してしまうということなのでしょうか。

東京のような都会では、他にうるさいもんなんかいっぱいありそうなもんですが。

ただ私自身も、夏場窓を開けて休日のんびり過ごしていると、外から子供の遊ぶ声が聞こえてきて「うるさいなぁ」と思うことはあるので、日常的に子供の騒ぐ声が聞こえるとなると反対する方の気持ちはわからんでもないですね。



ニュースに関することはこのへんにして、興味がわいたのでちょっと待機児童に関して調べたことをつらつらと書いてみようかと。

待機児童が増えることの何が問題なのか、といえば、0~5歳までの子供の死亡事故の中では、家庭で亡くなる子供の率が高い、というものがあります。

家に親がいたとしても、つきっきりで見ていることは難しいこともあり、様々な事故が起こってしまうことが多いのです。

特に虐待による死者が非常に多い。虐待の原因に関しては様々なものが有り一概には言えないのですが、子どもと離れる時間を作ることでストレスを軽減するというのもひとつの予防法でしょう。

また認可保育園には、そういった問題のある家庭に関して、相談に乗ったり、サポートする団体や施設を紹介するということも業務としてやっているようです。

結果として待機児童は、少子化で少なくなっている子供の数を、更に減らすことになる温床となり得るというのが大きな問題でしょう。

また、家に赤ちゃんを置いて働きに出るなんてことは当然できません。つまり少なくとも夫婦のいずれかは家に残らなければならず、通常の仕事をすることが難しくなる。これは労働人口の減少につながり、日本の国益に影響することでしょう。

さて、ところで疑問に思いませんか。

少子化が叫ばれて久しく、実際に子供の出生率は少ないのに、なぜ保育園が足りないのか?

まずひとつの理由としては、就学前の子供の居場所に関しての義務というものが我が国には定められていない、というものが有ります。

小学校からは義務教育ですから、国としても子供を小学校に入れるあらゆる努力をしなければならないのですが、就学前自動に関しては義務が無いため、あまり熱心にやる理由がないということでしょうか。

2つ目の理由としては、働く女性の増加でしょうか。

もはや「妻は家庭で育児をするのが当たり前」とも思われなくなってきているいまの時代、自分のため、家庭のため、働く女性は多くなってきています。

結果として保育園に預けなければならない子供の割合は増えてきているといえるでしょう。

3つめは保育士の不足です。

これは保育士になろうとしている人が少なくなっている、というわけではありません。

実は保育士の資格を持っていながら保育士の仕事をしていない「潜在保育士」はかなりの数がいるそうです。

ではなぜ彼らは資格をとっていながら保育士をやらないのか。

それは保育士の待遇が非常に悪いからだと言われています。

特に給与の面はひどい。多くの保育士は年収300万円以下で、手取りが12万円程度というのも珍しくないそうです。同年代のサラリーマンに比べ給料が安く、かつ昇給や昇進の見込みもほとんどない。こうなれば人が離れるのは当たり前です。

保育士の仕事は体力的にも精神的にもきつい、というのが保育士のみなさんの感想です。

実際、こどもと遊ぶのは、親となっている方ならわかられるのでしょうが、体力をけっこうつかいます。

かつ保育士としては怪我などがないように、また健全な成長を促進するように、様々なことに気を配らなければなりません。

最近ではいわゆる「モンスターペアレント」のような方も増えているそうで、理不尽な、行き過ぎとも言えるクレーム対応に苦しんでやめられた方も多いそうです。

去年だったか、保育士の方が忙しい時期に妊娠したことに関して、「無責任だ」などのクレームがはいり、結局やめることになったという事件がありました。

また、男性の保育士に関しては特に風当たりが強いそうです。たとえば赤ちゃんがウンチをしたらおむつを変えるのは当たり前ですよね。しかし女子児童のおむつを男性の保育士が買えるのに関して文句を言われるという例はけして少なくないようです。

給料は安い。待遇も悪い。労働は過酷で、クレームもガンガンくる。

こんな職場で働きたいという人がはたしてどれだけいるでしょうか。

かくして保育士の数はへり、ひとつの保育園に入る児童の数が増え、目が届きにくくなった結果死亡事故がおこってしまうこともある。そうでなくても負担は増え、結局辞める人は増える。

保育問題はこのような様々な問題の悪循環によって構成されているといえるでしょう。

解決策があるどころか、年々ひどくなっているような気もします。

このような状況下で、われわれ市民はどのようにするべきか。

まずは選挙など政治面の努力。こういった問題に関し「具体的に」対策を考えられている議員の方が増えれば、多少なりとも問題は解決に向かうでしょう。

次にある程度の余裕ができてから出産するということ。子供は天からの授かりもの。 いつ産もうときめて産むことは不可能です。しかし避妊等で産まないことはできる。

経済的な基板や親、地域のサポートなど、数年先までを見据えて「うん、産んでもやっていけるな」と思ったら産むのも解決策でしょう。

最後に保育士の方への感謝の気持ちですかね。

個人的にはこれが重要だと思っています。

正直、子供なんて何をするかわからない生き物です。乳幼児ならなおさらです。

怪我などを一切しないことなんて不可能なんじゃないかと私は思います。むしろ深刻ではないケガなら、子ども自身の成長にも良いものではないかと思うくらいです。

体罰はアレですが、しっかり叱ることも教育のうちでしょう。

それならば、ちょっとしたケガをしたとか、叱られて泣き止まなかっただとか、その程度のことで保育士さんに責任だどうだ、とまくし立てるのはいかがなものでしょうか。

そんなに他人のやり方が気に食わないなら自分でやればいいのです。できないのなら自己責任と言っても過言ではないのではないでしょうか。

もちろん明らかな過失の場合は例外ですがね。

感情的にならず、しっかり事実関係を把握して行動してほしいものです。

こうやって何かあるたびにクレームを付けると、保育士さんの態度もおざなりになったり、あるいはやめられてしまい結果として保育園の運営に悪影響を与え、こどもにも悪影響を与えることは十分考えられます。 保育士さんだって人間です。義務を果たす努力はしても100%を期待するべきではないと思っています。

それよりはお迎えの時に「いつもありがとうございます」と言ったり、大したこと無いミスは「気にしないで」という寛容の心を持つことで、結果的に子供の利益になるのではないでしょうか。

長々と書いてしまいましたが、こういった問題に関して、ひとりひとりができることはけして少なくはないのではないかと思うのです。 身近な問題を政治のせいにする人はよく見かけますが、100%政治が悪い問題って、実は少ないと思いますね。

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