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「日帰り観光」におけるゲームデザイン

今回は「日帰り観光」というキーワードが持っているゲームデザインを考えてみます。

■日帰り観光の定義

日帰り観光とは、「宿泊をせずに目的地に行き、その日のうちに帰ってくる旅行」のことです。
それゆえ長い期間を使って遠くに行くことはできず、短期間で移動可能な近場へ旅行することになります。

■モデルコース

モデルコースというのは、時間に対応する観光地の具体的なタイムテーブルの例を提示したものとなります。
例えば、11時に温泉街を散策、12時に旅館でランチ、15時にカフェにいく、などです。日帰り旅行は、時間との戦いなので、最適なルートで無駄なく行動しなければならないので、こういったチャートがあると満足度が高い旅行ができます。

■日帰り観光のゲームデザイン

日帰り観光をゲームで考えると以下に置き換えが可能です。

* 時間の制約があるレースゲーム的な面白さ
* 時間の制約の中で、満足度を最大限に高めることが目標のリソース管理(最適化)ゲーム
* モデルコースを使えば、最短で満足度を高める RTA (リアルタイムアタック) が可能

1週間を使ってノビノビと旅行を楽しむのも良いけれども、短期間に要素をギュッと詰め込んで満足度を得られる日帰り観光も、また別の魅力がある、ということです。

■日帰り観光は、「時間の制約」を取り入れることで別の楽しみが生まれる


日帰り観光は、1日のみ、という制約で旅行を行うことで新しい面白さを生み出しています。
これで思ったのが、GMTK Game Jam 2018 です。"GENRE without MECHANIC"というテーマで行われたグローバルゲームジャムで、その意味「あるゲームジャンルからそれを象徴するゲームシステムを取り除け」だそうです。
例えば、以下のような発想です。


* Platformer(ジャンプアクション)からジャンプというメカニックを取り除いたらどうなる?
* シューティングゲームから、弾を撃つという要素をできなくしたらどうなる?

その中で生まれたベストゲームが以下の動画で紹介されています。

個人的に面白いと思ったのが「7:09」から始まる「Won't look back」というゲームです。
後ろに移動することを取り除いたパズルのようなゲームで、今までありそうでなかったのが新鮮に感じました。

■日帰り観光は要素を絞ったワンコンセプトのゲーム

さらにここから考えられるのは、日帰り観光の満足度を高めるには、コンセプトを絞る必要があります
日帰り観光であれもこれもやろうとすると、すぐに時間が足りなくなります。
なので、観光する場所を決めたら、その場所にある名所や美味しいお店を中心に行動を行います。

ヨーロッパのツアー旅行が、様々なゲーム要素が詰め込まれている AAA タイトルのゲームだとすれば、日帰り旅行は、キラリと光る1つの要素に絞ったインディーゲームのようなものです。

個人制作のゲームでは、期間の制約や技術やお金の問題があるので、あれもこれも詰め込むと破綻するので、何か他よりも突出した面白さがあれば、それに特化していった方が、他よりも差別化されたゲームとなります。

■まとめ

* 日帰り観光は、時間の制約がある RTAであり満足度を高めるリソース管理ゲーム
* 個人制作のゲームはワンコンセプトの作り込みで勝負する

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