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四角い箱の中の秩序

コンビニ人間を読みました。読むのは初めてです。

ちょっと変わった主人公は、コンビニで長くバイトをしつつ、その事が周りからはおかしい、まだバイトなのかよ、結婚しないのかよ、恋愛とか興味ないの?とか言われ、それが果たして正しい事なのか、全く理解できないような人。世間と自分の距離感をずっと不思議に感じつつ、生きています。
ある日、コンビニに新人として新しい人が入ってきます。その人は「一般的視点」から見るとちょっとおかしい人で、あぁ、社会不適合者なんだな、、という言葉で一緒くたにされるような人。その二人が、、、ここからはネタバレになるのでやめておきます。

表紙

この表紙、最初は全く意味が分かりませんでした。
けど読んでくうちにちょっと分かってきた。
きっと、これ、コンビニなんすよね。
コンビニに中には秩序があって、その中に入れば矯正されると主人公は言ってます。私はコンビニで働いたことがないのである程度想像も含みますけどきっとたくさんのルールがあって、そのルールによってコンビニという世界が成り立っているのでしょう。どんなにとんがった人がバイトで入ってきても、いつの間にかそのルールによって矯正されていくことになるんですね。きっと、この表紙にある、四角い箱からうにょうにょと出ているものたちはその、とんがったものなんだろうなぁ。人それぞれ、違った個性を持っていますけど、制服を着ればみんな同じ秩序の中で生きる生き物になっていく。この辺りはちょっと一種のプロパガンダを表しているのかなぁ。プロパガンダ?なんというか、一定の秩序を持って、一つの方向を向かせる的なヤツ。言葉を知らずすみません。

普通ってなんだろ

みんな違ってみんないい、っていうのは私のnoteで何度も書いていますけど、この物語は、一般的に見たら変わっている方の人から見た、いわゆる世間に対して謳っていて、主人公が語る「違和感」についてじっくりと考えさせられる話だなぁと思いました。
あらすじのところに書いた、新しい人が、「多様性を受け入れろ!と言いながら全然受け入れてない!」みたいな事を物語の中で言っていて、そこが一番心に残りました。
結局、「社会」に入っていくためには、「社会」が多様性を受け入れるのではなく、「個人」が多様性をなるべく無くして平たくして、「社会」に溶け込んでいく必要がありますよね。
主人公が目の当たりにする「社会」は、家族や友人たちとの会話から垣間見ることができます。そっちに合わせなきゃいけないとか、そういうのって、「社会」に溶け込んでいく必要があるからで、そういうところで努力しなければ、いわゆる「社会不適合者」になってしまうのかもしれません。
いや、けど、決してそれが悪いかというと、そういう話ではなくて、人間という生き物にはいろいろな幅があるので、どこまでが普通かという話よりも、むしろ普通なんてないという現状をきちんと受け入れつつ、生きていくべきなんだよなぁなんて常々思います。

まとまってないけどそんなことを思いました。

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