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わたしの青いワンピース

たった1度、祖父と真夏の国へ行った事がある。
当時私は小学生で、違う言語が飛び回るのが怖く、祖父の後ろに隠れていた。

ある日、「服を買おう」と、祖父は数多の布を扱う店を指し示す。
生地から選び、採寸し、服を作る所に子供の私を連れて行ったのだ。

今まで親が選んだ既製服しか着た事が無い。
だから選べないと言うも、祖父は首を横に振る。

「1番好きな色を選びなさい」

ここはまるで布の海だ。
その中からたった1つ選ぶのは、真珠を見つけるより難しい。

自分の1番好きな色。好きな色。
呪文のように唱えて探すと、やがて1枚の布が私の前に現れた。

深く澄んだ青色に南国の花が咲く。
まるでこの国のように美しく、眼を惹きつける。

(何て綺麗なの)


やがてワンピースになったその1枚に袖を通すと、祖父は満足気に頷いて言う。

「こんなに美しく、世界で1つだけの服が似合うお前は、何処に行っても素晴らしい人間だと思わないか?」

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