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真空ジェシカとさや香の2本目

真空ジェシカの得点がめくられていく時、とても悔しかった。ガクが3位に入れないことを悟った時の表情が忘れられない。

川北が審査員のコメントを真面目に聞いてる時、「いつもみたいにふざけてくれよ…」と思った。じゃないと悔しいだけじゃないか、と。

審査員が「もっと攻めてもよかった」と言ったが、それは「君たちはここらへんが限界だ」と言ってるのと同じだ。去年のようなネタをやれば「難しかった。もっと笑いたかった」と言う。

真空ジェシカが優勝するにはどうしたらいいのだろう? 真空ジェシカの優勝は、ひねくれた現代の若者の優勝でもある。ちょっと前、「真空ジェシカはすでに若者の支持を得ているから、優勝しなくても大丈夫」と思っていたが、やっぱり優勝してほしいと気づいた。敗退の瞬間、本当に悔しかった。同時に焦りも出た。「審査員が飽きて、来年は決勝で見れなかったらどうしよう?」と。真空ジェシカがいないM1は、僕にとっては少しだけつまらないものになるだろう。見るけど。でも心から応援したいと思う芸人ってそう何人もいない。


さや香の2本目。素晴らしいと思った。隣でお母さんが「あかんな」と言ったが、僕はそれにムッとして「いや、俺はすごいいいと思う。さや香の気持ちは分かる。審査員もそれを感じてるはず。ある意味では令和ロマンを追い込んでいる」と、普段全くお笑いを見ない母に真顔で反論してしまった。

僕は去年から、さや香のことは好きでも嫌いでもなかった。で、今年ファイナリストに残ったことを知った時、「はいはい、さや香ね」と思った。つまり、そこまで期待していなかった。さや香が優勝したとして、一体何が変わる?と。

でも2本目をやっている時の新山くんの表情をみて、「頼む……審査員にだけ伝わってくれ…!」と思った。さや香の挑戦的なスタイルにグッときた。こんなに度胸のある人たちだったとは知らなかった。舐めていた。特に石井くんだが、いつも不愛想で見た目も普通だから、僕は新山くんよりも当たりを強くしている。でもこのネタを2本目にすることを同意したという点で、見る目が変わった。目先の優勝よりも、自分たちの意思表示を優先したさや香にアッパレ。

そう、僕は令和ロマンみたいに自信があってセンスがあって華もあって、なおかつスカしているわけでもない可愛げのない若者が嫌いなのだ。



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