麻雀との出逢い①

「怪太くん、雀鬼見てくれ!これは業務命令や(笑)」

デスクで仕事をしている俺に、そう声をかけてきたのはエリアマネージャーの妻形さんだった。

「雀鬼ってなんですか?」

「YouTubeであるやろ!いま調べてみ!」

「今ですか?(笑)」

「そうや」

仕事はちょうど暇な時期だったから、すぐにYouTubeで雀鬼と検索するとヒットした。仕事中にも関わらず俺はYouTubeで雀鬼を見ることになった。

ちなみにこの当時、麻雀は一切やったこともなく興味を持ったことも一度もない。でも仕事中にYouTube見てよいと上司に言われたならラッキーって感じだった。

そして俺は、すぐに麻雀の虜となっていった。

雀鬼は麻雀の技術的なことは殆ど描かれず、男と男のプライドや命を賭けた闘いという、わかりやすく熱いストーリーがメインであり、麻雀の知識がゼロの状態でも楽しめるドラマだった。

さらに【ツキ、運、流れ】など目には見えない物を感じ駆使して勝利を掴みとる麻雀の神秘的な魅力も存分に描写されており興味を掻き立てられた。

「めっちゃ面白いっすね!俺も麻雀やってみたいです!」

「怪太くんならハマると思ったわ!そしたら麻雀のルールをネットで検索したら出てくるから勉強してや!」

「はい!」

なんというとんでもない職場である(笑)

俺は、それからネットで麻雀のルールや役の勉強を始めた。麻雀はルールが他のボードゲームより圧倒的に複雑で覚えることがたくさんある。

「妻形さん!フリテンってなんすか?」

「フリテンってのは、自分が捨てた牌では出アガリできないことや!」

「捨ててない牌でも出アガリ出来ませんけど!」

「4マン捨ててるから7マンも出アガリはできないんや!自分が捨てた牌がアガリ牌に含まれて時点で他の待ちもフリテンになるんや!」

こんな感じで、わからないことはなんでも質問して答えてくれたお陰で、わりとルールや役を覚えることが出来た。

もう一度言うが、これは仕事中の上司と部下の会話である。

こうして俺は麻雀の世界へ足を踏み入れていった。

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