4/3の告白

〇設定 注意書き
・あなた君(♂)が虹ヶ咲を卒業、桜坂しずくと付き合ったから6年後の話
・今作品は2023年度桜坂しずく生誕祭の為に作った短編小説ですので細かいストーリーは出る予定はないです。
・本作品は「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」様の二次創作となります。二次創作が苦手な方はご注意ください。

4月2日午後11時45分 桜が満開になってからもう3日ほど経つ。 まだ桜が綺麗であり続ける期間の半日ほど過ぎた時期だ。 自分達以外誰も歩いていない川沿いの道を歩き続けて10分ほど経った。 この道を歩き始めてお互いに何も話せていない。 毎年この日に夜桜を見に行ってから今回で5回目である。 別に特別桜が綺麗でもあるわけなく、近くに良い店がやってるわけでもない。 それでも毎年歩き続ける。 桜坂に告白してから6年が過ぎ、この道を2人で歩くのが5年目だ。 ただ歩き続けた、幸せを噛み締めながら。 ただ、今年はいつもと違った。 風景とか桜坂の様子とか天気が違うわけではない。 いつも桜坂の手を握る左手とは別に右手に小さな箱を握っていた。 あと15分で桜坂の誕生日であり、その日に婚約指輪を渡すつもりだ。 だからこそなのか、心が落ち着いていない。 「先輩…どこか具合が悪いのですか?」 いつもと違うことに気づかれたのか桜坂に心配された。 「いや、何でもないよ。ただ昔を思い出しただけさ。」 不器用な誤魔化し方だったが意外にも出会った頃の話を自然にできるきっかけとなった。 出会いと数々の出来事、付き合ってからの幸せと辛さ。全てと言うと大袈裟になるが、大抵のことはお互いに共有して生き続けた。 長話をしてるうちに0時まであと10秒だった。 長話のおかげか、緊張は解けて覚悟だけが残っていた。 少し深呼吸を声を出そうと桜坂に振り向くと顔がいつもより近くにあった。 俺が言葉を出すより前に互いの口の距離が0となった。身長差がわりとあるせいかそのまま桜坂は体勢を崩した。 慌てて支えてお互いに転ばずにすみ、互いに姿勢を正した。 「驚かせてすみません先輩。誕生日の日にちになるのと同時に唇を合わせるのがやってみたいことの一つでして…」 桜坂は顔を赤くして話してくれた。 何か恋愛小説か舞台劇のロマンチックな展開に憧れたのだろう。そんな桜坂の可愛らしさにニヤケが出そうになるが我慢して謝りを許し、 再び互いの口の距離を0にしてから話すべきことと右手に握り締めていた小さな箱を渡した。 しずくは涙を零した。零れた涙と左手の薬指の輝きをこの先忘れることはないだろう。

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