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秘密

タイトルだけだとなんじゃこりゃなのですが、
好きな漫画の記録です。

友人と学生時代、
人生で好きな漫画3つに絞るならどれ?
という話で盛り上がったのですが、
私は中高生の頃に出会った
スラムダンク、彼氏彼女の事情、秘密
を挙げていました。

その中で今も続いている作品「秘密」について。

作者は清水玲子さん。
私は友人に貸してもらって知りまして、他の作品も一通り読みました。
「輝夜姫」も大好きなので全巻家に揃えています。

あの壮麗な作画と残酷でありながら社会の縮図のようなストーリー。
フィクションかつ少女漫画のジャンルで
ここまで人間の抱える闇に深く切り込んでいくのか…と
中学の頃読んだ時ににそれはそれは衝撃を受けました。
あと単純にグロテスクでホラーな描写もあり
当時はひええええと思いながら読んでいました。

「秘密」は、未来の日本が舞台です。
死んだ人の脳をスキャンすると生前見ていた映像を見られる技術があり
"MRI捜査"と呼ばれ凶悪犯罪の解決のために使われるというもの。

ちなみにその昔、
割りと豪華キャストで実写映画化もされました(が、コケました)。

主人公の薪剛、
個人的に2次元キャラクターで好きな人TOP3に入るのですが
眉目秀麗で頭脳明晰東大首席レベル、
しかし生い立ちが過酷でかなりのパワハラ気質。
漫画だから許される設定盛りまくりキャラクターです。

彼は科学警察研究所の法医第九研究室という場所の室長、
役職は警視正というエリートです。
(見た目より実年齢は上ですがそれでもかなり若い警視正)

私はこの方の
ドぎついことも言うけれど第九メンバーを大切に思っているところが好きなのですが、
特に、自分の周りの人以外には容赦無いところも好きです。
この人格形成には過去が大きく関与してると思うのですが、
それにしてもあまりにも大きなトラウマをいくつも抱えているので
読んでいて
「清水さん、そんなに薪さんをいじめないで…」
と作者にお願いしたくなるレベルです。
ネタバレになるので言いませんが…。

この作品は犯罪の規模がワールドワイドなのですが、
めちゃくちゃ設定がしっかりしているので
「いやいやそれはおかしいやろ」と思えないところも流石です。

ヒット作を生む漫画家さんって調査力とか組み立て力が凄いですよね。
絵が描けるだけで凄いのに、
物語を考えて、それについて調べて、コマ割りを考えて、絵を描く。
舞台でいうと脚本演出衣装装置進行全てやっているようなものでは?

話が逸れました。
「秘密」は一度完結したのですが、
現在はSeason0というシリーズで連載されています。
最後に出た新刊から2年が経ちますが、
その後の予定がなかなか出ません。
お元気なのでしょうか清水さん…。

もともと主人公の薪さんと大学時代からの友人で同じ第九に配属となった鈴木くんの関係性がとても好きだったのですが、
Season0の1巻で薪さんの壮絶な過去が明かされたと同時に
本編では無かった大学時代の2人を知ることが出来てそれはもう…
スピンオフを書いて下さったことに感謝しました。
でも鈴木くんのエピソードを読む度に
お前はもう…いないのか…(byオスカル)と毎回悲しんで泣いています。

結局のところ人間って冷酷だしこの世は無情。
清水さんはそれを適当に丸め込んでハッピーエンドにしない、
良い意味で非情なところを私はとても信頼しています。

「秘密」は色々な言葉が刺さりますが、
本編ラストの薪さんの心情を綴ったような言葉が大好きです。

"この世に生きている限り 守るべきものは出来てしまう
全部無くしてもまた 全部無くした筈なのにまた
大切なもの 失いたくないものは生まれてくる"

まさにそれが、"生きる"ということなんだなと噛み締めました。
欲しくなくても失いたくないものが出来てしまう。
そうやってしか人は生きていけない。

私はポジティブなほうの人間だと自分で思っていますが、
それは一度きりの人生楽しんだもん勝ちだと思っているからというだけで、
"生きる"ことを直視した時に
前向きでも後ろ向きでもない正直な気持ちは、
この言葉の通りかもなぁと思っています。

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