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キャンベラ旅行記

シドニーに留学してる大学生です。イースターで授業が無くなって暇になったので、旅行してきました。メルボルンなどの他の都市でも良かったのですが、なんとなく電車旅がしたかったため、行き先はキャンベラになりました。備忘録的な感じで書いてますが、今後キャンベラあるいはオーストラリアを訪れる方の役に立てれば幸いです。

写真はすべて私が今回の旅で撮影したものです。1枚はiPhoneで、残りはすべてNikon Z5とNIKKOR Z 40mm f/2を使用しています。


1日目

シドニーのCentral駅で仲間と集まり、午後5時半発〈キャンベラ行〉電車に乗りました。Central駅にはシドニー市内をつなぐ路線と都市間鉄道の路線が乗り入れています。前者は交通ICカード(Opal Card)をタップして改札を通るのですが、今回乗ったキャンベラ行電車はなんと改札がありません。全席指定席となっており、車内で確認する方法を取っているんですね。

ホームから見た列車
車内のようす

A, B, C, Dの4両からなる列車で、高速バスっぽいクロスシートになってます。今回は事前にウェブサイトで4人分の席を購入しており、我々は通路を挟んで横1列に配置されました。アナウンスを聞く限り、席はすべて埋まっているらしいです。

列車が動き出した時くらいに、乗務員が乗客名簿を見ながら名前を確認しに回ってきます。購入時に与えられるデジタルチケット(QRコードがついていて、iPhoneなどのWalletアプリに追加できる)は一度も求められませんでした。

市街地から田舎へと抜けていくのを見るのが面白い

しばらく乗っていると、乗務員が車内食のメニューを見せに来ました。5種類ほどの料理の名前と価格だけが手書きで示された回覧板みたいなものを渡され、しばらく悩んだのちに乗務員に注文を伝えました。

30分後くらいに、車内アナウンスで食事の用意ができたことが知らされます。暇つぶしにやっていたマリオカートを中断して、小さな購買のある車両に移動して、パンと食事が入った小さな段ボール箱を受け取りました。

受け取る場所です。
車内食。パンとバターが付いてくる

ゴミは定期的に乗務員が回収しに来ます。日本と比べて分別が緩いので楽ですね。

午後8時を過ぎると外はほぼ暗闇です。適当にゲームをしたり、駄弁ったりして暇つぶしをしました。列車はかなり揺れるし、だいぶ遅いです。日本の新幹線は偉大ですね。

午後10時前にCanberra駅につきました。一応キャンベラと他の都市をつなぐ大事な鉄道駅のはずなのですが、駅舎はめちゃくちゃ小さいし周りは本当に殺風景です。首都とは思えないショボさに驚愕しながら、キャンベラ中心街に向かうバスに乗ります。

駅舎の外観

ACT(Australian Capital Territory、オーストラリア首都特別地域)の公共交通機関を利用するには、MyWayカードという交通ICカードが必要です。コンビニなどで売っているのですが、鉄道駅近くには売っている場所が1軒もありません。バスの運転士に「MyWay持ってないんだけど…」と伝えると、渋々無料で乗せてくれました。

これが首都の鉄道駅のバス停である

キャンベラ市内を東西に横切る湖(たしか人工湖)があるのですが、宿(Airbnb)は湖の北に、駅は南にあります。バスに乗っていても周りがほとんど真っ暗なので驚きました。London Circuitの北端でおろしてもらい、Ezymartというコンビニへ向かいます。Airbnbのアプリに表示されたコードを店員に伝えると、宿の鍵を受け取ることができました。ついでに交通ICカード「MyWayカード」を買っておきます。カード自体にA$5かかり、そこに任意のチャージ額が上乗せされる形です。

MyWayカード。映画館の会員カードみたいなデザインである

宿まで歩き、無事に部屋にたどり着くことができました。宿の近くにあった日本食レストランでA$9もする唐揚げ(5個入り)を買って帰り、ベッド決めのじゃんけんをして、シャワーを浴び、眠りにつきます。

2日目

窓から差し込む日の光で目が覚めました。今回はゆったりとした旅程なので、快適な「遅起き」ができました。

街自体はそこそこ広いのに高層ビルが全然ないのが特徴的

トーストを食べ、TVを観たりしながら適当に過ごします。お昼前になって、料理を始めました。イースター期間によりレストランやスーパーが営業していない可能性を危惧した我々は、あらかじめシドニーで食材を買っておいて、宿の設備で自炊をすることにしていました。まぁ、実際にはけっこうな割合で営業してたんですけどね。

おいしいパスタつくったおれら

午後2時くらいになって、オーストラリア国立博物館(National Museum of Australia)に向かいました。旅行とは思えないスローペースですね。街を見たい&歩けない距離ではないので、宿から徒歩で行きました。

途中でみかけたオシャレなビル
町並みはこんな感じ
前述の人工湖のほとりまで行ける
これが南北をつなぐ主要な橋である

博物館に着きました。入場料は無料です。館内が複雑怪奇な形をしているので、受付のお兄さんから説明をうけてパンフレットをもらいました。展示内容は本当に多岐に渡ります。

博物館の入口部分の外観
エントランスホール
山火事により天板が溶けた公衆電話
道具とか骨とかが、地域別に展示されていた
正直あんまり説明文よんでない

2時間くらいで見終わったので、宿に戻ります。全員が歩きたくないと表明したのでタクシーで帰ることにしました。中国発の配車アプリ「Didi」で使えるクーポンがあったので、無料で乗ることができましたが、車内は生乾き臭がしたので微妙でした。

宿に戻ってすこし休んでから、オーストラリアの主要スーパーマーケットチェーンのひとつ「Coles」へ食材の買い出しに行きました。イースターだから人出が少ないかなと思っていたのですが、そんなことはなかったですね。

夕食は簡易なカレーをつくった
赤ワインとオレンジジュースを混ぜると美味い

この晩はカードゲームで盛り上がりました。「Dungeon Mayhem」という名前で、RPGの原点『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』から派生したゲームらしいです。深夜2時くらいまでやってたと思います。

3日目

キャンベラは、首都機能をシドニーとメルボルンで奪い合わないためにつくられた都市です。そのため、連邦議会や首相公邸、高等裁判所などの政府機関が揃っています。この日は、私が個人的に楽しみにしていた連邦議会(Parliament House)に行きました。

連邦議会は地図でもわかりやすいくらい街の真ん中にあり、便利な場所にバス停があります。3日目にして、我々は初めてMyWayカードを使いました。

連邦議会外観。正直日本の国会議事堂の方が好き

もちろん入場は無料ですが、入るときに厳重なセキュリティチェックが行われます。周りの人は見た感じほとんど外国人で、観光地としてまぁまぁ人気であることが伺えます。

歴代の議員に関する色々な展示がある
屋上に上がることもできる。景色はけっこう良い

連邦議会の建物は左右対称になっていて、西に上院本会議場(Senate Chamber)、東に下院本会議場(House of Representatives Chamber)があります。エントランスとはそれぞれ通路でつながっており、通路からは庭が見えます。特定の階は入れない構造になっていて、そこが議員の歩く場所なのだと想像することができます。

下院本会議場。ニュースでよく見るのはこっち
上院本会議場。下院より慎ましい雰囲気である
建物内にはカフェテリアもある。我々は1枚A$18のピザを食べた

その後、連邦議会の向かいにある旧議事堂(Old Parliament House)を訪れました。1927年から1988年まで連邦議会が開かれていた場所です。こちらも入場無料でした。白塗りの外装がとても印象的で、今の議事堂より好みです。

旧議事堂外観
かつての下院の議場。シックな色使いである
こちらはオーストラリアの社会問題や政策についての展示が中心である

旧議事堂の外には、オーストラリア先住民の権利を主張する抗議活動として、Aboriginal Tent Embassyが建てられています。1972年に1本のビーチパラソルから始まったらしいです。もちろん当局からは公式の大使館として見なされていません。

Aboriginal Tent Embassy

その後、(たぶん)キャンベラ最大のショッピングモール「Canberra Centre」へタクシーで連れて行ってもらいました。今回もDidiで呼んだのですが、Tesla Model 3に乗ることができました。人生で初めてTeslaの車に乗ったのでなかなか感動的な体験でした。

Canberra Centreの内観。2階建てではあるが敷地面積は大きい
Apple Storeもあった。くさっても首都らしい

適当に買い物をしてブラブラした後、歩いて宿に帰りました。

道中で見かけたちょっとオシャレなエリア

今晩の食事も自炊です。誰が言い出したのかは知りませんが、アヒージョを作ることになりました。恥ずかしながらアヒージョがどのような料理かすらも知らなかったので、良い勉強になりました。

想像の3倍完成度が高かった。パンは想像の5倍硬かった

この晩は雨穴さんの『怖い家』をはじめとしたミステリー系のエンタメを楽しみました。パロディ動画「察しの悪い雨穴」が好きです。

4日目

ついに最終日です。10時チェックアウトなので、8時ごろに起きて支度を始めました。Airbnbは便利ですが、片付けをするのが面倒ですね。荷物を持って宿を出て、鍵をEzymartの店員に渡せばチェックアウト完了です。

この日は戦争記念館(Australian War Memorial)に行きました。City Interchangeのバス停から10分ほど乗れば着きます。バスに乗るまでは小雨が降っていましたが、着いてからは好転しました。

戦争記念館の外観

こちらも入場無料ですが、チケットを予約する必要があります。入るときにセキュリティチェックとしてバッグを開けさせられ、タグを付けられました。カウンターにてタダで荷物を預けることができます。宿のチェックアウト後で荷物が多かったので、助かりました。

その名の通り、展示は戦争に関係するものばかりです。ボーア戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン派兵などを取り扱っています。展示物は兵器や遺物、模型などが中心であり、グロい系はありません。

年代ごとに各国の兵器がまとめられている
連合国によってつくられた偽の旭日旗
戦場のカメラもあった
かなり精巧なパノラマ模型もあった

見終わってからシドニー行きの列車が出る時刻までかなり余裕があったのですが、特に他に見るものもないので、記念館に併設されたカフェで時間をつぶすことにしました。

A$25くらいしたハンバーガーセット。ポテトが絶品

鉄道駅に行くために記念館からバス停に向かったのですが、これがかなり遠かったです。歩いて40分くらいかかりました。でも、Anzac Paradeという大通りを歩けたので良かったです。

Anzac Parade。奥に見えるのが戦争記念館で、反対方向には連邦議会が見える
信号の押しボタンに貼り付けられた大量のシール。
戦争記念館に入る際に服に貼り付けるやつである

列車は午後5:08発でしたが、4:30ごろには着いていました。外国では時間に余裕をもつことがめっちゃ大事だと思ってます。小さな駅舎にけっこうな人数がいたので驚きました。駅に改札はなく、すべてのホームにそのまま上がることができます。

キャンベラに別れを告げる

一度経験しているので、食事の注文なんかも慣れたものでした。行きの時よりメニューの種類が減っていたのが残念でしたね。行きと違って、①少し早い時刻に出発する ②シドニーより早く市街地を抜ける ので、日の出ている間に長く景色を楽しむことができました。暇な時間は「ペンは剣よりも強し」というカードゲームを遊んでいました。

牧歌的な景色がずっと続く
車内食のボロネーゼパスタ。一部がカッピカピだった

時間は午後9:15。気づけばシドニーのCentral駅に到着です。列車を降り、仲間と別れ、家への帰路につきます。

旅の総括

正直キャンベラで3泊は長すぎました。予定を切り詰めれば1泊とかで十分ですね。ただ、ゆったりとした旅程によって同行者と会話したり遊んだりする時間が多くとれたので、結果的に良かったかなと思います。旅行先で自炊するのも新鮮な感覚でした。

キャンベラという街自体は、まだまだ発展途上だなという印象を覚えました。道路が円から放射状に伸びていたりして特徴的ではあるのですが、今のところアイデンティティがそれくらいしかないのが寂しいです。シムシティとかシティーズスカイラインといった街づくりゲームに出てきそうな街でしたね。

たぶん二度と行くことはないですが、良い経験になったかなと思います。ここまで読んでいただいてありがとうございました。そして、私のアホみたいな旅に付き合ってくれた同行者の3人に感謝を。