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【元ゲームプランナーがボヤく】2023年新春!殿堂・ナーフ予想(願望)

あけましておめでとうございます。t2.microです(現在1月上旬)

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、私は某モバイルゲーム会社でゲームプランナーとして働いていました。

ゲームプランナー時代はイベント企画、ゲームバランス調整、報酬設計、法令・レギュレーション対策辺りの仕事を担当していました。

※ 本記事で役に立つ経験は「ゲームバランス調整」「法令・レギュレーション対策」ですかね

そんな経歴を持つ私が、現在のデュエプレにおける「殿堂」「ナーフ」(以下、それらをまとめて調整と呼称します)予想…
というか「このカードは殿堂してくれぇ」というボヤきをします。

題材の特性上、特定カードについてネガティブな意見も書く予定です。

苦手な方は、
我慢して最後まで読んだ上、この記事に対するポジティブ意見をSNSで投稿してください

それでは、本題はいります。


1- そもそも調整とは?

調整とは、既存のキャラクターやアイテムの「能力」「強さ」「使用可能回数」などを下方修正したり上方修正する行為を指します。

デュエプレで今までに実施されたケースの場合「デュエプレ殿堂」や「能力調整(ナーフ)」がそれに辺ります。

なお基本的に調整はあまりよろしくない行為です。

なぜなら、時間や課金によって収集したゲーム資産(カードやアイテム)の価値を運営都合で改変してしまうからです。

例えるなら、大切に財布に入れていた貨幣の価値を、政府の都合で変えてしまうような行為だからです。

みなさんも突然「はい!来月から旧500円硬貨の貨幣価値は400円とします!!」とか言われたら腹立ちますよね。

そーゆーことです。

また「不当景品類及び不当表示防止法(俗にいう景表法)」に抵触するリスクもあるため、運営としてはカード調整をするという決断は慎重に行う必要があります。


2- どうして調整をするの?

調整は先述の通り、倫理的にも法令的にもリスクが高い行為です。
では、なぜ調整が行われるのでしょうか?

調整が実施される契機として以下の3つを挙げます。

  1. 運営が想定していたゲームバランスを保てていない場合

  2. 運営がユーザに提供したいゲーム体験と反している場合

  3. 売上に悪影響が発生した場合

※ それぞれは独立しておらず、複合して発生する場合も多々あります。
(というか同時に全て発生する場合がほとんど)

次の章では、それぞれを深掘ってみます。


3- 調整するかどうかの目安

「2- どうして調整するの?」で上げた3つの契機をもう一段階掘り下げて、
「このケースはやばい!早めに対応しないといけない状況ランキング!」を作ってみました。

※ それぞれデュエプレの過去の例と照らし合わせてみます。

第一位 : Tier GODが存在してしまった!

Tier GODとは「明らかに強すぎる!完全なる一強!」を意味する言葉です。

代表的な例は以下の2枚です。

ブリブリマスターズ
紙から何を学んだのか…

私はリリース初期から遊んでいるのですが、この2枚は完全に常軌を逸していました

一強状態のカードが存在する環境を放置した場合、

・特定カードだけあれば良い→パックを剥く価値がない
・同じ対面で飽きる→ユーザの離脱

といった具合に大きく売上が下がります。
早急に対応することが望まれますね。

第二位 : 提供したいゲーム体験から逸脱してしまった!

「提供したいゲーム体験」とは運営がこのゲームを通してユーザに身を持って経験してほしいコトです。

例えば、「ポケモン」は「広大なフィールドをいろんなポケモンと共に冒険してワクワクを体感してほしい」とか、
「龍が如くシリーズ」の場合、「普段味わうことができないアンダーグランドな世界から桐生一馬の生き様を見届けてほしい」とか、
だいたいそんな感じです。

ポケモンで「序盤の特定の一匹さえいれば余裕で無双できる!」とか
龍が如くで「アイテムでドーピングしてキャバクラで遊んでるだけで桐生さん最強になれる!」といった事象が発生した場合、「提供したいゲーム体験」から逸脱してしまいます。

デュエプレの場合、「スマホを通して、いつでもどこでも『あの頃のデュエマ』が遊べる!」がコンセプトのような気がします。
(だんだん『あの頃』から現代に近づいてはいるけども…)

また、本家本元の「デュエル・マスターズ」のゲーム性も担保する必要があります。

このケースが起因で、デュエプレで調整が実施された代表例は以下の通りです。

ゴーストタッチ。あらえっち。
こいつはマジでやばかった

《ゴースト・タッチ》は「相手の選択肢が狭まる閉塞感」→「トップ解決による坊主めくりマスターズ化」が原因で能力調整されました。

《暗黒凰ゼロ・フェニックス》に関しては「3~4t目あたりから相手の盤面とマナと手札を破壊してロックする」という戦法があまりにもデュエル・マスターズをしていないという罪で能力調整されてしまいました。

しかも、《ゴースト・タッチ》はともかく《暗黒凰ゼロ・フェニックス》はそんなに勝率は高くないけど能力調整したと書かれていたため、かなりゲーム体験を壊していたのだと思います。

ゲーム体験を破壊するカードを放置した場合、

・ゲームが面白くない
・ゲームしててイライラする

と感じるユーザが増えるため、ユーザ離脱につながります。

また、不快に思った旨をSNSに投稿するユーザも増えるため「ゲームイメージの低下」にも繋がります。

こちらも早急に対応することが望まれますね。

第三位 : ミラーマッチが泥沼化してしまう!

ミラーマッチとは「同じキャラクター・戦法・コンセプト同士」でマッチアップする場合を意味します。

ミラーマッチを快適に遊べるかどうかは「運営の手腕」に大きく関わってきます。

そもそも論として、(アクションゲームを除く)対戦型ゲームは異なるキャラクター・戦法・コンセプト同士の方が面白くなり易いです。

なぜなら、ミラーマッチの場合、「戦略性」よりも「運要素」が占める割合が高くなり易いからです。

極端な話、ミラーマッチを行なっている両者の練度が完全に同等の場合、「完全な運ゲー」になるからです。

逆に言えば、ミラーマッチが「運ゲー」なのは仕方ないことだと割り切る必要があります。

では、そもそも面白くなりにくいミラーマッチを、快適にするためにはどのような工夫を凝らせばよいのでしょうか?

結論「泥沼化させない」に尽きます。

ゲーム史において、最も有名な泥沼ミラーはこちらです。

そう。私ナンス!

みなさん、ご存じポケモンの「ソーナンス」です。

「ポケモン対戦」に馴染みが無い方に向けて簡単に解説しますと

  • 自分から攻撃する手段を一切もたない

  • 相手の攻撃に対してカウンターする戦法

  • 対面した相手はソーナンスから逃げられない

という、完全カウンター型のポケモンです。

(注意1) 後に仕様変更により現在はソーナンス自身とゴーストタイプのポケモンは逃げられるようになったため、この泥沼は発生しません。

(注意2) ラスト1匹のポケモンがソーナンス同士の場合はやっぱり泥沼化します

ソーナンス同士が対面するとこんな感じになります。

これが有名なノーガード戦法

なお、フルアタ構成(全部攻撃技)が主流の海外ではソーナンスは禁止、日本でも相手にソーナンスがいる場合は互いにソーナンスを使用禁止、というローカルルールが存在していたようです。
ソース : ポケモンwiki

このミラーマッチが起因で能力調整された例はデュエプレには存在しません
(私の記憶の中では…)


4- ここからが本題!殿堂・ナーフ予想!!

カード能力の調整については一通り解説できました。
ここからは2023年1月現在、デュエプレで実装されているカードの中から、殿堂・ナーフされそう(というかしてほしい)カードをいくつか紹介します。

※ 本記事内において、詳細にカード能力や戦略の解説はしません

エントリーNo. 1 : 若頭 鬼龍院 刃

でっぱつすんな

まず筆頭は《若頭 鬼龍院 刃》です。

罪状は

  • 1ターンあたり長すぎ

  • ミラーマッチ地獄すぎ

です。

このカードはたった1枚から、

  • 盤面展開

  • 盤面処理

  • マナブースト

の全てを行うことが可能で、溜まったマナと盤面を《復活の祈祷師ザビ・ミラ》で砕いて《死海竜ガロウズ・デビルドラゴン》でワンショットをする外道 非常に強力なデッキです。

こいつは悪いことしかしてない
ボイスは好き。カチュアと組んでる時はイカれてた

《若頭 鬼龍院 刃》の調整ミスを疑う点は

  1. 《若頭 鬼龍院 刃》から《若頭 鬼龍院 刃》を出せる点

  2. 《若頭 鬼龍院 刃》の効果がターン1ではない点

  3. 《若頭 鬼龍院 刃》を《堀師の銀》でマナに戻せる点

  4. 《若頭 鬼龍院 刃》から出した《スーパー大番長「四つ牙」》のマナがアンタップインする点

の4点です。

こいつのマナがタップインなのは悪くない
なんでこいつはアンタップインなんだ

相手の盤面がまっさらの状態からでも、1ターンで↓みたいな盤面になります。

こんなんばっかりよ

しかも《若頭 鬼龍院 刃》を使うターンは半ループのような処理になるため、とにかく待ち時間が長いです。

体感5分ぐらい待った後に「ザビミラガロウズ」で蓋をしてくるので、受けてる側としては「永遠にソリティアを見せつけられた上、反撃の隙も与えられずただ56される」という地獄のようなゲーム体験を強いられます。

これが果たして運営が提供したいゲーム体験なのでしょうか?

また、プレイ時間が非常に長いため気楽にスマホでプレイするのも億劫になってしまいます。

いくら盤面を固めようとも、《堀師の銀》で一掃され、いくらハンデスされようとも本体のみならず、《サイバー・N・ワールド》や《母なる大地》で簡単にトップ解決されてしまうので、ほぼ対処のしようがないです。

また、《若頭 鬼龍院 刃》を軸にしたデッキは

  • 相手のクリーチャーをマナ送りにする

  • 自分のクリーチャーをマナから召喚する

という2点に長けています。

では《若頭 鬼龍院 刃》ミラーが発生した場合はどのようになるでしょう?

ざっくりこうなります。

実際にやってみると分かりますが、めちゃくちゃ時間かかります。
(このミラーマッチのストレスがなかったら自分も使いたい…)

また本体が10コストと大変重いですが、自然文明主体のデッキにとって、高コストはそんなにデメリットになっていません。

もう少し能力を考えてほしいですね。

エントリーNo. 2 : 母なる大地

紙から何を学んだんだ

次は《母なる大地》です。

罪状は

  • 全非進化クリーチャー最大8枚体制はダメでしょ

  • 全非進化クリーチャートリガー付与はダメでしょ

  • 一体どの頃のデュエマだよ

です。

このカードはマナゾーンを擬似的な手札として扱うことができ、
全てのクリーチャーを最大8枚体制にすることが可能です。

これが何を意味するかというと、

  • トップ解決能力が爆増する

  • 「DP殿堂」カードを最大5枚積めるようになるため、「DP殿堂」の意味が薄くなる

  • コンボパーツや切り札を「マナゾーン」に置ける

ということです。

すでに《若頭 鬼龍院 刃》デッキで悪さをしていますが、後々もっと悪いことをしそうなので、早めに対応してほしいですね。

またTCG版では《母なる大地》はプレミアム殿堂入りしているため、永らく使用不可となっております。
(TCG版とデュエプレでコストはだいぶ違うけども)

現在のデュエプレでは、殿堂入りしている昔のカード近現代のカードが合わさっているため、「あの頃のデュエマ」はどこかに吹き飛び、これは一体「どの頃のデュエマだ?」となっていますw

紙で調整に失敗したのですから、実装はもう少し慎重になって欲しかったところです。

エントリーNo. 3 : 煉獄邪神M・R・C・ロマノフ

私は好きよこのカード

罪状は

・Tier GODに最も近いゴッド

です。

実装当初から現在まで、形を変えつつ、常に最強クラスに立ち続けていました。

このカードは無対策のデッキをほぼ全て蹂躙する圧倒的パワーを有するため、デッキ構築をする際は常に意識する必要があります。

また現在主流の《3コストチャージャー》→《ヴォルグ・サンダー》という戦法は運要素にかなり左右されやすいため、プレイする側も使われる側も楽しさをあまり感じられません。
(それって私の感想ですよね?)

だいたい悪いのはこいつ

この辺も怪しい枠

(ここからは軽めに記述します)

エントリーNo. 1~3が割と調整されそうだなと思っているのですが、ここからは「ワンチャン調整入るかも」というカードを紹介します。

ゲームから除外の意味がよくわからんかった
おい刃またテメーか
ドラゴンだと思ってた時期がありました

これらのカードの罪状は一緒です

・1ターン当たりが長すぎる!

やっぱり1ターン当たりが長すぎると受けてる側にとってはストレスになります。

デュエプレはあくまで「スマホゲーム」なので
「画面を見ている時間」>>「思考して指を動かす時間」
とはならないようにして欲しいなぁ…

って元ゲームプランナーとしては思っちゃいます。


さいごに

能力調整(ナーフ、上方修正)について解説した上で、現状のデュエプレに対するボヤきもできてよかったです。
(良いガス抜きになりましたww)

本記事を簡単にまとめると、

  • 調整は倫理的にも法令的にもデメリットがある行為

  • こんな時は調整を検討

    • Tier GODが存在している場合

    • 提供したいゲーム体験から逸脱している場合

    • 売上がめっちゃ落ちた場合

  • 鬼龍院 刃はヤバい

  • 個人的には1ターンあたりの時間が長くない方がいい

    • 「画面を見ている時間」>>「思考して指を動かす時間」はナンセンス

ということです。

「いやループ処理こそデュエマだしwwww」
「紙版やってないクセに語るなwwww」
「もっと実績出してからどうぞwwww」
「特定のカードを批判したいだけじゃねーかwwww」

とか思ってる人は②に進んでください。

そう思ってない方は①に進んでください。



以上です。ご愛読ありがとうございました。
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私は運営サイドとしてゲーム開発・運営に携わっていました

これが言いたかった


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