出りょく 8

「わざとくだらなくしたんだよ」
「それわざとでしょ?言いたいだけじゃん」

の『わざと』って何だ?と、ふと思って調べた。
漢字で書くと『態と』と書くらしい。
へぇー、初めて知った。


関西方面の言葉で
「今、家にいます」
の『います』を『おる』と言うことがある。
「今どこおる?」
「今、家おる」
てな感じで。

若い頃はなにせ金が無いもんだから、帰省はもっぱら新幹線のほぼ半値の片道12時間掛かる長距離バスを使っていた。
『水曜どうでしょう』の企画でサイコロで長距離バスに乗っていたが、あれは乗った者でないと分からない苦しみがある。ミスターは「尻の肉が取れる夢を見た」と言っていたが、なんなら乗って4時間ぐらいでケツが痛くなって目が覚めたら最後、もう地獄である。あんだけ長距離バスに乗っていたミスター(どうでしょう班含む)からすれば、尻の肉が取れるというのは夢か現実か分からなかったであろうと思う。見てるこっちは爆笑したが。
なので、帰省する前日から当日にかけては『完徹』するようにした。ゲームしたり、麻雀したり、大酒飲んだりして、とにかく興奮・覚醒させて寝ないようした。バスでは寝るのではなく、気絶に近い状態にするしかない、という策。以降は策が功を奏したのか、一度も起きることなく到着することもあった。が、目覚めたときに「あれ…なんだ、ここ」と、それこそ夢か現実かが分からない状態になることがしばしばあった。
ちなみに自分が使っていた長距離バスの発着は、東京駅か新宿駅西口のヨドバシカメラ前だった。
今、新宿には『バスタ』という一大バスターミナルができたが、もはやよほどのことが無い限り長距離バスを使うことがないので行くこともないだろう。

だからこんな会話もない。

「今、どこおる?」
「今、バスタおる」
「…バスタオル?」
「バスタ」
「は?」
「バスタおる」
「バスタオル」

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