エンカルナ・アニージョ:Encarna Anillo "Nací Canción"
エンカルナ・アニージョのアルバム "Barcas de Plata" (バルカス・デ・プラタ) が Spotify に昨年上がった。
1曲目はアレグリア、"En Cai, La Lola" (カディスのラ・ローラ)、明るくテンポのいいフラメンコで、観客も楽しく手拍子打ちながら一緒に踊ったりするのではないだろうか。そんな明るい広場を想像する。
9曲目の "Barcas de Plata" (銀のボート) もアレグリアで、これがアルバムのタイトル曲だ。他にブレリアが3曲、ソレア、ミロンガ、サンブラ、2曲目の "Haciendo por Olvodarte"はマラゲーニャとヴェルディアルという二つのスタイルの曲とのことだ。
アンダルシアの迫力の歌声や曲はルーツに忠実に、伴奏のギターの演奏や手拍子、合いの手や掛け声、曲によってはコーラスやストリングスも含めた音作り、全てがうまく調和していて現代風にも感じる、そんないいアルバムに仕上がっている。
今日、この記事を書きながら調べていたのだが、どうやら2008年にリリースしたデビューアルバムの再発版のようだ。
カディス出身のヒターナ、1983年生まれというから、まだまだ若手だ。
Spotify では他に1枚のアルバムとシングル数枚しか見えない。なかでも2020年の "Nací Canción" を聴くことができ、これがなかなか楽しめる。
1曲目のタイトル曲 "Nací Canción," ギターのアルペジオから始まり歌の一節のあとからピアノが自然に導入され、コーラスやパーカッションとともに、アコーディオンだろうか間奏のアレンジも表情豊かなポップスでとても気に入った。このところこの曲を繰り返し何度も聴いている。
2曲目の "Alma" も切ない感じのしっとりとしたいい曲だ。
全体的に柔らかいサウンドのアレンジで、フラメンコを根差しながらも落ち着いたポップな曲となっている。その中でも上にあげた2曲 "Nací Canción" と"Alma"とともに、8曲目の "Palabras das Estreias"が気に入っていて、こちらもここのところよく聴いている。
6曲目 "Voy a perder…"や11曲目の ”LesPuetas de Gades"と12曲目 "Cuántas Veces Te He Soñado" は、ピアノやパーカッションなど装飾要素は抜きで、これら3曲はもっと情熱が入った演奏で、普通のフラメンコの楽曲に近いが、こちらも同様に泥臭さが抜けていて、いい感じだ。
"Cuántas Veces Te He Soñado"は、ジプシーっぽい泥臭さをたっぷり残した動画があがっていた。
YouTubeではライブの動画などいろいろ見つかる。テレビ番組でのスタジオライブらしいのが雰囲気よかったので貼っておこう。
このように書いていると、まるで私がフラメンコについてよく知っているように思うかもしれないが、ちょっと齧った程度だ。パコ・デ・ルシアから入門し好きでよく聴いているが、有名どころだけ、しかも私のようなぼんやりと聴いているだけでは、何かを語るのは憚られるところだと思う。
ただ、最近、フラメンコの要素をうまく昇華したポップスや、ポップスの要素をうまくミックスしたフラメンコなど、よく耳にひっかかってくる。ホセ・メルセのような大御所が若手のミュージシャンと共演したりするし、ヴィセンテ・アミーゴやサムエリートなど若手のいいギタリストもどんどん出てきている。
そんなこともあって、 "Nací Canción" を聴きながら、ひょっとしてこれから、フラメンコが世界の音楽シーンを席巻するかもしれない、と妄想しているところだ。
最後にエンカルナ・アニージョのオフィシャルサイトをリンクしておこう。
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