見出し画像

オフェル・ロネン & ララ・タマル:Ofer Ronen & Lala Tamar "Duo Andalus"

イスラエル出身でスペインを拠点に活動しているオフェル・ロネンが、イスラエルの女性歌手ララ・タマルとアルバム "Duo Andalus" をリリースした。この2人はだいぶん前からデュオで活動しているようで、以前からYouTube の動画でいろいろ視聴していた。だから聞き覚えのある曲も含まれるが、改めて新鮮で何度も聴いた。

フラメンコギターとフラメンコのリズム、そしてモロッコの音楽、そしてララ・タマルの歌唱力が溢れる中東のメロディと歌、これらが融合してとても面白い音楽になっていると思う。スペインもイスラームによる支配を受けていたこともあるせいか、音楽も馴染みがいい。バイオリンを太ももの上に立てて弾くアラブの奏法のヴァイオリンもいい味出しているし、ベースもがっちりして好印象だ。それにしてもなんといってもララ・タマルの歌唱が迫力で、すばらしい。私はとくに5曲目の "Recoge Tu Pelo" が気に入っている。

We fused the flamenco guitar, and the flamenco rumba rhythm, with the Moroccan rhythm Chaabi, to create a Mediterranean sound of own. Based on the combination of Moroccan singing, and flamenco guitar. We counted with the amazing collaboration of Elad Levi, who plays Arabic violin, and on the double bass, Adi Gigi.

Lala Tamar & Ofer Ronen | Recoge Tu Pelo (Rumba Chaabi)
概要欄より

3曲目の "Mi niña Lola" もいい。

調べてみたらこの曲はスペインの女性歌手ブイカ(Concha Buika)の 2006年リリースの歌だ。

オフィシャルサイトによるとオフェル・ロネンは、テル・アヴィヴ生まれでレバノンとの国境に近い村で育ったとのことだ。最初、アメリカ帰りのミュージシャンにギターを習い、そのときにフラメンコと出会ったらしい。アンダルシアでフラメンコを習ったあとにイスラエルに戻ったがやはり本場を離れての活動は難しさを感じたようだ。そこでウードを習い、以来、ウード奏者としても活躍している。フラメンコとウードを融合させた自身のスタイルができた、ということである。

ウードはアラブではメジャーな楽器で、ギターの親戚のような弦楽器だ。涙粒を半割にした形の共鳴胴で、バックは寄木で作られる。ネックにはフレットがなく5コースの複弦と1本の再低音の弦の計11本の弦が張られる。柔らかく太目の音が魅力だ。

オフェル・ロネンのウードのソロ演奏の動画もあがっている。


ララ・タマルの歌は力強く、また明るい表情の顔は人を惹きつける。3年前の二人の演奏、 "Gente del Mar Mediterráneo"もよかった。静かなギターのリフレインから始まり、徐々に盛り上がっていく後半は鳥肌がたつほどの圧巻だ。

7年前の"Laylun Ajeeb"も同様にいい感じだ。


オフェル・ロネンの2018年のアルバム "Pormedio" を聴いてみた。

まさにフラメンコと中東の融合した面白い楽曲ぞろいだ。ネットで評価を見て見ると「アンダルシアとイェルサレムを繋いだ」という言葉があった。
ララ・タマルを迎えた1曲目の "Yona" がまさにそんな曲だろう。

2曲目は、Paola Lai をボーカルに迎えてまた違った雰囲気だ。

3曲目のSlencio a Mariaはライブの動画があがっていた。赤い服を着た女性が少し不思議な雰囲気のダンスも披露していて興味深い。

7曲めまでは、ギターを弾いていてフラメンコ・ギターの特有の奏法が心地よい。それぞれの楽曲は、緩急と強弱をまじえた複数のパートからなっていて飽きさせない。7曲目 Solea は前半がギターのソロになっていて、2'03" すぎから入る歌い手とともに、フラメンコギタリストとしての面目躍如といった感じかもしれない。そしてこの曲も 3'30"ごろから、パーカッションと笛が入って、リズムが定まりアラブの調子が入って曲調が変わるのが面白い。後半に進むにしたがい次第に盛り上がって一気に終わる。8曲目の "Storm in a Tea Cup," 9曲目ではウードを演奏しているようだ。柔らかい弦の音がいい感じだ。この2曲はほぼアラブだ。


ララ・タマルと一緒に演奏しているのをだいぶん視聴してきたのに、私としたことが、これまであまり注目していなかった。今回、この記事ももう一度ララ・タマルについて書こうと思い書き始めたのだが、聴いているうちにオフェル・ロネンの音楽に引きこまれていった。不思議な魅力があると思う。

気に入った。


■追補

これまで Lala Tamar の日本語表記をララ・タマールとしていたが、イスラエル大使館による記事(イスラエルミュージック最新レポート・2021冬 (israel-culture-japan.com))の表記に合わせてララ・タマルと直した。この際、関連投稿も見つけたものは直しておいた。意外に言及している箇所は少なかった。見逃したものもあるかもしれないが見つけたら直すつもりでいる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?