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ブイカ:Buika "Mi niña Lola"

先々週に、オフェル・ロネンとララ・タマルのアルバム "Duo Andalus" について記事にした。

このアルバムで特に印象に残った一曲が、"Mi niña Lola" だった。聞き覚えがあったからかどうか、気になってふと調べてみると、スペインはマヨルカ島出身の女性歌手コンチャ・ブイカ(Concha Buika)の歌だった。

これは驚いた。これほど素晴らしい歌手を知らなかっただなんて。 この曲は、2006年リリースのアルバム "Mi niña Lola" のタイトルトラックで一曲目に収録されている。

ハスキーでソウルフル、力がある表情豊かなボーカルで、哀愁をたたえながらも明るめの声だ。一般にはジャズ・ボーカルと位置づけられるだろうけれど、フラメンコ、キューバ、アフリカの要素がたっぷりと感じられ、曲ごとにそれぞれ少しづつ違った顔を見せる。

ピアノの伴奏がsaudade(サダウージ)たっぷりのタイトル曲、2曲目の Ojos verdas がこのアルバムの全体を統一する雰囲気ではあるが、その他の楽曲はフラメンコのテイストが前面に出てギターにベースが印象的だ。どれもいいが、特に気に入った 11曲目の "Jodida Pero Contenta" のビデオクリップを貼っておこう。 

コンチャ・ブイカあるいは単にブイカと呼ばれる María Concepción Balboa Buika は1972年生まれで今年52歳ということになる。スペインのマヨルカ島に生まれ、現在はアメリカのマイアミに住んでいるという。両親は赤道ギニアから来た難民ということで、アフリカの音楽の要素はそんなルーツからも来ているのだろう。デビューは2000年の "Mestizuo," 2005年の "Buika"を経て、"Mi niña Lola"は3枚目のアルバムだ。以来、音楽だけでなく詩集も出版するなど活躍、フルアルバムは 2015年の "Vivir sin Miedo" まで 8枚リリースしている。

哀愁をたたえつつ明るめで力強いハスキーな声は一度聴くと忘れられないだろう。どのアルバムもいいが、一枚、というなら 2013年の "La Noche Mas Larga"を挙げよう。

2013年のグラミー: Best Latin Jazz Album にノミネートされたというこのアルバムは全12曲のうち自身の作曲が 5曲 (1, 6, 8, 10, 11)、他はよく知られた曲をピックアップしている。

3曲目のジャック・ブレルの "Ne Me Quitte Pas" (行かないで)は私も大好きな曲だが、原曲の雰囲気をがらっと変える大胆なアレンジが面白い。ビリー・ホリデイの "Don't Explain" もギターと手拍子のバックでフラメンコ風だ。8曲目の "No Lo Se" はパット・メセニーがギターで参加。

Siboneyは、動画ではBBCのライブがあった。

最後に NPR Tiny Desk Concert 。

自身のルーツのアフリカ、生まれ育ったスペイン、そして中南米の音楽、ジャズ、それぞれが融合して彼女独自の世界ができていると思う。

だいぶん間があいているので、そろそろ新しいアルバムが出てもおかしくないが、どうだろう。

オフィシャルサイトはこちら。


すっかり惚れてしまった。


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