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イリアーヌ・エリアス、ランディ・ブレッカー 「アマンダ」:Eliane Elias, Randy Brecker "Amanda"

女性シンガーソングライターのアマンダ・ブレッカーを初めて聴いたのは2009年、リリースされたばかりの2nd アルバム、「ブラジリアン・パッション」だった。1曲目はイヴァン・リンスの「Ai Ai Ai Ai Ai」、楽しいアルバムだ。

ランディ・ブレッカーとイリアーヌ・イリアスの娘さんで、素晴らしいポップな音楽センスと透明感あふれる明るい声で魅惑する。

イリアーヌ・イリアスといえばブラジルはサンパウロ出身の女流ジャズピアニストにしてボーカリスト、多くのアルバムを出しているが2021年のアルバム "Mirror Mirror"が、Ratin Grammy で Best Latin Jazz/Jazz Album を受賞して話題になった。

チック・コリアやチューチョ・バルデースとのピアノデュオのアルバムである(*1)。

一曲目がチック・コリアの "My Spanish Heart" の "Amando's Rhumba"だ。

他にチック・コリアとは、"Blue Bossa"、"Mirror Mirror"、"There Will Never Be Another You"といったスタンダートの曲を計4曲、リラックスした演奏を聴かせる。チック・コリアとの録音は2018年で、「イリアーヌは本作のミックスダウン中にチック・コリアの訃報に接した」ということである。
キューバのピアニスト、チューチョ・バルデースとは3曲、私にはなじみが曲ばかりだが、いずれもスペイン語の名曲ばかりということだ。


詳しい解説が次のサイトにあったので参考までに。

今年リリースされたアルバム"Quietude"は、ピアノではなく彼女の歌をたっぷり楽しめる。ボサノバの魅力たっぷりでこちらも好印象だ。

先週、NPRの Tiny Desk Concert でピアノと歌のライブを聴かせてくれたが、こちらもしなやかな演奏で、バンドのメンバーとも息があって楽しめる。

この Tiny Desk Concert でベースを弾いているのは今の夫のマーク・ジョンソンだ。マーク・ジョンソンといえば、1978年から1980年までビル・エヴァンスの最後のピアノ・トリオでベースを務めたことで有名だ。多くのミュージシャンと共演しているが、私は、ピーター・アースキンのドラムスと組んだ、ジョン・アバークロンビーのバンド、ビル・フリゼルとジョン・スコフィールドのツインギターでのベース・デザイアーズがとにかく好きでたまらない。

ベース・ディザイアースについては、以前に触れたことがある。

さて、前の夫がランディ・ブレッカーだったわけで二人は離婚しているわけだが、ランディ・ブレッカーもその後、よきパートナーと出会ったようだ。イタリアのテナーサックス奏者、アダ・ロヴァッティだ。伝説のバンド、ブレッカーズ・ブラザーズ、天国に旅立ってしまった弟のマイケル・ブレッカーの後継者でもある。Brecker Brothers Reunion Bandとして新たに結成された。

アダ・ロヴァッティのブリブリ吹きまくるパワフルなサックス、マイク・スターンのギターソロも十分に楽しめる。

ブレッカー・ブラザーズについて、マイケル・ブレッカーについて、そしてマーク・ジョンソン、いろいろ書きたいことがありすぎるが、きりがないので後日に譲る。


イリアーヌのデビューは1985年で以来30枚近くのアルバムをリリースしていてどれもいいが、デビューアルバムのランディ・ブレッカーとの共作が特にいい。心地よいクロスオーヴァーの音、トランペットのソロも柔らかいボーカルもいい。タイトルは "Amanda"だ。


アマンダ・ブレッカーは、2011年にメジャー・デビュー、その次は2018年のアルバム "Way to Be" 、これら2枚だけのようだ。冒頭に紹介した Brazilian Passion以来、全然聴いてなかったのだけど、 "Way to Be"を今日聴いてみたら、少し泥くさい感じのあるリズムに乗って軽快なアレンジと透明感のある明るいボーカルがうまく合っていていい感じだ。アントニオ・カルロス・ジョビンの 11曲目"Águas de Março" や、カエターノ・ヴェローゾの4曲目 "De Noite Na Cama"といったカヴァーも魅力的だ。

6曲目の"Papo Furado" 動画を見ると、ブラジルのバイーアのリズムだろうか、とても気に入った。


お父さん、お母さんのように精力的に新しい音楽を作ってほしいと思うけれども、超一流のミュージシャンに囲まれて育ち、本人も才能ありすぎ、全てにおいて恵まれすぎて欲がまったくないのかもしれない。


いずれまた、いいアルバムを出してくれることだろう。そのときが楽しみだ。


■注記
(*1) 以前に書いた記事「火曜日しばらく雑記帳・26:プラネタリー・ディフェンス 小惑星衝突から地球を守る」から一部書き直して再掲している。

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