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【東京ダンス旅行 3.WCS 】 英雄気分で触れる、WCSの芸術性

ドンピシャのタイミング

日曜日。
素晴らしい予定を午前中に終え、夕方のフライトまで午後の時間が空いていた。
「午後にWCSなんて、あったりしないかなぁ」
数ヶ月前、WCSを習い出した時から教えて頂いている先生の一人、東京のAya先生にダメ元でメッセージをしてみる。

「日曜日の午後、東京でWCSのイベントなんて、あったりするでしょうか……?」
「ちょうど14時から17時まで、Westiemateというイベントがあるよ!ページも見つけたよ!」
先生は、分かりやすくイベントのページとスタジオの場所まで送ってくれていた。
ちょうど、1つ目の予定が終わって向かえ、そして空港へ向かう電車の時間までに終了する……なんと、ドンピシャなイベントだろう!
もちろん、参加することにした。

スタジオのドアを開くと、いかにもダンサーさんという風貌の人達が笑顔で挨拶してくれる。
「これまた、本格的なダンサーさんが多そうだなぁ!まあ、服はジャズライブを聴きに行けるような格好にしたし、浮かないかな?!笑」
私がリラックスできるようにと、主催のおかっち先生とHarukaさんは早速、このイベントに個人で参加している旅人2人を紹介して下さった。

「旅人がイベントに3人もいるなんて、やっぱりここは東京……!」
それぞれ、旅の途中でこのイベントを知ったというイギリス君とドイツさん。
2人ともフレンドリーで、すぐに打ち解けることが出来た。
「どんな旅をしているの?」
「ダンスは他にもしている?どれ位の期間?」
イギリス君の質問にドイツさんと答えて話が盛り上がり出した所で、まずはレッスンが始まった。

レッスンー人気ステップをクールにお化粧

最初に先生が、アシスタントのAyakoさんと一緒にステップを見せてくれる。
見様見真似で、地域の優しく頼もしいリーダーさんと挑戦したことのあるステップだったから、少し安心した。

他の受講生は既に経験者なのか、難なくこの技をクリアし、あっという間に応用へと進んで行く。
次は基本ステップに2つの応用が加わる。

それは、素肌を化粧水でサラリと整えた上で、クールなキャッツアイメイクをして行く過程に似ていた。
「いいリズム感!しかも応用技、すっごくクールなんだけど……!」
皆さんと一緒に応用技を何度も練習して行く中で、先生が私達にアドバイスをくれる。

「もう少し、勢いを加えてみましょう!」
ただステップやその応用を覚えるだけではなく、空間や音を操る所にも入って行く。
「勢いを加えるために、4はアクセントいれて言ってみよう」
先生の言われた通り、ノリよくアクセントをつけてカウントしたら、私の声だけがノリよく響き、皆さんに笑われつつ、褒められてしまった!

フォロワーのクールな応用ステップが終了したら、今度はリーダーの応用技も伝授して下さる。
これまた、ジャズダンス?ヒップホップ?のようなクールなステップだ。
足をクロスしたりリズムをつけたりしながらも、流れるように展開していく。
「こういう応用を自然に入れられるようになったら、どんな踊りも楽しくなるんだろうなぁ……」

クールな技に魅了されていたら、最後は皆で応用ステップと基本技を混ぜて、総復習をした。
音楽は世界のどこにいても、私達の身体に、ステップに、不思議な魔法をかけてくれる。
出来ているか半信半疑だったステップも、音楽にあわせてノリよく動くと、少しはクールに出来ているような感覚になって来る。

外国人がよく来るのか、レッスン中は先生やアシスタントのAyakoさんからも、日本人の私も
「Very good !!」
と英語で褒めてもらえたからか、海外にいるような気分も味わえ、テンションはレッスンの時点でどんどん上がって行った。
楽しいレッスンが終わった後はいよいよ、こちらも楽しみにしていたパーティータイムとなる。

感動続きのソーシャル(パーティー)タイム

レッスン中はもちろん、レッスンが終わる頃にはまた別のリーダーさん達が続々とスタジオにやって来られ、さすが東京、リーダーとフォロワーのバランスもよく取れている。

恩人のAya先生とも初めて東京で会えて、東京でも踊って頂くことが出来た。
「良くなってるよ!うん、この前のレッスンのことも出来てる!今日のソーシャルで、どんどん経験を積んでみてね!」
いつも励ましてくれるAya先生達のおかげで、なんとかWCSを数ヶ月続けられて、こうして東京でもWCSデビュー出来たことが本当に嬉しく、先生の優しさ、WCSを広げたいという情熱には、いつも感謝の気持ちで満ちている……!

Aya先生が言って下さった通り、このWCSソーシャルは素晴らしい経験になった。
10人のフォロワーがいて、3人のリーダーがいるという状況では、どうしても皆さんと譲り合いながら、3曲に1回やっと踊れるという状況になってしまう。

でもここではリーダーとフォロワーのバランスが良いということもあって、ほぼ休みなしのペースで踊り続けられるのだ。
取り分け旅人へのおもてなしにも皆様慣れておられるのか、このイベントに来られた全てのリーダーさんと踊りあかすことが出来た!

「この環境だと、入門者でも上達は早そう。韓国のWCSフェスティバルまで、東京に引っ越したい位……!」

序盤に誘われたドイツさんの流れるようなリードに感動し、次に誘ってくれたイギリス君のリードに圧倒された。確信を持った緩急の付け方、たくさんの独創的な動き、ダイナミクス、音楽の扱い方……レッスンから自信に満ちているとは思っていたが、ここまで別世界に連れて行かれるとは……。

そして東京のスーパーマン級のリーダーさん達が、これまた別次元に入門者の私を連れて行ってくれる。
ベーシックステップも時々入っているものの、いつものステップは何処へ、もはや創作ダンスの世界観だ。
「え……!私、こんな踊りも出来ちゃうの?何、このクールなムーブメント……!こんなにWCSでも、ストレッチを感じられるの?」
曲が終わった後は、歓喜の表情になっているのが自分でも分かった。
そんな私の感動を、温かいリーダーさん達は喜び受け入れて下さっているようだった。

入門者を一人前のダンサー気分にさせてくれる、異次元レベル素晴らしいリーダーさん達のおかげで、これまでもそれぞれのダンスを好きになり、続けることが出来た。

サルサ、タンゴ、キゾンバ、ズーク。全てのダンスが
「ふーん。こんなダンスがあるんだ。数回かじったら、もういっか」
から
「習ってみたい!続けてみよう!」
と思ったきっかけは、いつもスーパーマン達とのダンスだった。

WCSは例外で、ダンスバーで仕事をしていたおかげで合流させてもらえた、地方の皆さんとの「フラッシュモブ(=ラリー)」がすごく楽しく、また、今住んでいる場所で始めたダンスも2つ作りたく(ズークとWCS)、「よし、半年はやってみよう」と始めたダンスだった。

だからだろうか。
せっかく私の地域のWCSメンバーさんはリーダーもフォロワーも素晴らしい方ばかりなのに、点火してもその炎がなかなか燃え続かない状況だった。

踊れる頻度も他のダンスよりずっと少なく、せっかくレッスン後に行われるダンスバーでのパーティーは、海外フェスティバルの資金を稼ぐため、バーテンダーとしてそのダンスバーで雇って頂いているため、ほぼ一曲も踊れない。
お客さんとして参加できる、別の場所でのパーティーは、3人のリーダーに10人のフォロワーという比率だと、数曲に一度しか踊れない。
せっかくAya先生が主催して下さる韓国のフェスティバルのための練習会は、悲しいことに仕事の時間とほとんど重なってしまう。

その上、密室に一人でいるのがこの上なく嫌いな性格もあって、一人でコツコツ練習することなど、2日も続かない(これは、全てのダンス、ジャンルにおいて同じだという、恥ずかしい人間だ……)。

こんな環境が重なると本当はいつ辞めてもおかしくない状態だが、数ヶ月前、フラッシュモブを踊り終えた時のハッピーで開放された気持ちを大切にしたく、4月の韓国のフェスティバルには、キャンセルせず参加しようと決めていた。

このように点火しては消える魂の炎だったが、今回のスーパーマン達とのソーシャルで、
「今回点火した炎は、4月まで燃え続けるのでは……!」
と思った。

スーパーリーダーはもちろん、スーパーフォロワーも多かった。
地域のフォロワーさんも、もちろんかっこよかったり優雅だったりで魅せられるのだが、この日のソーシャルに来られていたフォロワーさん達の中には、
「世界レベルのプロも混じっているのでは?」
と思うほど、目で追い続けてしまうダンスがたくさん見られた。

フレーズの終わりに見せる肩の優雅な曲線、効果音に合わせた顔や身体のシャープな動かせ方、ステップに合わせて動かす、上半身の独創的な動き(まるで剣士に変身しているような方もおられ、本当にかっこ良かった!)、またスローな曲に合わせた、旋律と完全に解け合っているかのような、まるでスケート場でフィギュアスケートを踊っているかのような足運びなど、うっとりとする動きの連発だった。

「これが、ペアダンスで一番難しいとも言われる、本格的なWCSなんだ……」

あっという間に踊れるようになった“フラッシュモブ“は、長い長いトンネルの入り口で、出口は果てしなく先にしか見えないのかもしれない。

このダンスの芸術性に感動すると同時に、その深さに衝撃を受けた。
そんな、Westiemate のソーシャルタイムだった。

旅人を英雄にしてくれる、温かい東京WCSメンバー

そんな、プロダンサーもたくさん踊りに来ているかのようなソーシャル中に、「ゲストダンサー」の紹介と、写真撮影の時間があった。

呼ばれたのは、圧倒的な踊りで私を驚愕させてくれた、イギリス君。
「普通におしゃべりしてたけれど、すごいプロだったのかも!」
また恥ずかしいエピソードが増えたなと笑っていたら、そんな凄いダンサーの後に、なんと私まで紹介されるではないか!

プロ級ダンサーの後に、入門者まで紹介されるなんて……とびっくりしたが、東京の皆さんはどこまでも温かく、イギリス君と同じ位大きな拍手で私を迎えてくれた。

リーダーも出来る、両刀使いも素晴らしいドイツさんが、次に同じ位温かい拍手で迎えられ、なぜかイギリスとドイツのスーパーダンサーに挟まれ紹介された、地方の私。

「明らか私は紹介されるレベルじゃないけど、こんな風に紹介されたら、私まで英雄ダンサーになった気分になっちゃうし……」
口角が上がっている所で、写真撮影も開始された。
かっこいいダンサー達の後ろに行こうとしたら、滑るようにまろやかなダンスで私を感動させてくれたTさんに、
「ゲストダンサーは、前ですよ!」
と前へ託され……。
なんと、プロダンサー達に挟まれてしまった。

「え……なんだか私まで、英雄、というかアイドルみたいなんだけど!」
こうなったら、演技を楽しむ絶好の機会だ。
今だけ世界的なプロのWCSダンサーになった気分で、満面の笑みをカメラに向けた。

入門レベルのたまたま迷い混んできたかのような旅人までも、プロダンサー並みに歓迎して下さる、Westiemateの皆様の温かい心遣い。
とても嬉しく、これまた思い出に残った。

韓国での再会を楽しみに……

最後まで楽しみ尽くしたソーシャルがあっという間に終わり、私は0時を迎えたシンデレラのごとく、英雄ダンサーから旅人へと姿を戻した。

「今日の写真、送りますね!」
「FBやってる?友達になろう!」
「タンツさんも、韓国行くんですか?嬉しい!そこでもいっぱい喋って、踊りましょう!」
終わった後もAya先生、おかっち先生やHarukaさんはじめ東京の皆さん、イギリス君やドイツさんは駅に行くギリギリまで話をしてくれたり温かく見送って下さり、最後の最後まで、名前の通り「ダンス旅」を楽しみ尽くした東京旅行になった。

Wetiemateのイベントの皆様も、韓国のWCS Korean Openに行く人が多いようだ。
プロのような皆様は、参加するのではなく、招待されているのかもしれないけれど。
こうして東京で仲良くなれた皆さんとも近々韓国で再会できるなんて、楽しみがまた一つ増えた。

フェティバルでの目的はプロ、上級者、そして入門者では全く違うだろう。
意識がすごく高く、本気でレベルアップを目指している世界中のダンサー達を目の当たりにしたら、また何らかのインスピレーションがもらえそうで今からワクワクする。

Korean openまで一ヶ月を切ったが、私はその前にタンゴフェスティバルが控えている。
「さすがにWCSに集中したら…?!」
とWCSダンサーの皆さんからは呆れられそうだが、私が思い切りダンスを踊れるのは、ひとまず初夏までと限られている。
残された時間で、4つ全てのダンスフェスティバルに参加することが、私の「人生のやりたいことリスト」に入ったのだから、何としてでも4つとも、やり切ろうと思う。

「限られた時間でタンツちゃんのできることを精一杯やって、後は韓国、楽しんだらいいよ!」
全然上手になる手応えを感じられず、だからといって、他の皆様のようにじっくりWCSに向き合える時間も十分にとれない自分に悲しくなっていた時、Aya先生がくれたアドバイスだ。

人生最初で最後のWCSフェスティバルになるかもしれない。
踊れたら踊れるほど、感動はあのスペインのフェスティバルのように大きいのだと思うと、今のレベルでしか参加できないことは、少し悔しくもどかしい。
でも、後一ヶ月はある。
タンゴフェスティバル中も一日一曲はWCSの曲を聴いて歌って、韓国のフェスティバル、私なりにWCSを踊り散らしたい!

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