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出会いとつながりが作った、自然をよろこぶ豆松カフェ

横浜駅から5駅のJR根岸駅から、さらに徒歩で20分。住宅地にある豆松カフェは築80年の古民家で営まれています。立派な門を構えて大きなお庭を持つおうちは、ちょっと懐かしくて、どこか安心する空間です。

(この日はひなまつりが近いということで、玄関には七段のひな壇が飾られていました。)

豆松カフェは店主の渡辺妙子さんが切り盛りしています。
(料理はもともと板前だったお父様から学びながら作っているとのことです。)

この日はひなまつりランチをいただきました。
・白子豆腐の湯葉がけ
・ホタルイカの酢みそ和え
・あられえび
・よもぎ麩の田楽
・たちばなたまご
・ぶりの幽庵焼き
・たけのことかにしんじょの炊き合わせ
・お刺身(カンパチ、鯛、マグロ)
・三色白玉のお吸い物
・黒米ごはん(タゲリ米と無農薬栽培の黒米が梅干しと炊かれています。)

目でも楽しめるメニューに「どこから食べていいのかわからない」と声が上がりました。

渡辺さんは食材に強いこだわりはあえて持っていないとのことです。

「野菜は横浜の野菜を使うようにしていて、普段は市場に行って野菜を仕入れます。実は食材にそれほど強いこだわりはなくて、市場に行って安い物やあるもので作るようにしています。食材にこだわりすぎるとコストと見合わなくなって、自分の首を締めちゃうこともある。そのとき市場にあるものが、旬なもの。市場にあるものをいかに工夫して作るかということを、大事にしています。」

一方で最近は、いろんなつながりで直接農家さんと知り合い、食材を仕入れることも増えたと話してくれました。

「今日もこれから横浜の十日市場の農家さんに食材を仕入れにいきます。ほかにも新潟県与板町にある里芋農家さん、横浜市戸塚区たけのこ農家をやっている方など、農家さんとのつながりもできていっています。」

豆松カフェは、いろんな人とのつながりでできたカフェだと、渡辺さんは言います。

「このおうちも、カフェとなる拠点を探しているときにこのおうちを管理していたNPO民家再生協会の方が、たまたま声をかけてくださってつながったものです。このおうちのオーナーさんが本家のおうちがカフェになったと周りに伝えてくれたり、子育て支援センターで赤ちゃん連れにもいいカフェがあるとクチコミになっていたり、積極的な宣伝はしていないのにつながり具合がすごい。この家が持つ力だと思います。」

渡辺さんは神奈川県の環境活動にも積極的に参加されています。
なかでも湘南の田んぼに訪れる渡り鳥タゲリを守るためのプロジェクト『湘南タゲリ米』を紹介したり、厚木に生息する鹿を駆除した後にどうにかできないかと考えたり、地域の自然や環境保護のために食を通じて伝えていきたい思いがあると話してくれました。

しかし、豆松カフェのあるこのおうちは2016年10月でなくなってしまうことが決まっています。
おうちがなくなってしまうことについて、渡辺さんはどう思っているのでしょうか。

「まずはこの家が、ここに80年建っていたこともたくさんの人に知ってもらいたいです。この家が歴史そのものです。建物はなくなってしまっても、ここを訪れるみなさんの記憶に残ったらいいと思っています。」

豆松カフェは、住宅地に静かに存在しています。
そのおうちと同じように、ずっとそこで生活をしていたように、そっと。

もちろんおうちが持つ魅力もあります。それに加えて、地域の自然環境を見つめる渡辺さんが営むからこそ、そのおうちが持つ味や良さが引き立っていると思いました。

地産地消とはよく聞きます。
でもそれは「地元の物を使う」だけじゃない。その地域に住むことやその地域で生きることとは、自然を見つめることなんだと渡辺さんのお話と豆松カフェから気付かされました。

読んでもらえてうれしいです!とにかくありがとうと伝えたい!