エンタメマーケティング13① 2,5次元舞台を知る

現在のエンターテイメント市場を語る上で「2,5次元舞台」は外せない。
今一番盛り上がっているジャンルであり、今が今後を左右する節目にあるジャンルだろう。
2,5次元舞台を理解し、より良い舞台を製作側が作ることで、「2,5次元舞台」だけではなく小劇団などを含めた「舞台演劇」そのものに興味を持ってもらうチャンスであり、今後の演劇市場の発展を左右するジャンルになると考えている。

2,5次元舞台を知り、お客様に楽しいと思えるエンターテイメントを提供するにはどうするべきか。まずは2,5次元舞台の客層について解説をしたい。

まず、2,5次元舞台とはどのようなものなのか。
「2次元で展開されている漫画、小説、アニメ、ゲームなどの作品を、3次元の、今私たちがいる世界で表現をする」ことをいう。
ざっくり言うとアニメや漫画を俳優が舞台という三次元的な場所で演じるということだ。

2,5次元舞台には種類がある。
1つ目は「ステ」と呼ばれるる、お芝居中心に展開される「ステージ」と呼ばれるもの。
もう1つは「ミュ」と呼ばれる、キャラクター達が歌いながら物語を進める「ミュージカル」である。
多くの場合作品名の後に「○○ミュ」や「○○ステ」と付けることで区別される。

このステージとミュージカルで楽しみ方が異なっている。

ステージと呼ばれるものはお芝居中心で、一曲二曲歌が入ることが多いが、一般の舞台と変わりなく、静かに観劇し、コメディターンでしっかり笑わせる。ストーリー性のしっかりしたものが多い。

しかしミュージカルは一般のミュージカルとは大きく異なる。
始まる時は拍手ではじまり、セリフが混ざったような歌が歌われ、踊り、ストーリーを進めていく。これは一般のミュージカルと変わらない。
一番大きな違いは観客の反応である。

キャラクター達の絡みやコメディパートでの黄色い声が印象に残るだろう。
アイドルライブと同じく、役者同士が抱き合ったり、腕を組んだり、アドリブをすると特に大きな黄色い声が上がる。もちろん演出上真面目なシーンは声は出ないが幸せそうな溜息が会場全体から漏れている。

これは客層が大きく関係している。
客層の多くは女性であり、アニメや漫画の原作ファンが占めるヲタク女性が中心である。
それ以外に若手俳優を応援する若手俳優ヲタクと区分される客層の2種類がメイン客層である。
この2つの客層は双方ともに「見目麗しいものが好き」という共通点があり、アイドル的な要素を求めている傾向にあり、他の製品のマーケティングにおいても親和性が大変高い。
この黄色い声や、ため息はアイドルライブで上がる声に類するものである。
もちろん、顧客層の中に腐女子ヲタクがいる事が解っている制作側、役者達によるサービスで、ため息や歓声を煽っているということもある。

このようにターゲットを明確に理解した上でサービスを行うという事は、マーケティングターゲティングという面から考えて良いことである。しかし、このようなサービスも過ぎると、ファンは嫌がることがある。
それは何故なのか。

一番は2,5次元舞台は「原作」あってこその舞台だからである。
他の舞台でも原作がある舞台も多いだろう。しかし、漫画というのは数あるエンターテイメントの中でも特異な存在だ。ヲタクとしての文化だけではなく、日本人の生活の中に身近に存在している毎週、毎月の連載を共に過ごした存在である。
思い入れが強くて当然だ。

それをチャラついて芸能人、業界人なんてやっている人間が突如かっさらって勝手に改変したら腹も立つ。
棘のある言い方をしたが、要するにそういう事だ。

まだ2,5次元舞台では、あまり酷い評判は聞かないが、実写映画は9割9分がファンから嫌われている。
自分達が大切にしていた作品を、勝手に改変され、変なオリジナルキャラを追加され、ストーリーを変えられ、意味のわからないエンディングにされる。

共に過ごしてきた、共に成長してきた日常の中の1つを汚されたら嫌に決まっている。

2,5次元舞台に携わろうという人間には絶対に知っていて欲しい、唯一と言ってもいいことは「原作をお客様がどれだけ大切にしているか」である。

#舞台 #演劇 #ミュージカル #経営 #マーケティング #漫画

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