エンタメとマーケティング1 韓流アイドルEXOにみる海外戦略

先日、ファン待望の日本デビューした韓国のアイドル事務所SMエンターテイメントの今一番キてるアイドル、EXOのコンサートに行ってまいりました。

デビュー直後で東京ドームを連日満員にする彼らを見て、日本の文化が好きで文化のマーケティング研究をしていた身としては悔しいな、という正直な思いもありながらも、クオリィの高いパフォーマンスにしっかり楽しんできました。

EDM系のクールな楽曲に、SMのアイドルらしい抜群のダンスパフォーマンス。そして中国人メンバーがいることによる顔立ちの違いから生まれるオリエンタル感、それらの印象が複合的に合わさり他の韓流アイドルと一線を画した存在でした。戦略としては他事務所ではあるがBIGBANGに近い「海外戦略」を中心に置いたグループといった印象を私は持っていました。

しかし、コンサートへ行ってみると、予想していた顧客層とは違いました。

予想では、海外戦略を前提に入れたカッコいい系のマーケティングを行っているので、BIGBANG的な客層や、従来のSMのアイドルファンよりアーティスト的なものを求めているファンが多いのだろうと予想していました。

しかし、コンサート会場を見渡すかぎり、従来のSMエンターテイメントの客層の、年齢が低い版といった感じでした。

もちろん、SMエンターテイメントのイベントや、ファン同士の交流で同系統のファンが多いであろうという予測はしていました。しかし、違和感を感じるほど、系統や服装や持ち物好みの偏った顧客層に疑問に感じました。

と、言うのもEXOはロゴを始め、統一したクール系のイメージ戦略がデビューから続いていました。曲により多少イメージの違いはあれど、演者、プロデュース側にしっかりと「マーケティング目標」が共有されているようでした。それを好むファン層がついていると考えていたので、疑問と困惑を感じていました。

しかし、コンサート中、ある一曲でその疑問、困惑は解決した。

さっきまで黒系の衣装に身を包み、EDM的な曲を歌って踊っていた彼らが、突然ねずみ耳の赤ニット帽子に、クリスマスの妖精のようなサロペットを着て登場。

観客からは「かわいいいい!」の黄色い声。

どんな商品を売るときでも変化球や隠し玉は一つ作るものです。

それがヨーグルトでも、消臭剤でも、虫除けスプレーでも。

それがアイドルとなれば「ギャップ萌」は必要項目だと考えています。

しかし、アジア圏含め欧米も狙おうというEXOの戦略、目標を考えると「いやいや!違うだろ!」と全力のツッコミをいれました。

完全に今までのSMエンターテイメントアイドルの国内の成功パターンに逃げているのが解る楽曲と映像と衣装に、驚きを隠せませんでした。 しかしこれらの戦略は、過去のアイドルの、あくまで近隣の東アジア圏での『短期的な成功例』でしかない。欧米戦略は今までのアイドル同程度で、成功しないでしょう。

この曲から感じた一番の問題は『コアイメージのブレ』である。

コアイメージとは商品の販促、マーケティングを考える上で、軸足のような役割をする大切なものだ。コアイメージのブレは他業界でも多くの商品の撤退原因になっている。 もし、EXOを従来通りの、『ダンスの上手いアイドル』とし売り出すのなら、カッコいい中にこの曲のチャーミングさは『アイドル』としてのコアイメージからはズレず、最適な楽曲だったろう。

しかし、EXOは世界展開を考えているグループである。そこに東アジア受けのいい『アイドル』というコアイメージは不要である。

なぜならば、アメリカをはじめ諸外国で展開する場合、東アジア圏でイメージする『アイドル』そのものに市場がない。無いなら作れば良いではなく、受け入れる文化が無いのだ。

これは、幼さを可愛いとする文化をもつ東アジアと、セクシーさを美しいとする欧米文化を起因とする感覚の違いもある。これらの感覚は育った環境等があるのでそう簡単には新しい市場を作らせてくれない。

それを考えると、最初から東アジア外の展開を見込んで『ダンスパフォーマンスメインのアーティスト』としてコアイメージを軸に、楽曲、グッズの商品展開をするべきだったのではないだろうか。

そうなるとおのずと、ターゲットも変わり日本のファンもSMエンターテイメントのイベントにいつも来ている層以外の広がりも見せたのでは?と思っている。

EXOだけではなく、海外展開を考えているアイドル、バンド、アーティストはコアイメージを演者、裏方、各国の通訳含め、全員で共有して欲しい。
細部の解釈の違いはあれど、1つキャッチコピーのような大きな目標が共有されていれば、組織全員で、魅せ方を意識できる。通訳される言葉一つイメージもアーティストイメージに合えばファンはより盛り上がる。

そのコアイメージを元に各国の市場調査とあわせ、各国で最適な宣伝や売り方を行い世界で活躍できる、息の長い世界で活躍できるグループをどんどんアジアから、もちろん日本からも排出したい。

音楽含めた芸ごとの分野では、人間が商品であるため、マーケティングやビジネスライクな話はNGのような空気があるが商品である人間を使い捨てにしないためにもマーケティングをはじめ、マネジメント、人材論などビジネス的な発想を取り入れていきたい。


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