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情報伝達の仕組み

前回、 製品キャラクターの再現をデザインで行うという事についてさわりを記しましたが、デザインの話から少し上流のコンセプトについて整理してみたいと思います。

「製品コンセプト」のフォーマットは検索してみると様々なものが存在する様ですが、コンセプトの中核となるのは製品の価値構造を規定することとして共通しているようです。製品の価値構造って何よ?と思われた方に向けて説明すると、製品はターゲットが望む(であろう)ありがたいことを提供し価値あるものと認識してもらい対価を得るためのものです。そこでターゲットと価値の関係が重要になるのですが、二つ同時に説明するとややこしくなるのでターゲットの話は後述するとして、価値の構造にフォーカスしましょう。

出会いは一瞬

忙しい生活者は、大量の商品棚から目的のモノを選び出すというプロセスを効率的にこなします。既に選択するモノが決まっている場合や、その場で候補を決定し選択する場合。後者の場合でも、一説によると選定に費やす時間は1秒に満たないようです。瞬間ですね。デザインは伝達するために機能するという趣旨で文章を書きましたが、その伝達内容は瞬間で伝わらないとならず、当然、沢山のことを伝えることは難しそうです。しかし商品企画の段階では、沢山のことを伝えてターゲットとの関係性をアピールしたくなります。困りました。瞬間に沢山伝えるという矛盾をどうすればなしえることが出来るのか?そこで考えられたのが、価値を伝える上で優先順位を設定し、順に伝えれば良いのではということ。

エッセンス

先ず始めに店頭でターゲットの興味を引かなければならないので「ひとことで言うと何ものか」という要約されたメッセージを用意します。これを「エッセンス」と呼びます。このエッセンスは、瞬間でターゲットとの関係性を伝える役割を担いますが、複雑な事を伝える役割ではありません。先のダイソンの掃除機であれば[「進んでいて賢そうで垢抜けている」掃除機]となります。(キャラクターはエッセンスの構成要素)。この「エッセンス」よって興味を持ってもらえれば少し説明の時間が許されます。(手にとってもらえる、立ち止まってもらえるという事ですね)

ベネフィット

ターゲットが興味を持つと次にこの掃除機によって得られるありがたいことに関心が移ります。それに答えるのが「ベネフィット」。ベネフィットは大別して2つに分類されます。一つは機能的なベネフィット。掃除機の場合、「ゴミをちゃんと吸ってくれる」といった機能によってもたらされるありがたいことを指します。ダイソンの掃除機の場合、「吸引力が落ちないからストレスを感じずに掃除が出来そう」ということとなるでしょう。もう一つは、情緒的なベネフィット。先の機能的なベネフィットが左脳的なものに対して情緒的なベネフィットは右脳に訴えかけるものとなります。ここでは、「(掃除機にまで洗練さを求めるほど、私は洗練された人間であるということを演出してくれるので)周りから一目置かれる」となるでしょう。

スペック

ベネフィットに興味を見いだせば、次は検証フェーズに入ります。本当にそうなのかと?それに答えるのが「スペック」です。スペックは検証材料ですので嘘をついたり怪しい事実であればここで選択のプロセスは終わります。納得が出来る事実を伝えなければなりません。ダイソンの掃除機の場合スペックは、吸引力を持続させるサイクロン方式と独自開発の高効率デジタルモーター、そしてそれらを洗練されたデザインでまとめるという事になるでしょう。

製品価値の構造

長くなりましたが、エッセンス→ベネフィット→スペックと順に人の興味に応えることを想定し情報伝達の優先順位を設定することを「製品価値の構造」を規定すると呼びます。(ここでは取り上げませんが、スペックだけを見てその先を自分で想像し、判断を行うという人たちも存在します)

百聞は一見にしかず

さて、デザインの話に戻りましょう。製品コンセプトをつくる上で重要な「製品価値の構造」は情報伝達の優先順位を想定し構成するものです。そしてデザインは情報伝達を効率化する手段でもあり「百聞は一見にしかず」ということわざ通り、「パッと見て何かを伝え感じてもらう」という役割を担います。とすると、デザインという情報伝達手段で最初に伝えるべきはエッセンスであると気づいて頂けたのではないでしょうか?。店頭では瞬間勝負ですから、迷いや矛盾があるとチャンスを逃します。当然それ以降の情報伝達に失敗するわけです。いかがでしょう、文章にすると当たり前の事に感じますが、店頭では、製品価値とデザインの相関性に矛盾があったり、期待される優先順位に添わない表現などを多く見かけます。この問題の背景には、「製品価値の構造が正しく規定できていないこと」又は「デザインで製品価値の構造とは異なる基準によって新たな伝達情報や優先順位が設定される」といったことが想定されます。前者の問題は、「しっかりマーケットを分析して必要十分なコンセプトを立ててくださいね」とだけ書いておきますが、後者の問題は解決のためデザインに関する更なる理解が必要な問題なので次のnoteで説明を深めましょう。

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福本 徹 @idnet21.com

デザインプロデューサーをしています。 ブランディング・マーケティング・デザインをサポートする会社:株式会社アイディーネットの代表  www.idnet21.com

商品企画、開発

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