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価値観とデザイン

価値観は、何に価値を見いだしているかという事なので、物事に対する評価基準とも言えます。その評価基準が分かれば物事に対する期待を読み取ることが出来ます。その期待を「欲求の本質」としておきましょう。たとえば、先の8つの価値観分類から「01:自己向上による達成感と先進的生活を望む人たち」を例に説明してみましょう。

先ず、彼ら彼女らは日本に約10パーセント程度出現します。そしてこのクラスターの欲求の本質は、クラスターの名称の通り「自己向上による達成感と先進的生活」にあります。年収、可処分所得も他のクラスターより多く、外車 特にドイツ車保有率も高めです。人よりも自分は進んでいると思われたいと願い、自己向上意欲が高くアート関心を含め知識教養に対する投資も行っています。都心在住の成功した若手起業家やクリエイティブに関わる職種に多いタイプです。

日頃からハイブランドに囲まれ目が肥えているため、このクラスターに認められるとその後彼らのフォロワーたちへの口コミで拡販が期待できます。この様な特性から、多くの企画者は、このクラスターをターゲットとして企画を立案したくなります。

しかし彼らは目が肥えているため、中途半端な機能やデザインでは歯が立ちません。常に世界で1番の何かと比較されることを理解し、それを越えるような製品を提供する必要があります。

求められるデザインテイストの傾向

さて、このクラスターの欲求の本質の説明に引き続き、デザインの話を続けましょう。実は長年この様なクラスターの欲求の本質を見ているとデザインの選択に一定の傾向があることが分かります。漠然とデザインとしてしまうと言葉の定義が曖昧なのでここでは「デザインテイスト」として続けます。

このクラスターの欲求の本質は「自己向上による達成感と先進的生活」でしたね。補足すると、常に高いゴールを目指し達成することによって得られる満足感、そしてその過程で得る経済力に支えられた眼力によって最高かつ最先端のモノやコトに囲まれた生活を求め、更には他人から一目置かれたいと願っている。となります。

この様な欲求から多少時代性によって変わる部分はありますが、先進性・知性・洗練を感じさせる素材や色などのに惹かれる傾向があります。「イノベーティブ・インテリジェンス・ソフィスティケイト」(デザインテイストを表す言葉として区別しやすいように言い換えておきます)というデザインテイストを醸し出していることに加え、見せかけの高級感などはすぐに見破られてしまうので、高い質感を備えていることも重要です。

このクラスターが好んで選ぶアップルのコンピューターを例に説明を続けましょう。近年のアップルはコンピューターの筐体にアルミを多用しています。かつてのノートPCはプラスチックの筐体であったりアルミの薄板による筐体であったりしましたが、アップルが2000年初等にアルミの切削(アルミの塊から削り出す)による筐体に変更しました。

違いは一目瞭然で、競合製品のノートPCは、軽量化と薄型化の為に持ち上げるたびに微量に変形するしなやかさ(悪く言うとだらしなさを持っていました。しかしアルミの切削筐体を与えられたアップルのノートPCは、だらしなくしなることなく、しっかりとした手応えを感じさせます。たとえ見た目に工夫を凝らしてあっても強度的に頼りない筐体の競合製品と比較すると「本物感」はアップルに軍配が上がります。

当然デザインテイストは、イノベーティブ・インテリジェンス・ソフィスティケイトを感じさせるものに仕上げられているのでこのクラスターのお眼鏡に十分叶うモノとなっているわけです。昨今の競合ブランドの製品がこぞってアルミの切削筐体を採用する理由ももうなずけますね。

ひょっとすると、この投稿をご覧になっているイノベーティブ・インテリジェンス・ソフィスティケイトという言葉とアップル製品がお好きなあなたは「01:「自己向上による達成感と先進的生活を望む人たち」かもしれません。

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