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LGBTQ+が暮らしやすい世界へ:#プライド月間 からみる日本の変化

6月は  #プライド月間  が行われます。

プライド月間 は、世界各地でLGBTQ+の権利を広く知ってもらうための活動が行われる期間です。日本でも、この考えに賛同してプライド月間にLGBTQ+をサポートする取り組みを行う企業や団体が増えています。

例えば京都市では、2022年のプライド月間にさまざまな企画が行われました。京都市役所本庁舎塔屋では、レインボーライトアップが行われました。また、商店街ではレインボーフラッグが掲げられ、市内の百貨店では「LGBTQについて知っていますか?」というパネル展示会が開催されました。今年は昨年より内容を増やした企画が計画されており、プライド月間にはさまざまな取り組みが行われる予定です。

そもそもLGBTQ+とは何か?

LGBTQ+ とは、レズビアン(L esbian・女性の同性愛者)、ゲイ(G ay・男性の同性愛者)、バイセクシャル(B isexual・両性愛者)、トランスジェンダー(T ransgender・生まれ持った身体と心の性が一致しない方)、クィア又はクエスチョニング(Q ueer・既存の性に当てはまらない人、Q uestioning・自身の性を定めていない人)の頭文字をとった言葉に (プラスアルファ)を付けた、性的マイノリティ(性的少数者) を表す総称のひとつです。

以前はLGBTやLGBTQと呼ばれていましたが、LGBTQ以外にもさまざまな認識を持つ方々がいるため、より広く多様性を表せるように、+(プラスアルファ)を加えたLGBTQ+となりました。

プライド月間が6月に行われる理由

プライド月間はなぜ6月に開催されるのでしょうか。それは歴史に由来しています。

活動の契機:ストーンウォール事件

1969年6月27日から28日の未明にかけて、ニューヨークにあったゲイバー「ストーンウォール・イン」で、警官と性的マイノリティとの間で衝突が起こりました。

ストーンウォール事件と呼ばれるこの出来事の後、性的マイノリティの権利を守ろうとする組織が次々と生まれ、それまで行われていた警察によるゲイバーへのいやがらせの実態が明らかにされていきました。
その後、性的マイノリティの保護を求める活動はアメリカから他の国々に広がり、プライド月間の契機となりました。

プライド月間で行われること

プライドパレード は、ストーンウォール事件の1年後に行われたデモが発展したものです。虹色の布を掲げて人々が行進する姿は、ニュースにも取り上げられています。アメリカ以外の国では6月以外に実施されることも多く、日本では現在4月に行われています。

企業のキャンペーン や自治体の啓発活動 は、プライド月間に合わせて行われることが多いです。しかし、一過的なキャンペーンには疑問の声もあり、LGBTQ+の人の権利が尊重された社内制度を策定するなど、継続的にLGBTQ+の権利を守ろうと取り組む企業も増えています。

プライド月間で訴えられていることとは

プライド月間の一番の目的は、LGBTQ+の権利を尊重し、差別をなくすこと です。日本の場合、差別は結婚、就業、医療、子育て、教育などさまざまな場所で今も存在しています。

また、LGBTQ+の先進国であるアメリカでも、最近保守派からの批難が激しくなっており、LGBTQ+向けの商品の販売を取りやめるといった影響が出てきています。

差別を無くすという理想の実現には、まだ道なかばと言えるかもしれません。

LGBTQ+を取り巻く環境と今後

日本では、LGBTという言葉は認知されているものの、内容の理解については進んでいないということが、調査によって分かっています。

2019年に行われた調査では、LGBTを知っていると答えた方は91.0%だったのに対し、各セクシュアリティの意味を理解している方は57.1%でした。
言葉としては知っていても、内容については詳しく知らないという方が多いのでしょう。啓発が必要な状況に変わりはありません。

LGBT総合研究所「LGBT意識行動調査2019」結果よりグラフを作成

また、世界で考えてみても、G7をはじめとする先進国ではLGBTQ+の権利が認められ、差別を禁止する法律などの法整備も進んでいますが、視点を全世界に移してみると、LGBTQ+にとって厳しい状況は続いています。

LGBTQ+を取り巻く状況

ヨーロッパやアメリカでは同性婚の制度があるなど、法制度が整備されている一方、同性愛が犯罪になる国も多くあります。同性愛者なので国に帰ると死刑になってしまうと、日本に来て難民申請を行う方もいます。2023年3月に策定された日本の難民申請に関するガイドラインでも、性的マイノリティやジェンダーに関連した迫害も難民に該当し得るという見方が示されています。

下記の世界地図で青色になっているのは、婚姻など同性パートナー関係の承認がある国、一方茶色や赤系の色は犯罪として処罰を受ける国、黄色は法による制限などの迫害を受けている国です。日本はグレーで、犯罪ではないものの、差別禁止法などはなく、同性間の婚姻もできません。国連人権理事会からは、人権侵害である と指摘を受けています。

認定NPO法人虹色ダイバーシティが2023年3月に制作したものを引用

一方で、日本でもパートナーシップ制度は広がってきています。東京都も、2022年11月からパートナーシップ制度の運用を開始しました。
渋谷区と認定NPO法人虹色ダイバーシティの調査によると、2023年1月10日時点でのパートナーシップ制度導入自治体は255自治体で、人口カバー率は65.2%、2022年末の時点でパートナーシップの交付件数は4,186組にのぼります。

LGBTQ+をめぐる世論にも変化の兆し

2023年2月に行われた同性婚に関する各社が実施した世論調査では、賛成の方が54~72%と、従来に比べ同性婚に賛成の人が増加しています。

同性婚をめぐっては、首相が「社会が変わってしまう」と発言したことに端を発し、たびたびメディアに取り上げられるなど、2023年に入りLGBTQ+に関係した報道が増えました。

G7の中で、国全体での同性婚やパートナーシップ制度が無い国は日本のみで、政府は慎重姿勢を崩していませんが、政治家の中でも推進派、慎重派に分かれており、当事者や応援する人々の間では制度化も期待されています。

また、同性婚を認めないのは違憲であるとする同性婚をめぐる集団訴訟では、5地裁の憲法判断によると「違憲」が札幌、名古屋(2件)、「違憲状態」が東京、福岡(2件)、合憲が大阪(1件)という結果の1審判決でした。

さらに、前首相秘書官の性的マイノリティへの差別発言をきっかけに、LGBTQ+の人権を守る法整備を国に求める動きが、企業にも広がっています。

日本国内でのLGBT差別禁止法や結婚の平等などの法整備についての議論をG7広島サミットで行うことを求めた要望書には、74の企業から賛同が集まりました。

G7広島サミットの成果文書にも、LGBTQ+についての記載があり、今後日本でも差別を禁止する法律や同性婚に関する法整備が進むことが期待されます。

まとめ

2019年に行われた全国の20~69歳の男女約35万人を対象に行われた調査では、性的マイノリティ(生まれ持った性別と同じ性自認であるシスジェンダーや異性愛の方以外)に該当する人が全体の10.0% にのぼりました。

LGBT総合研究所「LGBT意識行動調査2019」結果よりグラフを作成

もし10人に1人が性的マイノリティであるとしたら、自分の周りに該当する人がいることは不思議ではなく、むしろ当然のことと考えられます。もしかしたら、あなた自身がLGBTQ+であるかもしれません。また、友達がLGBTQ+であったり、家族がLGBTQ+であったりする場合もあります。そうしたことを考えると、LGBTQ+は、自分や自分の身近な人たちの中にも当たり前に存在するのだと理解することができます。遠い国の他人事ではないと知ることから、あなたの #プライド月間 を始めてみてはいかがでしょうか?

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