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「高校生は実際のところ「選挙」についてどう感じているのか?」座談会 with ch FILES

選挙権は’16年より二十歳から18歳に引き下げられ、「18歳になったら選挙に行きましょう」と言われるようになった。先生も言う。世間も言う。でも…。投票率が上がらない理由、そのほんとうの秘密が知りたくて、高校生が取材するフリーマガジン「ch FILES 」スタッフの現役高校生12人で座談会を行いました。


Q1. まず、これまでに親に付いて投票所に行ったことのある人はどれくらいいる?

ある 10人
ない 2人

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Q2.今年初めて選挙に行った18歳。どう感じた?

もえ(高3) 今年7月の都知事選に行きました。投票所でめちゃくちゃドギマギしました(笑)。会場はシーンとしてるし、入ってまずどうすればいいかわからなかったから、「え、どっちに進めばいいの?」から(笑)。次は「これ、書いた紙は折るの? 折らないの?」って一緒に行った親に質問責めにしながら投票しました。

りりか(高3) わかる! 「折るの? 折らないの!?」は私も親に聞いた!(笑)

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もえ 終わってしまうと、あっという間に終わった印象だったですけど。文字を間違えて書くと無効になるって聞いたことがあったので(※実際は他に可能性のある候補者がいない限り、有効。大丈夫!)何度も確認しながら書いていたら、親の方が先に終わっていて、「ちょっと待って、置いてかないで」って焦りました(笑)

…実際、参加してみてどう感じた?

もえ 結構重く感じました。今までのどのテストよりも緊張して書いたし、投票箱に入れる時も、「これが私の一票か」と思いながら入れました。


Q3.まだ選挙権のない高3生はどう感じてる?

くるみ(高3) どの人に投票したかってことを周りに話しちゃだめって聞くので、相談したりできないのが不安です。

ねね(高3) 私も本当に何もわからないので、不安です。

みゆ(高3) 投票するならちゃんと考えたいと思っているんですが、名前が有名だからとかじゃなく、ちゃんと政策なども聞いて考えて投票したいなとは思っています。でも重く考えすぎちゃって、なかなか決められなさそう。

いぶき(高3) 逆に僕は、重く考えるというより、今までまったく興味がなかったので、18歳になって選挙権を持ってから急に興味が持てるかって言ったらそうじゃないだろうし、投票に行かなかったとしたらどんな悪いことが直接自分に起こるんだろう? っていうのがあります。


Q4.高1・2年生はどう感じてる?

しの(高1) 私はまだ高1なんですが、先日姉が18歳になった時にその話をしていて、2年後、ちゃんとできるのか不安があります。

ありさ(高2)選挙には行こうという気持ちはあるんですが、やっぱりまだ16歳の私からすると誰を選んだらいいかわからないし、それを探すのもちょっと面倒臭いという気持ちも正直あります。わかりやすいサイトとかを教えてもらえるといいなと思います。

りお(高2)私は最近好きなアーティストの影響で政治や選挙にも興味を持ち始めたんだけど、「NO YOUTH NO JAPAN 」ってサイトが政治にまつわるテーマのことをわかりやすくカラフルにまとめてあって、こういったインスタやツイッターを見て考えるといいのかなと思ったよ。

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つかさ(高2) 学校の公民の授業で選挙についてクラスで話す機会があったんですが、みんな「どうやって選んでいいのか不安」と言っていました。それぞれの候補者の特徴だけでも学校の授業で言ってくれたらいいのになと思います。

まな(高2) 立候補者の方々がそれぞれ公約を出していて、若い世代に利益のある公約だと私個人としては「いいな」と思っても他の世代の人にとっては良くないのかなとも思うし、自分の思いのまま投票していいのか、世間の考えと個人の感情をどう折り合いをつけたらいいのかなって思います。


Q5.どうすれば日本の選挙は変わるんだろう?

ただでさえ重いイメージに加えて
投票の段取りがわからないことが
ハードルを上げている。

>>「18歳」からではなく「高3」からにして欲しい

みゆ 私、「18歳」という括りにあまり納得がいっていなくて、なんで「高3」とか、学年からにしないんだろうって思うんです。そうすれば同じ学年の子と相談することができるし、一緒に初めてを共有することもできるのに。私は2月生まれだから、私が選挙権を持つ頃には、早い子はもう2回目を経験するわけじゃない? それって理不尽だなって思う(笑)

もえ それはあるよね。これまでの「二十歳」で選挙権は、成人してお酒も飲めるようになって「大人になるから」という理由なのだからわかるけど、18歳は、他に何も変わらないのに選挙権だけ与えられるもんね。ここは、学年の方が良かったよね。しかも最初に敬遠しちゃうと、20代になっても行かない気がするし、絶対最初にみんなで行く経験をして、ハードルを軽く超えておいた方がいいよね。

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みゆもしも明日高3全員が選挙に行ける、という状況であれば、少なからず話すと思うんだよね。「明日選挙だね」とかって。だけど誕生日を迎えた日に急に選挙権が与えられて「次はあなたが投票する番ですよ」って言われても、実感も何もないし、わからないから。

もえ でも、私、誕生日迎えた後から無意識だけど駅を出たところの演説とか、意識するようになったよ。

みゆ ホント!? これまで「うるさいな」と思っていた選挙カーに18歳なった途端、耳傾けられる!?(笑) もえは、もともと選挙への意識が強かったからじゃない?

もえ そうかなぁ? でもたしかに、私の高校は毎年アンケートを取って投票率を出すんだけど、今年は93%だったらしい。選挙前は結構周りのみんながインスタのストーリーで「この候補者の意見をどう思いますか?」とかって上げていたから、自分も考えるきっかけになったかもしれない。

みゆ それはすごいね! 良い環境だね。私の周りは誰も上げてなかったよ(笑)


>>「模擬選挙」を学校の授業として組み込んで欲しい!

…実は、スウェーデンは、選挙の投票率が80%を超えているんですが、選挙前の時期には中学校・高校で実際と同じように模擬選挙が行われ、こちらも70%を超える投票率があります。アンダー世代の投票結果も、大人の投票結果が公開された後に発表される仕組みがあるそうです。

みゆ それはいい!!!!!!! 絶対いいと思う。

りお日本も学校の授業で(模擬選挙を) やっちゃえばいいのにって思います。そういう時間を取らないと、絶対に投票率は上がらないと思うし、投票所の雰囲気とか紙は折るのか折らないのかとか、きっと私も「え!? どうしよう?」ってなると思うから、授業で教えておいて欲しい。

もえ 18歳に限らず、選挙権が二十歳からだったとしても、知らないから行かないんじゃないかなぁ。

りお交通教育とか薬物教育、SNS教育みたいに、定期的にやってくれたら変わるかも。

みゆ うん、たった1回教えてくれるだけでいいのにね。

もえ いっそ、「生徒会選挙」も先生を巻き込んで、本物の選挙みたいにしちゃえばいいよね。模擬選挙を兼ねて。

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しの 私は今、もえちゃんとりりかちゃんの投票所でパニクった体験談を聞けただけでもすごい気が楽になったから、模擬体験ができたら一番だけど、こうやって体験した人の話を聞くだけでも違う気がします!


>>立候補者もSNSツールを駆使して欲しい

りりか 7月の都知事選の時に、私のTikTokに出てきた人がいて。その人は若者に興味を持ってもらいたかったらしいんだけど、都知事選って7月5日で、私は誕生日が7月3日で何も考えていなかったから、私はその人のおかげで選挙が近いんだなということを意識したんだよね。

いぶき(高3) 政治家の人たちも、オーディション番組のプデュ(PRODUCE 101)みたいに、「私はこんな風に政治を頑張っていきます」とかアピールして、ドキュメンタリーで追っていくとかがあればいいのに、と思います(笑)。国民がそこで政治家に“推し”を作ればもっと身近に感じるかもしれない!

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全員政治のプデュ版!?(爆笑)

みゆ それなら政党もわかりやすくキャラクター化してもらって。「ここはオレオレ系の党です、こっちは年下系キャラの国民に寄り添う型です」みたいな(笑)

いぶき そうやって政治が流行れば、みんなが政治の入口に立てるかなと思った! 話のネタにもなるし、ウケるよね。

ももか(高2) 都知事選の時も候補者が多くて(2020年7月の東京都知事選挙の立候補者は歴代最多の22人)、全員に目を通すこともできないし、どう選べばいいかもわからなかったですもんね。


Q6.投票、オンライン制にした方がいい?

くるみ オンラインだとなんとなくで入れてしまう人が増えそう。

りりか そうだね。オンラインでできるもんならそれでしたいなと思うけど、投票率を上げるためだけの理由ならやめた方がいいかな。

もえ 今回私は投票所の押し潰されそうな重圧感とともに責任を感じたんだけど、WEBでできちゃうと、家でポンだから(笑)。責任が減って適当に押しちゃう人が増えると思う。それくらいなら、投票率が低いままでも今のように投票所に行く人の意見が反映される方がいいのかなって。

しの 逆に私は、オンライン賛成なんですが、最近大学のオープンキャンパスがオンラインで行われていて、調べれば学校のことがわかりやすくまとめられているんです。ただ票を入れるためだけでなく、情報収集のツールとしても上手くWEBを活用してくれるなら、候補者の情報も行き渡って、よく考えた上で投票できるかもしれないと思いました。

YES 3人
NO     9人

YESの3人も、「立候補者がSNSなどを駆使して、きちんと候補者の情報が行き渡り、全員がよく考えた上で投票できる環境なのであれば」、とのことでした。


座談会の様子をダイジェストで!


>>おまけ

今回のエピソードで16歳・17歳メンバーが一番笑ったのは、「紙ばなし」。
投票の紙は「めちゃくちゃ書き心地がいい(笑)」というりりか(高3)の発言に、全員が興味津々。選挙ってこういうことからも興味湧くよね。

あともう1つは、もえ(高3)の投票所で候補者の名前を書くところは、「去年、渋谷で「きのこの山・たけのこの里国民総選挙」が行われた時のセットそのままだった!」というエピソード。こういった経験が選挙を身近に感じさせてくれるんだね。

【 取材・文:ch FILES編集部 俵本美奈 】