Sibelius 2022.12 新機能 レビュー

Sibelius 最新版2022.12での新機能「サブスコア」を試してみました。

「サブスコア」とは、スコアの一部の譜表を抜き出した物です。
特定のセクションスコアやリーハーサルPiano譜、コンダクタースコア(フルスコアでないもの)等が想像できると思います。
パート譜でも複数の譜表をまとめて抜き出したりできますが、違いは、

パート譜表示で編集や入力を行なった場合、
・異名同音の変更
・表示、非表示の切り替え
・オブジェクトの位置移動(添付先の変更は不可)
・楽器の変更
・調号、音部記号の変更
はスコアに反映しません。サブスコアの場合はこれらが全てスコアに反映しますし、添付先の変更も行えます。
パート譜のみからスコアを作り上げるデータ入力の場合サブスコアでパート譜の様な表示を作って作業が出来ると便利な場合も多いと思います。

逆に上記の操作がスコアに反映してしまう為、不要な情報を省いたパート譜を作るためには従来のパート譜を使用する必要があります。サブスコアで入力をしてパート譜でレイアウトをする為には、サブスコアからパート譜にレイアウトコピーが出来ると便利ですが、残念ながら出来ません。

こちらは本来の使用法でないと思いますので本来のサブスコアの使い方を考えてみると、個人的にはスコアにはスケッチ、リハーサルピアノ等全て含めておいて、そこからコンダクター用のスコア、とリハーサルピアノをサブスコアで作りたいと思いました。試してみると、用紙サイズ、余白、譜表サイズは独立して設定でき良い感じなのですが、スコアでは必要でリハーサルピアノでは不要な譜表の左側のパート名の表示、非表示がスコアとサブスコア全てが共通で独立して設定できない様です。それだけでしたら良いのですが改行、改ページも共通なのでA3のフルスコアもA4のリハーサルピアノも段組内の小節数が同じになってしまい、あまり実用的でないと思いました。

あと印刷は普通にサブスコアを選べるのですがPDFへの書き出しはなぜかサブスコアを選べません。詰めが大分甘い様に感じます。

現時点では全ての譜表を含めたスコアを作り、必要な部分に「譜表にフォーカス」を設定してスコアをレイアウト、リハーサルピアノは今まで通りパート譜で作成、完成後の修正はスコア上で行うのが現実的でしょう。

ちなみに修正時の手間以外にリハーサルピアノをパート譜で作成する場合のデメリットは全てのパートに対してハウススタイルを適用するとリハーサルピアノにも適用されてしまうことです。通常リハーサルピアノが先に出来ていて他のパートとサイズが違うことが多いので、これを崩さずにハウススタイルを適用するためには1パートずつの作業が必要になり大編成の時は結構負担が増えます。

サブスコアに対する期待が大きかったアップデートだったのですが、実際は実用段階ではなく、今までなかったバグがあると言う残念なアップデートになってしまった様です。


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