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えっ、文庫も売れていないの?

●周囲と違う結果を出したいなら……。

周りと同じ行動をとっていたら、同じ結果にしかならない。
周りと違う結果を出したいなら、違う行動をとるしかない。

大好きな言葉です。

100人が受けて90人が受かる試験で合格するには、周りと同じ勉強をすればいい。
でも、100人中1人しか合格しない試験なら、周りと違うことをしなければならない――。

言うのは簡単なんですが、周りと違うことをやっても必ず受かるわけではありません。
となると、周りと同じことをやっていたほうが安心する――。
そんな心理が働いて、結果的に周りと同じことをやって、みんなそろって不合格……よくある話ではありませんか?

●文庫も売れなくなってきた!

さる10月9日、僕が所属しているキノブックスは、「キノブックス文庫」を創刊しました。
創刊ラインナップは、
『婚活っていうこの無理ゲーよ』(はあちゅう)
『世界中の青空をあつめて』(中村航)
『少年と少女のポルカ』(藤野千夜)

の3点。
僕は、はあちゅうさんの『婚活っていうこの無理ゲーよ』を担当しました。

文庫を創刊するにあたり、営業部が書店を回って話を聞いたところ、
「最近の小説は、単行本も売れないけど、文庫も売れていない」
「文庫も、どの出版社も厳しい状況になっています」

そんな声が多数。

「文庫のほうが安いから、多くの人は文庫になるのを待って買ってくれる。だから文庫は全体的に売れている」
そんなふうに考えていた僕は、大甘だったのです。

普通に文庫を創刊しても、ほかの出版社と同じで絶対に売れない。
何かほかと違うことをやらないと――。

●他社がやらないことをやってみる

そう考えたキノブックスが出した答えのひとつ。
それが、担当編集者による手書きの「かわら版」の制作です。
(ちなみに、その他に「スナック絵里子 開店」なんてのも)

他社の文庫のほとんどには、しおりだったり、今月の文庫ラインナップが挟まれています。
でも、キノブックス文庫には、「かわら版」しかはさまれていない。

「担当編集者の手書きかわら版」なんて作っている文庫、ほかにありますか?
僕は知りません

というわけで、10月に担当した『婚活っていうこの無理ゲーよ』、12月に担当した酒井若菜さんの『こぼれる』のかわら版に何を書いたのか、ここに掲載いたします。

実際は「手書き」で書かれていますので、その雰囲気を味わいたいという特異な方がいたら、書店で手に取ってみていただけるとうれしいです。

●『婚活っていうこの無理ゲーよ』編集者による手書きかわら版

2012年、初夏の夕方。
恵比寿駅から歩いて10分のカフェ。
この本の著者、はあちゅうさんとの初対面。
「この小説……なんだか魅かれる。もっと多くの人が読むべき小説だ!」
いただいた原稿を読み、最初に思ったことです。
一文字一文字が濡れているように感じたのを覚えています。

あの日から6年。
目に見えない力を信じきっているわけではありませんが、「納得いかない」と最後まで書き上げた原稿をボツにして、再度、一から書くことにしたのも、「キノブックス文庫第1弾」という最高のタイミングのためだったのだと、一人で勝手に盛り上がっています。
6年前のあの日、思ったことをこれから実現させます。


●『こぼれる』編集者による手書きかわら版

約20年前、写真集発売イベントのたびに書店にファン数百人が並ぶトップグラビアアイドルだった酒井さん。
「木更津キャッツアイ」のモー子が大人気。「バカ女を演じさせたら右に出る者はいない」といわれた女優の酒井さん。
眠れない夜に読む本『心がおぼつかない夜に』が話題となり、その後、『酒井若菜と8人の男たち』『うたかたのエッセイ集』を出版したエッセイストの酒井さん。
ファン数百人の一人として並んで握手をした僕を、手の冷たい人として覚えてくれていて、そして今では作家と編集者という関係になり、僕が新作小説を最も待ちわびている小説家の酒井さん。
次は、どんな酒井さんに出会えるのでしょうか。


これからのキノブックス文庫、要チェックですよ!


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