本は、冒頭が命

今回は、ビジネス書と小説の類似点について書きつつ、最後には今月末に出版されるビジネス書の「はじめに」も公開いたします。

○ビジネス書と小説の共通点
○冒頭の大切さとは?
○僕の好きな冒頭
○これから発売の新作の「はじめに」公開

○ビジネス書と小説の共通点

僕はエンタメ系の書籍を幅広く手がけてきましたが、メインで編集していたのはビジネス書でした。

そして、今、小説を手がけるようになって改めて、「なるほどね」と気づいたことがあります。

それは、ビジネス書も小説も、「冒頭が命」ということ。

「何を当たり前のことを言ってるんだ!」
と思ったかもしれません。

けれど、僕も含めてわかっていてもなかなか行動にうつせないのが人間です。

○冒頭の大切さとは?

うちの会社ではショートショート大賞という文学賞を行っていて、僕は去年、一次審査の審査員をやり、1500通以上の作品に目を通しました。

はっきり書いてしまいますが、9割以上の作品が、冒頭を読んだ時点で「これはナシだな……」と思うのです。
もちろん応募作は最後まで読みますが、その予想が覆ったことはほぼありません。

反対に、冒頭を読んで、「おっ、これはなかなか良いんじゃないの!」と感じた作品は、最後まで読んでも、そこまでつまらなかったことはありません。

ビジネス書はもっと顕著です。
そもそも、ビジネス書編集者はみな、「はじめに」に異常なくらい力を注ぎます。

それは、読者が本屋で「はじめに」を立ち読みして、その本をレジに持って行くかどうかを決めることをよく知っているからです。

その弊害として、「はじめに」が面白いのに、中身がいまいちな本もたまにあるくらいですから……。

○僕の好きな冒頭

ここで、僕の好きな小説の書き出し部分を引用します。
この2つはおそらく生涯忘れないと思います。

「春が二階から落ちてきた」
(伊坂幸太郎『重力ピエロ』)

「さびしさは鳴る」
(綿矢りさ『蹴りたい背中』)

どっちもすごくないですか?
なんとしてでも読みたくならないですか?

この二冊は、書店でこの部分を読んで、速攻でレジに持っていきました。

○これから発売の新作の「はじめに」公開

ここまで書いたあとに恥ずかしいのですが、僕が担当してこれから発売されるビジネス書『仕事が思い通りになる! ほめ方心理術』(神岡真司)の「はじめに」を公開しちゃいます。

今回のnoteは、ここを読んでもらうためのフリだったのです……。

はじめに

あなたの会社の同僚、上司、部下の顔を思い出してみてください。
「感じがいいな」と思える人はいますか。
その人は、仕事で大きな結果を出していたり、周囲から高評価を得ていたり、苦労せずに人を動かしていたりするのではないでしょうか。
実は、「感じがいい人」と周囲から思われるだけで、仕事を自分の思い通りにできるのです。

あなたはその人たちに共通する「ある特徴」に気付いていますか。
「感じがいい人」とは、あなたを「肯定」してくれる人。
その反対に「感じが悪い人」とは、あなたを「否定」する人のはずです。
感じがいい人と悪い人の違いは、たったこれだけにすぎません。

簡単にいえば、相手を肯定して感じがいいと思われるだけで、あなたは仕事を思うように進めることができるのです。
それに、相手を肯定していると、相手からもあなたへの肯定が返ってきます。
これは「返報性の原理」と呼ばれる心理学の有名な要諦でもあります。

では、「感じがいい人」になるには、具体的にどうすればよいのでしょう。

「相手を肯定するなんて簡単だ。お世辞やオベンチャラを調子よく多用して、八方美人になればいいんだろ!」

そう考えた人もいるかもしれません。
けれど、そういう人はたちまち下心を見透かされて、むしろ「感じが悪い人」になって嫌われてしまうのです。

人には「承認欲求」という生存本能が備わっています。
これは、「認められたい」「ほめられたい」といった、他者に自分を肯定してほしいという気持ちのことです。

その欲求が満たされず、反対に否定をされて生存本能が脅かされると、危機感が高くなります。

つまり、あなたのことを否定してくる人は「脅威」であり「敵」だから、「感じが悪い人」として嫌いになるのです。

「感じがいい人」になるためには、正しいほめ方を学ぶ必要があります。
これまで、学校や会社でほめる技術について学んだことのある人はいますか。
きっといないでしょう。

ビジネスで成功するために、必要かつ大切な技術であるにもかかわらず、ほめ方をきちんと学んだ経験のある人は、本当に少ないのです。

繰り返しますが、ほめ言葉はお世辞やオベンチャラとは異なります。
相手のためになり役に立つもので、相手を肯定していることが伝わらなければなりません。

けれど、手放しで相手を賞賛するのがよいほめ方なわけではありません。

むやみに人をほめたのでは、賞賛した人自身が相手から見くびられることにもなってしまいます。
ほめることを、単純に賞賛したり、絶賛したりすることと勘違いしている人も多いため、ほめるのが照れ臭いとか、わざとらしいと敬遠する人も多くいます。

もっと単純に考えてください。
「ほめ」は、相手を肯定することです。
ただそれだけのことと考えないといけません。

要は、どうやって相手を肯定するかが問題なのです。
ここに、ほめることの難しさがあります。

また、初対面の人をほめる場合もあれば、よく知っている人の場合もあります。
先輩や上司といった目上の人の場合もあれば、同僚や後輩といった場合もあります。
さらに、男性、女性といった具合に、シチュエーションやタイミングもさまざまです。
TPOに合わせて、適切な言葉で相手を肯定できるかが問われるのです。
下手なほめ方では、お世辞やオベンチャラと受け取られたり、皮肉と誤解されることさえあるでしょう。
相手を肯定するつもりが、否定になってしまったのでは元も子もありません。

本書では、さまざまな「ほめ」のバリエーションを紹介しています。
習うより慣れることが大事ですから、「ほめるのはなかなか照れ臭いな……」といったプライドを捨て、どんどん気軽に使ってください。

本文で解説しますが、ほめる技術を習得する上で大切なのは、人を否定しない習慣を取り入れることです。

たとえばよくやりがちなのが、ミスをした後輩や、迷惑をかけてきた人へ、批判や否定の言葉を投げかけてしまうことです。

「ダメじゃないか、何やってんだよ」といった言葉がすぐに出てしまう人は、これを封印し、「励ましの言葉」に置き換えるよう心がけてください。


「どうしたんだい、きみらしくないな」「それを糧にすればいいよな」と変換するだけで、すでにほめ言葉になっているのです。

相手を叱りたくなった時、怒りをぶちまけたくなった時でも、その感情を飲み込んで、相手を否定するのではなく、前述のように「励ましの言葉」に変換できないか──と考えるだけで、ほめる技術は飛躍的にアップし、ほめ上手になれます。

ぜひ本書を通じ、「ほめ」の達人を目指し、仕事のチャンスをつかみ、人生の主役になってください。

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