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映画エッセイvol.11

ROMA ローマ 編 Part2

どこか懐かしくまた、新しい

観客に訴えている映像力、この描写は何を示唆しているのだろうという思考にさせてくれるこの映像たちはなんなんだと、そこに強く惹かれた。
映像は全てモノクロ。1970年代を映しているというのに、解像度の高い映像とそこには確かなノスタルジー。セットも当時を再現するために作成したという徹底ぶり。主人公のクレオという女性が彼氏のフェルミンとともに映画館に行ってるシーンなんかは、もうすごかった。
暗がりを利用して、映画そっちのけでイチャイチャするカップル。がめちゃんこいたりとか。タバコも普通に吸っていて、そこらじゅうから煙がもくもくと上がっている状況に、非常を感じつつも、魅せつけられ、儚くもどこか美しさを感じるのは時代のせいだけじゃない、映像の力ではないかと思う。

ストーリー+映像=作品としての奥行

この映画の印象としては映像がとにかく美しい。アート作品を観ている様だった。ストーリーの人間ドラマはシンプルな内容であるが、スクリーンに映されている描写のひとつひとつが美しく、訴えかけてくるものを強く感じる。その結果、ストーリーに奥行が感じられる。

ストーリーの流れが自然

わざとらしさを感じないストーリーの流れに劇としてつくられたもの以上のリアルさを強く感じる。嘘から出たまこと的な。

いろんな作品をみているとついつい突っ込みたくなる描写が出てくる作品があって、それって結構自分の中で楽しい要素でもあるんだけど、ROMAにはそれが1つもなくて、そのかわりに細かい描写に対して敏感に反応することができて、その度にノスタルジックな気持ちになって気持ちよくなってる感覚があったんよな。再現度が高いというか、その時代に自分は生きてないけど、タイムスリップした気持ちになる。

総じて

総じて、この体感するアート映画に思える。ストーリー自体はそこまでの起伏がないが、細かい描写、時代背景、登場人物の心情の妙が詰め込まれてて、心がいっぱいになる内容だったと思える。すごくこの作品に惹かれたのは、魅せ方が非常に凝ってる点にあると思える。セリフがなくとも、わかる空気感とか、展開。自分にとってこういった魅せ方というのは、これからの仕事(農業とか地域デザイン)に取り入れていきたいし、身につけるべきスキルである気がする。



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