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映画エッセイvol.12

誰がために憲法はある

あらすじ

芸人・松元ヒロが舞台で演じ続けている1人語り「憲法くん」をベースに、日本国憲法とは何かを改めて見つめなおすドキュメンタリー。戦後35年目にあたる1980年、初恋の人が疎開先の広島で原爆により亡くなっていたことを知った女優の渡辺美佐子が中心メンバーとなり、ベテラン女優たちと33年にもわたり続けてきた原爆朗読劇が2019年で幕を閉じる。鎮魂の思いを込めて全国各地を回り公演を続けてきた女優たちのそれぞれの思いが語られるほか、日本国憲法の大切さを伝えるために日本国憲法を擬人化し、松元ヒロにより20年以上も演じ続けている1人語り「憲法くん」を、19年で87歳になる渡辺美佐子が、戦争の悲劇が二度とこの国に起こらないよう、魂を込めて演じた様子が収められている。

憲法くん

ピン芸人の松元ヒロさん。この方は日本国憲法を人間に見立てた一人芝居「憲法くん」を約20年に渡って演じ続けている。日本では珍しい政治や社会への風刺のきいたスタンドアップコメディが人気を博し、文化人、知識人にもファンが多い。らしい。

非常に興味深い人物だ。
ネットであるインタビューを読んだ。
そこには憲法くんを作った経緯や笑いに対する考え方が分かりやすく記されていた。
憲法くんというのは、学者が話したらまず、近づきずらい日本国憲法というものをよりわかりやすく伝わるもの、なおかつ面白いものとして変換したのがその姿だ。

大衆とか弱者の立場から、権力者の愚かさを笑う。もともとお笑いというのは理不尽な社会に対する武器みたいなものと語る松元さん。お笑いに対する姿勢も今テレビで人気を博している芸人とはテイストが大きく異なる。マスコミはもっとこういう芸人を取り上げるべきだし、せめて、終戦を迎えたこの時期には世間へお届けするべきだと考える。舞台、絵本、映画になって媒体としてはかなり広がってきているが、テレビへの露出も少なくとも必要であると考える。

ベテラン女優たち

この映画の中で、渡辺美佐子さんを中心としたベテラン女優たちが33年にもわたり続けてきた原爆朗読劇が19年で終わるという。

これまで続けてきた自負を女優たちが話す一方で、これから若い人たちに向けてどうアプローチするかという点に困っている様子がそこには映っていた。劇中でも中学生?に向けて、平和教育の一環で女優の皆さんが“若い皆さん、よろしくね”的なことを言ってたんだが、受け継ぐ形としてはあまりにも簡単すぎるというか、言われた若者側からすれば“そんなん急に言われてもなぁ”ってなるというか。若者にアプローチするんなら、もっとも松元ヒロさんが表に出ていろいろやった方がいいんじゃないかなって思った。


残される若者たち

渡辺美佐子さんは今年で87歳を迎えるそうだ。それだけでなく、朗読劇を演じる女優たちの多くはかなりの高齢者だ。リアルに戦争体験があるからこそ二度と繰り返してはいけないと説得力を持っていえる。しかし残された後の世代はリアルに戦争を経験していない。我々は想像力を豊かに語り継いでいかなくてはいけない。戦争がいかに残酷で、誰一人幸せにならないということを。胸くそ悪い経験を模擬でも経験していかなくてはいけない。と思う。

そこでオススメしたいのが「野火」という映画だ。

これは本当に悍ましい。
低評価も少なくないが、分からなくもない。僕も初めはあまりにも胸くそ悪くて二度と観たいと思わなかったが、事実に対して目を背けてはいられないのだ。なぜこの映画が放映されているのか、その意味を考えることの方が大事なことのような気がする。

改憲について

最近、中田敦彦のYoutube大学というチャンネルで憲法についてやってて、めちゃ分かりやすいし、勉強になるからぜひ観て欲しい。
そこで触れられていたのは改憲のことだった。ぼくも全然詳しくなくて、集団的自衛権だなんだ、かんだいってたのは分かったけど中身は吟味してなかった。

歴史を見てみると、自衛隊の前身、警察予備隊の頃から現在の自衛隊では実力の領域が拡大してきている。自民党はその自衛隊を国防軍とすることを悲願としてきた。現安倍政権では集団的自衛権と緊急事態条項という設備が整い始めている。

軍を持つということはどういうことなのか。国の防衛力は高まる。もしかしたら沖縄の基地もアメリカに返還できるかもしれない。しかしながら、集団的自衛権によって、他国での喧嘩に首を突っ込み、戦を起こしかねない。となると、憲法にある9条はどうなるのか…。この条文があったから今まで一度も日本は戦争せずにこれたのではないか?アメリカの核のおかげか?
日本も核を持たなくてはいけないのか?


戦後から今年で74年経つ。日本は一歩一歩また戦争への道を歩んでるのではないか。
この時期だからこそ、日本国憲法が“誰がための憲法なのか”歴史を省みて意見を持ち主張することが重要なんじゃないかと。

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