見出し画像

ポップコーンは買わない派です。vol.15

グリーンブック

あらすじ

画像3

人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を、実話をもとに描き、第91回アカデミー作品賞を受賞したドラマ。1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップは、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていた。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手として雇われる。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。出自も性格も全く異なる2人は、当初は衝突を繰り返すものの、次第に友情を築いていく。

黒人とグリーンブック

まずグリーンブックとはなんなのか。リアルサウンド映画部さんより引用させていただいた。

リンカーン大統領による“奴隷解放宣言”がなされてから約100年の歳月が流れてもなお、アメリカ南部の多くの州では“ジム・クロウ法”と呼ばれる、黒人が一般公共施設を利用することを禁止制限した法律が存在し、依然として実質的な人種差別が行われていた。公然と黒人の利用を拒否する南部の宿泊施設やレストラン。黒人の旅行者たちが、それらの施設を利用した際のトラブルを避けるため、彼らが利用可能な施設をあらかじめ記したのが、この“グリーンブック”という次第である。

どうやら黒人にとってグリーンブックというのはなくてならない存在だったらしい。

画像4

時代が流れていても、当事者でなくても人々の偏見による差別は色濃く残っているのだ。なぜこのようなことが起こるのか。多様性(=ダイバーシティ)が叫ばれている現代だからこそこの問題は考えていきたい。

ドクター・シャーリーと黒人

ドクター・シャーリーは、9歳からレニングラード音楽院でクラシック音楽の英才教育を受けながら、当時のアメリカの社会状況により黒人がクラシックの世界で成功することは非常に困難だったため、自らをジャズの世界に置かなければならなかった。そして、演奏会では多くの白人貴族の前で演奏し、喝采をあびるものの黒人として差別され食事、トイレ等すべて別にされてしまうのだ。このように、なりたい自分と社会による圧力によって差別を受ける自分が乖離してしまっているのがドクターシャーリーなのだ。

しかしどうだろう、色濃く人種差別が残る世界でドクターは自ら行動し自らのアイデンティティの確立に尽力していったのだ。

かなりのマイノリティである。マズローのピラミッドで言うとかなり自己実現に近い形に自分を持っていくことができているのだ。

画像5

そんなことができる人はそうそういないだろう。映画のシーンの中で、おそらく安い賃金で農作業をしている黒人とドクターが相まみえるシーンがあった。

当時は多くの黒人が安い賃金で働かされていたことだろう。それがつまりマジョリティなのだ。ドクターと、そのマジョリティ黒人とでは自ら考え、行動する力の差があるのだ。このようにマイノリティとマジョリティの差というものも濃くあるのだが、さらに重要なのが、それを取り巻く社会全体である。

ドクター・シャーリーとアメリカ社会

当時のアメリカにはジム・クロウ法という法律があった。これによってアメリカ全体が、考えることをやめているのだ。ただの偏見による差別を普通と思っている。それは白人はもとなり、黒人も同様である。マジョリティはそういうものだから(法律によるものだから)という理由で差別を正当化しているのだ。

トニー・リップとドクター・シャーリー

トニーはイタリア系のアメリカ人で、トニー自身も白人と言えども、かつては白人扱いされなかった人種の一人なのである。いわばマイノリティだ。トニーは映画の中ではノウキンの無学という立場だったが、この世の中は複雑であることは理解してるのだ。国籍、人種、宗教等、様々な要因で価値観が異なることを知っているのだ。それは自分がマイノリティだと自覚し考え、行動しているからだ。

一緒に旅をしてドクターの内面を見ることができたからこそであるという意見もあるかもしれないが、それを理解して受け入れるということができている人というのは当時ではなかなか少なかったのではないかと考える。

この世の中にはまるで同じという人はいない。ひとりひとりが異なっている。マイノリティである。にもかかわらず、そのアイデンティティを見つけられている人はかなり少ない。自分とは違う何かを見つけた時にそれを受け入れること、考えること、やめないでほしいということをこの映画は言いたかったのではないか。

それ自体が多様性の根本を示すのではないか。と思う。

まとめると

みんな違ってみんないい。ってことなんだな。

画像1

P.S.

画像2

とりあえずこの映画を観終わった後はマジでケンタッキーに直行したくなるから、注意...!

参考文献・引用文献;リアルサウンド映画部

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?