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ブレグジットに備えて注目すべきポイントと今後のポンド相場の見通しは?

※こちらはオンラインセミナー「マネトレ」の講演内容をベースにしています。

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ブレグジットまで残り2カ月となった今、特に抑えておきたいポイントを大きく3つに分けて考えてみます。

ジョンソン英首相とEUとの交渉


8/21の英独首脳会談では、メルケル独首相が離脱協定案の焦点となっているアイルランド国境問題の解決策について30日以内に代替案を提示するよう求めました。
また、8/27にはユンケル欧州委員長が「EUは合意なき離脱回避のために可能な限り行動する」と表明しており、EU側は離脱協定案の再交渉には応じない姿勢を崩していないものの、多少態度を和らげているようにも感じられます。

こうした中、ジョンソン英首相は「合意なき離脱(ハード・ブレグジット)」をちらつかせることで、EU側が譲歩してくれるのではと踏んでいる面も見られます。
「合意なき離脱」になると輸入・輸出関税手続きの発生など、企業や市民生活に大きな混乱を与えることになるため、離脱交渉の行方とその結果が今後の鍵を握っているといえるのです。
10月末の期限ぎりぎりまで混迷が続くことになるでしょう。

英議会再開に向けた動き


労働党など主要野党が8/27に幹部会合を開き、経済が混乱に陥る「合意なき離脱」を阻止するための法案を議会に提出することで合意しています。
その内容は離脱期限の延期をEUに申請することをジョンソン英首相に義務づけるものです。

英議会の再開は9/3となりますが、この法案が可決されればポンド高の材料となる半面、否決されればポンド安の材料となります。
ただ、ジョンソン英首相が9月第2週から5週間にわたって議会を閉会すると発表したことで離脱が強行される可能性が膨らんでおり、英議会の出方と法案の行方次第ではポンド相場が揺れる展開も予想されます。

イギリスの経済指標

 英7月製造業PMIが前月に続き6年半ぶりの低水準に落ち込むなど、合意なきEU離脱への懸念が英国経済に悪影響を与え始めていることが浮き彫りになっています。

離脱交渉が暗礁に乗り上げて経済に打撃を与える場合には利下げ機運が高まってくる見方もあります。
そうなるとポンドは更に下落圧力がかかる見通しです。
9/2には8月製造業PMI、9/9には7月GDPの発表が控えていますが、これらの経済指標が前月からどう推移するのか気になるところです。

ポンド/円相場について

ポンド/円相場は8/12以降は持ち直してきているように見えますが、移動平均線は20日・100日・200日いずれも下向きの流れはまだ変わっていないようです。
下落トレンドの中の調整に過ぎないと読んでおいた方がよいでしょう。

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