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人の目を気にして生きる人生

人の目なんか気にするな。自分の好きなことをして生きよう。そんな素晴らしい言葉をよく耳にする。今の世の中はSNSが発達したその陰で、常に人の目を気にしながら生きることに息苦しさを感じている人も多いのかもしれない。確かに人の目を気にせず自分の軸をしっかり持った生き方が出来ればもっと楽に生きられるかもしれない。誰にどう思われるか、皆さんは気にしたことがあるだろうか?
僕はかなり人の目を気にして生きている自信がある。

ちょっと前に、ファミチキとファミチキを挟むためのバンズを一緒に買うと店員さんに「こいつこの後ファミチキを挟むんだ」と思われそうで恥ずかしい的な内容のツイートがタイムラインに流れてきた。ツイッターというものは基本的にウソと大げさが持て囃される空間なのは皆さんもご存知の通りだと思うが、この「パンにファミチキ挟みバレ恥ずかしい問題」は僕にとってウソでも大げさでもなく100%の気持ちで共感することが出来る内容だった。

「はあ?何が恥ずかしいんだ?そもそもファミチキを挟むために売ってるバンズなんだからファミチキと一緒に買うのが当たり前だろ!」

そう仰る気持ちも分かる。とてもよく分かる。ファミマサイドとしてもファミチキを挟んで欲しくて商品開発したのだから、僕がそれを拒むのは筋違いも甚だしい。が、それはそれとして恥ずかしいのだ。何が恥ずかしいのかと言われると論理的に説明するのは中々難しいが、恥ずかしいもんは恥ずかしいのだ。
僕は少し前に、無性にある物が食べたくなって開店時間と同時にスーパーに駆け込んだことがある。ふと手に持った買い物カゴに目をやるとそこには
・食パン
・ピザソース
・スライスチーズ
・ベーコン
以上のアイテム4点だけが入っていた。



ピザトーストやないかい。


「その特徴はもう完全にピザトーストやがな!すぐわかったやん、こんなんもう!」

きっと角刈りにしたレジの人も商品のバーコードをピッピッしながら頭の中でそうツッコんでるに違いない。うっかり「オカンが言うには…」と切り返してしまいそうなぐらい僕の買い物カゴは完全にピザトースト一色だ。しかもこの男、開店時間と同時に駆け込んできている。「こいつめっちゃピザトースト作りたがってるやん!!」と思われても仕方ない。僕は若干の気恥ずかしさを感じたまま店をそそくさと出た。
同じようにカレーを作りたくなって、カレールウとタマネギとにんじんとじゃがいもと鶏むね肉だけを買い物カゴに入れてレジに持って行った時も同じようなことを感じた。
(男のくせに甘口なんだ)
(カレーにじゃがいも入れるタイプか)
(俺なら牛肉にするけどな)
商品をピッピされてる時間、きっとそんなことを思われてるのだろうと勝手に思い込み、また少し恥ずかしくなった。

人の目が比較的気にならない人なら、ここまで僕が何を言っているのか全く意味不明だと思う。本当にこれは同じ人間なのか…!?と思っているだろう。いや思ってる。思ってるに違いない。どうせそうやって僕をそんな目で見てるんだ……!!
何故恥ずかしさを感じるのか、自分でも正直よく分からない。これがもし牛乳やら豆腐やら納豆やらホウレン草やら多種多様なアイテムも一緒に買い物カゴに入ってた場合には恥ずかしさを感じない。ピザトーストの件然りカレーの件然り恐らく「この先の自分の行動を一点読みされること」に恥ずかしさを感じてしまうかもしれない。

同じような理由で超人気作のゲームを発売日に買いに行く時もほんのり恥ずかしさがある。「どうせ今日ウチに来る人ってこのゲームを買いに来っ……ほらやっぱり!」と思われてそうだ。しかも発売日のゲームは大体「ご購入の際はこちらのパッケージは持たずレジでお伝えください」なんて書いてある。ただでさえ少々恥ずかしいのに、自分の口から言わなければいけないなんてとんだ羞恥プレイだ。
いろいろ考えてみたがやはり、大方の予想に沿った行動をしてしまうのが嫌なのかもしれない。例えばドラクエの発売日にゲーム屋さんに行く大半の人の目的は、今日発売されるドラクエを買うためだ。
僕はドラクエの発売日なのに「moon」をレジに持って行くような、とにかく意表を突く行動を取りたいと思っているのだ。
だからもし今後目の前に、はぐれメタルが現れたら逆にこちらから逃げ出してやろうと思う。

ここまで書いてきて思った人もいるかもしれないが、多分僕は自意識が過剰なんだと思う。もしも僕が松本人志だったら「松ちゃんが今日、食パンとピザソースとスライスチーズとベーコンだけ買ってったけど完全にこの後ピザトースト作る気満々で草」的なツイートをされてしまうかもしれないが、皆さんご存知の通り僕は松本人志ではない。僕はただの市民Aなのだ。いやAというのも烏滸がましい、せいぜい市民Uぐらいの存在だ。そんなモブ的存在が何をしたところでそれが注目されたり人から記憶されるということなんて無い。
それに僕もアルバイトの経験はあるが、店員は目の前のお客さんをいちいち観察してないし頭の容量の80%は「早く帰りてえ~」で埋まってる。
だから誰の目を気にしなくていいし、ピザトーストを作りたくなったらピザトーストの材料だけを買い物カゴに入れてもいいし、すき家に行って紅しょうがをビーバーの巣ぐらい牛丼に盛ってもいいし、お寿司屋さんでひたすらサーモンだけ頼んでもいいし、ラーメン屋さんで一口目でスープに行かず初手から味変してもいいし、服屋さんで試着したものが自分に似合わないと思ったら買わなくてもいい。
人の目なんか気にせずあなたはあなたの思うように行動していいのだ。

ただし人の金メダルを噛むようなことだけはしちゃいけない。



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