どうも。こーぞーです。
このnoteは，こーぞーがかつて中学校で社会科の講師をしていた時の授業を紹介するものです。
今回は，中学3年生の歴史的分野で学ぶ、第2次世界大戦の単元で実施していた、「東京裁判―東郷茂徳をどう裁くか―」という授業を紹介します。

前置き

この授業は歴史的分野の授業で，第2次世界大戦について学ぶ単元の，ほぼ最後の時間にあたる授業です。1.5時間分くらいの授業です。

東郷茂徳（とうごう しげのり）という人物は，中学校の歴史の教科書では名前が載らないことが殆どのようですが，戦時中に日本の外務大臣を務めた人物です。東郷は戦争の終結に向けて動いた人物である（ここ大事な点です）ものの，戦犯として極東国際軍事裁判（以下東京裁判）にかけられました。第2次大戦の終わりに東郷に対する判決や東京裁判の学習をして，そこから戦後の学習に繋ぐという流れで授業を設定しました。

ちなみに，これは校内の公開授業として実施した授業ですので，指導案をそのままここに載せます。noteってpdfもアップできるんですね。
また，指導案は校内の研修のまとめの資料でもあります。そのため，指導案に「成果とまとめ」なんていう項目もあります。

指導案（pdf）

pdfをご覧ください。

以下のような内容です。
　1～2ページ目…授業の流れ
　3ページ目…ワークシート1時間目
　4ページ目…ワークシート2時間目
とりあえず3ページ目だけご覧いただいて，東郷をどう裁くかを考えてみてもらうのがいいかもしれません。

授業の概要

授業は，ワークシートを基に東郷の行動について，有罪か否かを考えていくという内容です。特に，真珠湾攻撃とポツダム宣言受諾の時期についてを取り上げています。
①生徒各自で考える
②グループで意見を交流
③全体で共有
という流れです。

以降は，よろしければ指導案をご覧になってから読み進めてください。

指導案の空欄部分や，指導案に載せていない話

・東郷は結局，禁錮20年を言い渡されました。
彼は，戦争を避ける・終わらせるために動いていましたが，裁判中には「俺は悪くない」といったような，自らを正当化するような態度を見せてしまい，少し見苦しかったようです。

・東京裁判の判事の1人に，インドのパール判事がいます。有名な人ですね。
ワークシートの4枚目の空欄は，
「彼は，もし民間人を殺すことが罪なら， 原爆投下 を認めた人を裁くべきだと述べている。」
となります。パール判事の種々の発言は日本寄りのように受け取れることもありますが，そうではなく，東京裁判自体がおかしいというスタンスのようです。

・アメリカのトルーマン大統領や，広島に原爆を投下した戦闘機の機長ポール・ティベッツは，もちろん裁かれていません。むしろ，ポール機長はアメリカでは戦争を終わらせた英雄とされています。アメリカからすれば原爆投下は正しかったのです。
ちなみに，トルーマン大統領に焦点を当てて授業をする先輩もいました。

・終戦時の鈴木貫太郎首相は，戦争を終わらせようと考えていました。そのため，外相にも東郷を起用します。
一方で，陸軍大臣には阿南惟幾（あなみ これちか）を起用しています。阿南は，というか軍は戦争を続けたいと考えていますから，鈴木貫太郎は戦争を続けようとするフリをしたわけですね。
8月14日の御前会議で，昭和天皇が降伏の決断をします。阿南は徹底抗戦を主張していましたが，この御前会議の決定を受けて自殺しました。

反省点

・pdf2ページ目にも書いていますが，ワークシートの最後の設問の，
「問3　戦後の日本は何をすべきか。例えば，国内で改めるべきこと，反省するべきこと，国際社会に主張するべきことなど…」
というのは，最後の設問としてはわかりづらかったです。やはり東京裁判というのは問題のある裁判ですから，そこに焦点を当てればよかったかなあと振り返って考えました。
・グループをもっと仕組んでやってもよかったのです。同じ意見の人同士，違う意見の人同士とかいろいろ考えられます。実際にそこまで時間的な余裕があったかと言うと，なかったのですけれど。そこは私の準備不足です。

お願い

誤り等がありましたら是非ご指摘をお願いします。
また，もしこのnoteを現職の方がご覧になっているんであれば，もっとこうしようとか，ここをいじって授業してみようと思いますとか，そういうのをコメントなどでいただけると結構嬉しいです。私はもう教壇に立ちませんので，実践できる方へのお願いです。
私が授業をするわけではありませんが，ここを他の先生もご覧になるかもしれませんから。

あとがき？

1年のうち，やっぱり8月って戦争について振り返る月だと思います。本当は8月15日とかにこのnoteを投稿しようと思っていたんですけど，できずじまいでした。

ちなみに，今日9月2日は，日本が降伏文書に調印した日です。この日に投稿してみます。

おわり。