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再び推しジュエリーを作ってもらった話

前回のレポはこちら

指輪、ピアスに続き、ネックレスと、ようやく三種が揃いました。今回はネックレスをフルオーダーしました。
12月にオーダー依頼をし、5月に初めてネックレスと対面したときの感動は、今でも忘れられません。オーダーから完成までの過程を、忘れないうちに綴っていこうと思います。

オーダーを受けていただいたお店について

前回同様宝石大陸さんです。

こちらのお店については、前回のレポに簡単に記載しております。
とにかくこちらのサイトのフルオーダーレポを見てほしい!!!!モチーフを小さな世界に落とし込むことに長けていらっしゃいます。何かしらの造形を入れ込んでほしい場合は、非常におすすめです。平面のデザインを立体に起こしたときに、イメージの齟齬がほとんどありません。

ここ、おわかりでしょうか?

縁二本のうちの下段です。模様を浮きだたせています。これ、上の段はそうなっていません。恐らくこうした方が見た目の印象が近くなると判断されてこう設計したのだと思われます。これを見つけたとき、なんて細かい…!と思いました。
他にも、背景の雲につや消し加工を施し、その上につやありの豹を載せることによって、ちゃんとモチーフが際立っているだとか、デザイン面からも様々なこだわりが垣間見えました。プロの仕事…!
職人さんも本当にすごいです!この細かな装飾をなめらかに磨き上げ、組み立てる技術、彫りの正確さ。17パーツほどを組み合わせているそうです。ミクロの世界の作品を仕上げる技術に脱帽です!

デザイン案

今回は某図書館の天井画をモチーフに作っていただきました。
朝焼けイメージでどうしても作りたくて、思いついたのがあの天井画でした。前回のオーダーの際にその話をちらっと出していたために、話はすんなり通りました。(そもそも覚えていらしたのがすごい……!)
石は朝焼けの色に似た石。こちらで青とピンクのバイカラーサファイアを用意していたのですが、「この石はどうですか?」と提案していただいたゾイサイトを今回は選択いたしました。「朝焼けのイメージにぴったりです」と。

朝焼けイメージ。色んな色が見える。

ベースはピンクなのですが、不思議なことにオレンジ、パープル、そしてブルーもたまに見えます。ゾイサイト(通称タンザナイト)の多色性がそうさせるのですが、本当に美しい色です。
バイカラーサファイヤより優しげで、なおかつやわらかくきらめくので、海辺にて、波に反射する光も想起させます。


そしてデザイン。最初に来た質問が何だったかというと、

「彼が見上げた天井画はどれですか?」

…………!?!?!?!?

そう、天井画は三枚あるのです……❗❗❗❗

物語の重要シーン、最期に見上げた目線の先にある天井画を、デザイナーさんは尋ねてきたのです……!予算の都合上少し変更していただきましたが、概ねは反映されています。さ、さすがすぎる……!!!プロ❗❗❗

実は今回のデザインは一筋縄ではいきませんでした。私が、かなり曖昧かつ、難しい注文を出してしまったためです。最初にいただいたデザインを全没にしてしまうなど、マジで最低な客だったと思います。しかしそれにも関わらず、根気よく何パターンもデザインを送って下さり、本当に感謝しております……!
そして決定案を送っていただいたとき、叫びました!

最終的にどうなったかというと……


こうなりました!!
ポイントは以下になります。

  1. 天井画デザインだが、曲線を感じられるデザインにする(直線モチーフが似合わないため)

  2. "彼"と"彼"の要素を入れる

まず①ですが、ここが一番難しかったと思われます。額はもちろん四角い形です。ですが直線デザインが本当に似合わないのです…!なので、曲線的なデザインをどこかに残して欲しい、とむちゃくちゃなお願いをしました。それを見事反映していただいた形になります。四角の要素を消すため、左右の縁を取っ払うというのは、すばらしい案だったと思います。
また、「透かしが好きだ」という話をしたところ、ベースの部分が透かしになりました。この透かしの細かさがとても気に入っています。

雲の部分はつや消しPG。なんと、ロジウムメッキの塗りで濃淡を出してもらっています!
青空はブルーダイヤで再現。


また、最初はピンクゴールドを希望していましたが、最終的にシャンパンゴールドで作っていただくことにしました。シャンパンゴールドはホワイトゴールドのメッキをする前段階の色で、ゴールドより黄みが少ないです。PGより甘さが出ないだろうとのことで、CGを選択しました。

そして②は色々ヒヤリングを重ねて考えました。
一人は、"ダイヤの原石"がいいのではとご提案をいただきました。

ダイヤの原石『ソーヤブルダイヤ』です

この石、カットせずにこの形なのです!削ったり磨いたりもしていません。光に当たるとちらちらとファイアを放ちます。綺麗な八面体になるのは上質なダイヤの証で、普通はカットに回されるため、あまり市場に出回らないようです。
ダイヤの石言葉は「永遠の絆・不変・純潔 」。この石から2つのカットダイヤが誕生します。つまり二つで一つなのです。……どうでしょう? 物語を知っていれば泣けませんか!?
こう、オタクって髪の色、目の色、担当カラーなどで色を決めると思うんですが、そうじゃなくてもっと概念的なことで決めてもいいんだなと気付きがありました。わかりやすさは減ると思うんですが……自分の中で、その石はそのキャラなのです。

そしてもう一人の"彼"のモチーフについては、色々と頭を悩ませました。バラの花束、エメラルドの石……色々デザインに組み込んでいただいて、最終的に『豹』のデザインに落ち着きました。これが結果的にめちゃめちゃ良かったと思います。

ネコより節が骨張っている

豹は最初顔だけだったのですが、全身にできますか?とお願いしました。キリマンジャロの雪の話を思い出したからです。

どうでしょう?彼が語った、「頂上を目指す豹」、そして最期に天井を見上げる彼、見上げた先に見えた最愛の友人。胸がぎゅっとなるデザインになったのではないでしょうか。ちなみにリボンは、彼が投げた花束にちなんだと思われます。

空に空かすとなんとなく天井画っぽくなりますでしょうか?
三種そろいました!

同じお店でシンプルオーダーしたピアスは「朝焼け」と「青空」をモチーフにしています。どちらもバイカラーサファイア。綺麗な石で気に入っています!ダイヤを付けてほしいと頼んだら、シンプルオーダーでも追加料金でつけることが可能でした。

余談

前回のnoteを公開していたところ、嬉しいご報告をいただきました。「この記事を見て、一生心の支えになるようなジュエリーを仕立てることができた」というものです。とても嬉しかったです!ご報告ありがとうございます!

終わりに

ここまでの推しジュエリーを作るには、金額的にもかなりつぎ込むことになります。勇気も必要です。私はこの作品を昔からずっと好きなままでいたので、これからも嫌いになることはないと確信していたからこそ、フルオーダーに至れました。しかし様々な理由から、そうでないのが普通です。
それでも、推しジュエリーは人を幸せにすると思います。世界でたったひとつ、いつでも身につけていられる推し。カップを持ったとき、トイレで鏡を見たとき。ふとジュエリーを目にしたとき、本当に幸せな気持ちになるのです。
そして、消して安くはない金額を払ってでもオーダーしたいと思えるような、一生好きでいられるような作品に出会えたこと自体が、幸せなことなのだと、そう思いました。


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