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【コラム】オープン型マーダー・ミステリー・ゲームの一般的な流れ

昨年10月に、マーダー・ミステリー・ゲームに関する記事を書いた。

このころは日本でこのジャンルのゲームを知っている人などほとんどいなかったが、数か月前から関東や関西を中心にイベントが開催されるようになり、それにつれて認知度も上がってきたようだ。上記記事へのアクセス数や当noteのフォロワーも急増しており、ありがたいことである。

さて、上の記事は総論的なことを中心に書いており、未経験の方が読んでも具体的な流れはよくわからないのではないかと思う。そこで、この記事ではマーダー・ミステリーと呼ばれるジャンルのゲームの一般的な流れを紹介したい。もちろんタイトルによって細部は異なるし、まったく型破りなシステムを採用しているものもあるという点は留意していただきたい。

なお、ここで紹介するのはマーダー・ミステリーのなかでも「オープン型」と呼ばれるものだ。もう一つ「クローズド型」と呼ばれるものもあるが、これは別の機会に紹介したい。

全体の流れ

導入・キャラ選択・シナリオ確認

自己紹介

事件捜査

推理披露・投票

エンディング

導入・キャラ選択・キャラ別シナリオ確認

このパートはゲームの準備段階で、事件発生までのいきさつと各キャラの簡単な特徴(性別、年齢、性格、被害者との関係など)が紹介される。その後、プレーヤーがそれぞれ担当キャラを選択し、そのキャラのシナリオを各自で読み込む。

キャラ別のシナリオは他のプレーヤーに公開してはならない。そのまま読み上げてはならないことがルールブックに明記されている場合もあるが、明記されていないとしても避けるべきだろう。

キャラ別のシナリオには、そのキャラのバックグラウンド、事件発生前後のタイムライン、ゲーム内で達成を目指すミッション、スキルなどが書かれている。

ミッションは、犯人を見つけること(または自分が犯人であることを隠し通すこと)が全キャラ共通で設定されているほか、各自に特別なミッションが設定されていることもある(キャラAと不倫関係にあるという事実を隠し通せ、特定のアイテムを回収せよ、など)。この個別ミッションの存在が、全員をなんとなく怪しいと思わせる仕掛けとなっている。

テキスト量が多い場合などは、事前に担当キャラを決めて各自にシナリオを配布しておくことが推奨される。

自己紹介

プレーヤー自身の自己紹介ではなく、担当キャラの自己紹介を順に行う。タイトルによっては、キャラのシナリオの中で、このパートで話すべき内容が指定されていることもある。その場合は、この時点で早くも重要な情報が伝えられることもあるだろう。

事件捜査

このパートがゲームのメインだ。数時間程度かけ、他のプレーヤーに話を聞いたり、ゲーム開始時に配られるチップを支払うことで捜査(場にある証拠カードを引く)を行ったりする。このパートは数部に分かれていることが多く、新たな部に入ると新たな証拠や情報が提供されたりする。

他のプレーヤーに話を聞く
公開で議論したり、数人で密談したりできる(そのため、数部屋用意できる環境でプレーするのが望ましい)。ウソをついてよいかどうかはタイトルによって異なる。ルールブックに明記されていない場合は事前に合意を形成しておくといいだろう。なお、犯人は無制限にウソをついてよいというのが一般的だ。

捜査を行う
捜査できる場所は、各キャラの部屋、死体、事件現場周辺など複数種類用意されている。カードには、死因と思われる傷、現場の不審な点、個人の所有物などの手がかりが描かれている。重要なものもあればそうでないものもあるだろう。時にはあるキャラの部屋からあからさまに怪しい証拠が出てくることもあるが、それが事件の解決に直結するとは限らない。

手に入れた証拠の処遇はプレーヤーの意思に委ねられていることが多い。公開してもよく、特定の誰かに開示したり渡したりしてもよいし、かたくなに公開を拒んでもよい。ただし、証拠の扱いにある程度の制限がある場合もある(このカードは必ず公開せよ、など)。

通常、自キャラの部屋を捜査することはできない。自キャラの部屋にどのような証拠があるかはゲーム前に確認できたりできなかったりする。確認できない場合でもキャラ別のシナリオの内容からある程度予測できるはずであるが、時にはまったく意外な証拠が紛れ込んでいることもあるだろう。

GMが必要なタイトルの場合は、スキルを使用することで特別な情報を得たり、特定の情報(金庫の暗証番号など)を伝えることで新たな証拠を得たりできることがある。

なお、勝手に他人の所有物を持ち去ったり現場をみだりに荒らしたりするのはまずいのでは、という疑念が持ち上がるかもしれないが、そこはゲームとして割り切ろう。

推理披露・投票

全員で1回ずつ推理を披露する。その後、全員で一斉に犯人と思われる相手に投票する。

解答用紙に名前を書くパターンもある。この場合は、キャラ別のミッションに関わる答えを一緒に書かせることが多い。

エンディング

犯人を当てることができたか否か、およびキャラ別のミッション達成状況を確認し、それらに対応するエンディングを読む。

ミッションはキャラによって達成難度にバラツキがあったりする。そのため、マーダー・ミステリー・ゲームは勝敗を決めるというよりは、その場に集まったメンバーだけの物語を作り上げて楽しむという側面が大きいように私は思う。

犯人を探すという点は人狼と、1回限りの謎解きという点はリアル脱出ゲームと比較されることが多いが、各人にそれぞれストーリーが存在するという点が、これらのゲームとマーダー・ミステリー・ゲームを決定的に分かつ点だ。

一見すると全員が犯人発見に向けて協力しているように見えるが、実際には各自の思惑が交錯している。この同床異夢の状況からその場だけの展開が作り上げられるという点が、このジャンルの最大の魅力である。

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中:卡坦島 / 日:カタン
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T.Mizutani

中国・大連で3年、上海で4年暮らして日本へ帰ってきました。名古屋在住フリーランス中日翻訳者。契約書や電子ゲームのほか、ボードゲームの説明書なども翻訳しています。野球・ボードゲーム・中国茶が好き。Twitter:@T_Mizutani、メール:raytiagu0802★e23.jp

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