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影響力の法則について(9)

「電子書籍の売り上げに悪影響を出さずに、紙の書籍の在庫も完売できること」

ここで、私たちが必要なのは直接権限を持たない他者への影響力である。
顧客のカレンシーを見つけることから始める。

例えば「お得感」による影響を検証する。個別のグループ(100人)に購入方法の選択肢を変えて検証を行う必要があった。

1つ目のグループには以下の選択肢を用意した。

 1.電子版だけの購入(300円) ⇒ 選択率16%
 2.印刷版だけの購入(600円) ⇒ 選択率0%
 3.印刷版と電子版のセット購入(600円) ⇒ 選択率84%
 売上:300(円)×16(人)+600(円)×84(人) = 55,200円

印刷版だけの購入はおとりである。当然だが最も選択されたのは、お得に感じられるセット購入だった。

2つ目のグループにはセット購入を無くし、以下の選択肢だけを用意した。

 1.電子版だけの購入(300円) ⇒ 選択率68%
 2.印刷版だけの購入(600円) ⇒ 選択率32%
 売上:300(円)×68(人)+600(円)×32(人) = 39,600円

ここで最も選択されたのは電子版であった。つまり、おとりを用意しセット購入を付け加えることによって、お得に感じられる錯覚によりトータルで印刷版の選択率が52%も向上するのである。

更にセット購入は時限的なものとして、在庫が無くなり次第終わることも付け加えた。


※例は行動経済学者ダン・アリエリーのTEDスピーチを参考にしています。

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