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奇跡の起きないテレビはつまらない

「奇跡の起きないテレビはつまらない」元々は師匠萩本欽一が言った言葉である。最初に聞いたのは33年前の「欽キラリン530!」という番組の稽古場。出演者Aがノールックで足で飛ばしたスリッパをBが足でスパッと入れて履くという稽古。何十回もトライしたがとてもじゃないができるはずがない。そこにいる出演者スタッフが「絶対無理だ」という空気が出た時に『本番ではできる!このくらいの奇跡が起きないテレビはつまらない!やる意味がない!」そして本番!果たして・・・失敗!
そして番組はまもなく終わった。
でもその時分かった。「欽ドン!」「欽どこ」「週刊欽曜日」30%超えたあの番組たちはきっとこのくらいの奇跡を起こしたから歴史に残る番組になったのだ。そうならない番組は欽ちゃんには「やる意味がない」ということなのだろうと。
2回目に聞いたのは映画「We Love Television?」で僕が深夜欽ちゃん宅にアポなしで「もう一度30%番組を作りましょう!」と言いに行った時。この時欽ちゃんは「嬉しいこと言ってくれるねえ。よしやろう!」と言ってくれた。その後欽ちゃん宅に押しかけていろんな話を聞いた時に「今のテレビは勇気がない。だから奇跡が起きない。だからつまらない」と言った。
僕も最初の欽ちゃんがそう言ったのを聞いてから「奇跡の起きる番組」をなんとか作ろうとしてきた。そして電波少年やウリナリ!、雷波少年で勇気を持って番組制作を続けた結果、ヒッチハイク三部作、アラファト議長、懸賞生活、ドーバー海峡横断、ブルームオブユースの武道館ライブ、数えきれない奇跡を起こして番組を作ってきた。
今でも「あなたの作る番組は面白かった」と言ってもらえるのは数々の奇跡を指していってくれるのだと思っている。

そして今日久しぶりに奇跡が起きた番組を作れた。
それは豊田市のケーブルテレビ・ひまわりネットワークの「進め!豊田少年家族」の”ひまわり畑を作ろう!”コーナーロケで今日起きたのだ!

簡単に企画の説明をすると最初に「なぜひまわりネットワークはひまわりなの?」とアドバイザーになる時に聞いたら「それは豊田市の花がひまわりだから」だと。「じゃあ市内に大きなひまわり畑があるのね」と聞いたら「市内でほとんど見たことがない」と。「それはおかしい!じゃあ夏のおいでん祭りの時に咲くようにひまわり畑を市内に作ろう!」という企画を4月からスタートした。結果9ヶ所のひまわり畑を作る話にトントン拍子になりあとはおいでん祭りの今日咲くのを待つばかりとなった。
そして昨日9ヶ所のうちの7ヶ所のひまわり畑を見て回った。
なんと!1ヶ所も咲いていない!
今年大雨があってタネが全部流されたり、土壌が元々ひまわりに合っていなかったり(最初から相談した園芸会社さんはプロなのにわかってなかったのか?)日光が少なくて成長が遅かったり1ヶ所も咲いていないのだ。
いや訂正をすると1ヶ所はキレイに咲いていた!それはひまわりネットワーク本社周り。でも詳しく聞くとそこは早く植えすぎて早く咲きすぎてもう一度枯れてしまったのだと。だから他から苗を持ってきて咲かせたのだと。


自然相手はこちらの思ったようにはいかない!
思い知らされた‼︎
だからロケの中で「我々は大きな失敗をしたかもしれない!しかし失敗をしたというのは挑戦をした証なのだ!我々はこの失敗を誇り来年に繋げよう!」と宣言した。
そしておいでん祭り花火大会当日。残り2ヶ所を回った!
あるべき場所には咲いていなかった!しかし道路を挟んで向かいの畑には何十ものひまわりが咲いていた。聞くと最初の広大な畑は大雨で水が溢れ全部タネが流されもう一度蒔いたのでかなり遅くなりそうだ。でもその最初のタネが余ったので向かいの畑に蒔いてそちらは水害に合わずに順調に育って今60本くらいのひまわりが咲いていたのだ。黄色い間違いないひまわりを見た時に嬉しかった!「一歩は踏み出した」と思った。何十枚も写真を撮った。


そしていよいよ最後のひまわり畑へ。
そこは花火が見える畑をどうしても作りたい!という思いでその花火が見える場所を探し回り「ここなら」ということで持ち主の連絡先を調べ、電話して許可をもらい植えたところだった。各ひまわり畑に由来の名前をつけていったのだが、そこは花火が見えるひまわり畑の第1号!ということで
HANABI-1 と名前をつけた。
しかしほとんど同じ条件の8ヶ所のひまわり畑が咲いてないのだから・・・
と近づいていったのだが
あの「幸福の黄色いハンカチ」のテーマが頭の中で鳴った!
まさにその黄色い花が何十本、いや何百本いや千本以上のひまわりの花が見えてきたのだ!
車から飛び降りた!許可をくれたオーナーの姿が見えた!オーナーの第一声は「奇跡が起きた!」でした。
毎日のように心配で見にきてくれたオーナー5日前から一つ、また一つと咲き始めたと。だけど昨日は20本くらいで残念だけど明日の花火大会には大して咲いていない畑を晒さなくてはならないと覚悟していたと。
それが今日来てみたら一面の伊ひまわりが咲き誇っていた!と。

どうみても天が起こしてくれた奇跡だった!
なぜこの奇跡は起きたのか?
まずひまわり畑を作るには土地があったとしてもそこの雑草を取り畝を作りタネを撒くという作業が必要になる。これは9ヶ所となれば園芸会社にお願いするしかない。その見積もりを取ると数百万(も上の方)になると言う。ケーブルテレビの番組にとっては決して安い値段ではない。しかし社長が決断してくれた。「番組の中で宣言したことだ。最後までそれをやり切ろう!」と。
ここに大きな勇気があった。
そしてもう一人はひまわりネットワークの担当ディレクターF氏。異例の予算をかけてスタートしたプロジェクト。その重みは彼の肩にのしかかった。
毎日のように畑の生育状況を見て周り、園芸会社と打ち合わせをし雨で流されれば次の手をすぐに打ちと何ヶ月もひまわりに賭けてきた。
その思いがこの1000本以上のひまわりを見た時に爆発した。29歳の彼の目から涙が溢れた!本当に一生懸命このプロジェクトをやってきた証だと思った。彼が奇跡を起こしたのだ!

こうして目標である出演者全員でひまわり畑の真ん中に行き1000本以上のひまわりに囲まれおいでん祭りの花火と一緒に写真が撮れた!

このロケが終わって僕は改めて思った。
奇跡の起きる番組はなんて面白いんだ!
なんて素晴らしいんだ!
そして奇跡の起きない番組は本当につまらない。
つまり勇気のない番組は奇跡が起きないからつまらない。

改めて「勇気のある番組」を作り続けたいと思っている。

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