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2030年 買い物の未来

私が最近、見た本を紹介しようと思います。
それは「2030年全てが「加速」する世界に備えよ」という本です。

この本は10年後の未来に起こるであろうう事柄が第14章で構成されまして、
過去から現在を深く学び,未来予測を論理的に解読した本です。

その中の第5章「買い物の未来」について特に個人的に興味を持ったので、
その内容をまとめてご紹介しようと思います。

はじめに
進化するテクノロジー(人工知能,AI)が同じく進化する別のテクノロジー(拡張現実,AR)と組み合わさった時,何が起こるか。小売り,広告,娯楽,教育を始め多くの産業に破壊的変化が起きていて、しかもこれからさらに大きな変化が起ころとしているのは両者の「コンバージェンス(融合)」の結果である。
このようなコンバージェンスが加速度的に起きている。それが成果の変化のスピードと規模を一気に高めてきた。だから声を大にして言いたい。「シートベルトを締めて。相当荒っぽいドライブになるぞ」と。
これからの10年が劇的なブレイクスルーと世界を一変させるようなサプライズに満ちたものになるのは間違いない。地球上の主要産業が一つ残らず、全く新しい姿に生まれ変わろうとしている。起業家、イノベーター、リーダー、そして機敏さと冒険心を持ち合わせたあらゆる人にとって、とほうもない機会が待ち受けている。私たちの想像を超えて加速する未来、かつてないほどの勢いで空想が現実化する世界が到来する。
ピーター・ディアマンディス&スティーブン・コトラー , 2030年全てが「加速」する世界に備えよ : 
大日本印刷株式会社, 2020, 445p.978-4-910063-13-3.

第2部 すべてが生まれ変わる
第5章 買い物の未来


(過去の物語)シアーズの成功と没落

腕時計に始まりヘッジファンド・マネージャーの手によって幕を閉じた。
そしてその間に国のかたちを変えた。
そう、「シアーズ・カタログ」の話から変化ははじまっている。

1883年シアーズは小さな時計の小売りとして企業を始めていた。
駅員には列車を時刻通り走らせるためには腕時計が必要になった。
誰もが腕時計を求めそれを購入した。それがシアーズの始まりの話である。
それから企業は成長し続け「農村部無料郵送法」が可決されことにより、
新たな市場がひらけ、自動車の普及もその追い風となった。
道路網も整備され通信販売業者はアメリカ中の全ての家庭にサービスを提供できる様になった。こうしてシアーズ・カタログはアメリカ市場有数の大衆化の推進力となった。

シアーズのカタログは顧客を差別しなかった。
価格は明確に表示され、階級、宗教、肌の色に関係なく誰もが同じ価格を支払った。
10年も経たないうちにシアーズ・カタログは500ページを超えた。
まもなく『消費者のバイブル』と呼ばれる様になり、
まるでアメリカ経済そのものの目録の様だった。
通信販売の絶好期だった1915年には、カタログは1200ページになり、取扱商品数は10万点、年間売り上げたかは1億ドルを超えていた。ただこれはほんの始まりに過ぎなかった。というのもシアーズは通信販売に続いて小売業にも進出し、国内消費の1%をシアーズが占める様になった。驚異的な成功にはいくつか重要な要因がある。

「同じタイミングで三つの重要なテクノロジーが登場し、融合することで、新たなインフラが生まれます。それによってエネルギーの使い方やバリューチェーン全体の経済活動のあり方が変わります。三つのテクノロジーとは、経済活動を効率化するコミュニケーション技術、新たなエネルギー源、そして新たが移動手段です。」と文明評論家のジェレミー・リスキンが指摘している。
シアーズにもたらした変化はまさに、アメリカ郵政公社という新たなコミュニケーション技術、テキサス州で生産される安価な石油という新たなエネルギー源、そして自動車という新たな移動手段が登場したからだ。

しかし、大成功を成し遂げたシアーズは誕生から132年後の2018年秋に破産した。
一体何が起きたのか。

素材提供者:KEN   撮影場所:シカゴ(アメリカ イリノイ州)

(今の物語)ウォールマート、そしてアマゾン

ディスカウントストアの先駆者はシアーズだったがウォールマートの方が上手だった。
ウォールマートはシアーズよりも地下の安い場所に店を建て、従業員の賃金を低くし、安価な商品を販売した。だが何より重要だったのは、エクスポネンシャル・テクノロジーの可能性にいち早く気づいたことだ。

ウォールマートはデジタル・テクノロジーを活用して買い物客が何を買っているのか把握し、その情報を本部に伝え、一番売れているブランドや商品をを大量に注文した。『効率的で安く売る』という点でウォールマートが圧倒的成功を収めるなか、シアーズの凋落は速かった。

しかし、小売業の破壊的変化はこれで終わりではなかった。
当然ながら歴史は繰り返す。
ウォールマートがシアーズを破壊していたところに誕生したアマゾンは、
両者のモデルの最大の強みを融合させた。
シーアズに大成功をもたらした郵便サービスと、ウォールマートに大成功をもたらしたコミュニケーション技術を活用したのだ。

ここ10年の小売業界販売「変わった」などという生易しいものではない。アマゾンやアリババといったeコマースの巨人が業界のデジタル化を牽引し、エクスポテンシャルな成長で新たな高みを目指している。
一方、店舗を構える小売業ではシアーズと同じように破綻する企業が続出した。
2017年だけで6700社に達しどれほど凄まじい大変動が起きているかわかるだろう。

(未来の物語:序章)eコマース革命は始まったばかり

今の破壊的レベルも確かに不安であるが、eコマース革命はまだはじまったばかりである。2017年の段階では、まだ小売業全体の10%を占めるにすぎない。それはインターネットにつながっていいない人がたくさんいるからだ。
ネット接続人口は2017年で38億人。2025年には82億人に達する。
買い物客は居心地のいい自宅からモバイルを使ってネット上で済ませる様になる。
リフキンの言う「新たな経済的パラダイムシフト」の震源地なのだ。

一つ確実に言えるのは「買い物」という体験がこれまでとは違ったものになる、と言うことだ。

(未来の物語:第1章)AIが小売業と「買い物体験」を根底から変える

AIはカスタマーサービスから商品配送まであらゆる側面に関わり、小売業を安く、早く、そして一段と効率化する。あらゆるストレスを取り除き、いずれ私たちがAIに買い物を完全に委ねれば、もはやエクスペリエンスそのものが消える。

今まさに音声作動式、AI支援型のコマース・プラットフォームとして優位に立とうとしのぎを削っているのは、アマゾンの「アレクサ」、グーグルの「グーグル・ナウ」、アップルの「シリ」、そしてアリババの「Tモール・ジーニー」だ。ここに伝統的小売業が一つも含まれていない。小売業者が続々と破綻に追い込まれるだろうという予測は、ここから来ている。

小売業においてAIが次に破壊する分野はカスタマーサービスだ。優れたカスタマーサービスは購入の可能性を42%高める一方、お粗末なカスタマーサービスは52%の確率でその顧客を永遠に失う。企業への影響は極めて大きい。
消費者の代わりに電話をかけるテクノロジーは小売業者の電話対応にも使える。
この技術は二つの方向性がある。
まず、人間によるカスタマーサービスを続けたいと考えている企業に向けた「AIカスタマーサービス・コーチ」の開発だ。これは顧客の声の抑揚を分析し、感情を判断できる。それを人間の販売担当者に伝え顧客の感情を理解し、上手に反応できるようサポートしている。
もう一つは生身の人間のようなカスタマーサービス・アバターの開発だ。
AIによるカスタマーサービスは40%ほど顧客を満足させられ、人間を一切介入することなく完了するからことができる。

(未来の物語:第2章)レジ係が消える 

2026年のショッピング
精算の順番を待つ必要がない。さまざまなカメラやセンサーが追跡し、
店を出る時に自動的に銀行口座から引き落とされる。
取引が完了すると同時に、店の陳列棚に埋め込まれたセンサーが店のAIにアラートを送る。AIはメーカーに不足分の商品を注文し従業員に比重するようメッセージを送る。
トレンドにも気づき在庫管理システムは売り切れに備えて多く注文しておく。

この未来はそう遠くない。ここにあげたテクノロジーはすでに存在している。
顧客をレジ待ちのイライラから解放する自動生産機のはすでに実用化されている。
アマゾンが2018年1月、シアトルに「アマゾン・ゴー」1号店を開いた。翌年7店舗オープンした。アマゾン・ゴーの回転式ドアを通るのは「地下鉄の改札を通るようなもので、店での買い物は万引きをするような感覚に近い」と〈ニューヨークタイムズ〉紙は描写をしている。
お客は店に入るときにスマホでQRコードをスキャンし後は全てAIが引き受ける。カメラは通路を移動するお客を追跡し、陳列たなに埋め込まれた重量センサーが商品の動きを追跡する。お客は欲しいもの掴んで鞄に入れ、家に帰るだけ。買い物代金は店のドアを通るときにアマゾンアカウントに自動的に請求される。
ここでのテーマもストレスフリーなショッピング。レジの長蛇の列は買い物客の意欲を削ぐ。しかもレジ係には人件費もかかる。マッキンゼーは自動精算によって必要なテインの数を減らすことで、小売業は2025年までに年間1500億ドルから3800億ドルの費用を削減できると見積もっている。

スマート陳列棚テクノロジーはすでに実現している。無線ICタグと重量センサーを使い、商品が棚から無くなったことは探知する仕組みだ。このイノベーションは万引きを探知し、在庫補充を自動化し、在庫が常に適切な場所にあるかチェックする。現在、インテル製のスマート陳列棚にはスクリーンが埋め込められている。いずれスマート陳列棚にはAI機能が搭載され、お客と対話もできるようになるだろう。

小売業で一番大きく変わるのは、効率性だろう。サプライチェーン・マネジメントの効率性は劇的に変わる。在庫レベル、サプライヤーの質、需要予測、生産計画、輸送管理などが根本的に急激に変わっていく。

(未来の物語:第3章)小売業はロボット無しには回らなくなる

すでに市場には10種類の宅配ロボットが存在し一般道を走り始める。
一方頭上にでも動きがある。
2016年にいち早く名乗りをあげたのはアマゾンだ。「プライムエアー」と銘打って、ドローンを使って注文から30分以内に配送する計画を発表した。

配送ロボットがあれば店に足を運ぶ手間は省けるが、昔ながらの方法がいいという人には、店内で買い物をサポートしてれるロボットもある。

ウォールマートは在庫補充ロボットを、
家電量販店のベストバイは24時間営業の一部の店舗でレジ担当ロボットを、
住宅リフォーム・生活家電チェーンのロウズ・カンパニーは商品を探すサポートをしながら在庫を確認するロウズ・ボットを使っている。
ロボスティクスが最大の恩恵をもたらすのは倉庫業務だ。
(アメリカの)人件費が上昇する中、ロボットはあらゆるところへ浸透していくだろう。店の経営者にとって、病気や遅刻、負傷する人間労働者を雇うのは次第に割に合わなくなっていく。ロボットは休みなく働く。

(未来の物語:第4章)
  3Dプリンティングが小売業にもたらす「四つの変化」

1、サプライチェーンが消える:
小売業は原材料を購入し倉庫や店舗で商品を自ら印刷できるようになる。
これは卸売業者、メーカー、物流業者が不要になることを意味する。

2、ゴミが消える:
必要な材料を必要なだけ使用する3Dプリンティングは最適なソリューションと言える。

3、交換部品が消える:
3Dプリンティングが交換部品を生成する。商品の寿命が格段に延びることを意味する。

4、商品はユーザーがデザインする:
ファッションから家具にいたるまで、デザイナーでなくユーザーがそうひんをデザインするのが当たり前になる。

ただそうなるとアレクサが商品を注文し、3Dプリンターがそれを作り、ドローンが玄関先まで届けてくれるようになる未来がやってくる。
買い物に出かける人はいるのだろうか。

(未来の物語:第5章)小売業の最後の望みは「体験」

モノがあることを当たり前と思うようになった現代人は
直接的で記憶に残るリアルな体験に、モノを所有する以上の価値を見出すようになった。
例えば五感を心地よく刺激する植物あふれるスマート更衣室にマインドフルネスワークショップもある。マジックミラーを使い、さまざまな新製品を試着した姿を見られるようにするなど。
未来のショッピングセンターは言わば、パーソナリゼーション(個別対応)を徹底した「ハイパーコネクテッドなマイクロシティ」だ
娯楽、健康、教養、パーソナライズされた商品のマッチングサービスを融合して、顧客が「より良い自分」になれるようサポートし、消費者に買い物のための外出する動機づけを与えようとするのだ。

上手くいけば小売業は「コンバージェンス産業」になる。消費者は商業施設に足を運ぶことで、いくつもの恩恵を享受できる。買い物は健康、娯楽、学びなど多くの機能を兼ね備えたエクスペリエンスになる。

そうでなければ買い物もまたAIにアウトソースされ、ショッピングモールそのものが過去の記憶となるだろう。

(未来の物語:終章)ショッピングモールはもういらない

2029年のショッピング
VRヘッドセットを装着して、AIと会話をする。
「明日の着ていく服が欲しい」というだけですぐにバーチャル・ブティックに
テレポートされる。移動時間はゼロだ。すでに商品はあなたのサイズだ。
この店から全てのデザイナーの全てのデザイにアクセスできる。
その場でファッションショーを見れ、歩くモデルは全員あなたにそっくり。
最新の流行を即座に身につけることもできる。
選び終えるとAIが代金を支払い、3Dプリンターが倉庫で新しい洋服を製作し、
ドローンがそれを自宅まで送り届ける。費用は中間業者が一切入らないので、
かつての店の金額の半分程度だ。

こんな具合に買い物が非物質化、非収益化、大衆化そして非局在化する未来、
わかりやすい言葉にすると「ショッピングモールの終わり」はまじかに迫っている。
もちろんそれから数年も経てば、自動運転の空飛ぶタクシーがウエストフィールドの『デスティネーション2028』に連れてってくれるだろう。
わざわざ出かけるだけの価値がある経験ができるかもしれない。
そうだとすればモールは完全に終わりを迎えることにはならないかもしれない。
いずれにせよ小売の世界は根本的に変わる。

ピーター・ディアマンディス&スティーブン・コトラー , 
2030年全てが「加速」する世界に備えよ : 
大日本印刷株式会社, 2020, 445p.978-4-910063-13-3.

最後に

この本は10年後の未来を
過去から今にかけて分析し、未来の予測を論理的に組み立てています。
私はこの本で未来の予測仕方を学ばさせいただきました。

また、私はこの本をバイブルとしてさまざまな決断を行なっていこうと思います。
あくまでも予測なので、全てこの本にベットできないですが、
困ったときはこの知識の本を軸に考え、決断していこうと思います。

今後、さまざまな未来が訪れると思うと、ワクワクが止まりません。
10年後20年後日本はどんな未来になっているのでしょうか。
世界はどんな未来を作っているのでしょうか。

私もそんな未来を見てみたいし、
私がそんな未来を作っていかないといけないと思いました。
私の未来が次の世代の未来でもあります。
加速する未来に備えて運転手として走り続けます。

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