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議会で、「立地適正化計画とまちづくり」について質問しました。

 12月11日、ふじみ野市議会で、一般質問で「立地適正化計画とその後のまちづくり」について市役所の考えを聞きました。
 立地適正化計画とは、コンパクトシティと呼ばれる都市計画に関する国の制度です。これまで都市計画では、開発を行う「市街化区域」と、基本的に開発を行わない「市街化調整区域」が代表的な制度でしたが、「計画」は、市街化区域の中に、住宅を対象とした「居住誘導区域」を設け、その中に医療・福祉・商業・公共交通などの「都市機能誘導区域」を設けるものです。
 何が変わるのか?というと、市街化区域の中に、居住が誘導されない区域が生じます。この区域(誘導区域外)で住宅開発する際は、届出が必要になります。都市機能施設(病院やスーパーなど)も同様となります。

 質問は、「時間表と住民参加」「計画による変更の可能性の認識(用途地域の見直し、建蔽率・容積率の変更、長期にわたり未着手の都市計画道路の見直し・企業誘致候補地の変更)」「景観・空間デザインに関する規定策定への考え」の3つです。
(目的)
 まず、計画案の策定は、市の委託を受けた事業者が行いますが、市民、特に若い方の意見が十分に反映されることを求めます。次に、居住・都市機能誘導区域では、限られた区域に施設が集中していくことが想定されますので、土地空間の有効利用に着想されることを求めます。最後に、やはり限られた区域に施設が集中していくことが想定されますので、景観に関する規定を策定することを求めます。正直、いずれも、立地適正化計画策定の初期段階である現在、明言があるとは期待していませんでしたが、早い段階で、構想・需要を伝えておくことが肝要と考えました。「議員や市民が声を上げ、役所が関連事項について気づき、調べ始める」というプロセスの第一歩に入ることが重要と考えています。

(質問)一番目の質問「時間表と住民参加」です。計画公表までのスケジュールとワークショップなどの計画策定の過程への住民参加の機会についてうかがいます。
(回答)
 スケジュールとしては、令和7年3月の計画公表を目途としています。庁内検討委員会を設置し、検討内容を都市計画審議会にご報告し、委員のみなさまからご意見をいただきたいと考えています。
 素案の段階で、パブリックコメントを実施し、その期間中に東西地区においてそれぞれ1回、市民説明会の開催を予定しており、そこで意見を聴取し、必要に応じて計画に反映させることを考えています。ワークショップを行う予定はありません。
(意見)
 まず、他の質問「道路の振動の測定」「防犯灯設置の行政指導」などの質疑の関係で、十分な再質問の時間が得られなかったことを説明させていただきます。
 ワークショップを開催しないのは遺憾です。都市機能誘導区域は、実質、駅前が想定されており、どのような施設を誘導するかは、どのような駅前をつくるのか、ということにつながります。参加者が調査し、議論を尽くす機会があればと考えます。別の機会に、担当課には、若い方が意見を表明する仕組みを検討していてほしいと求めました。

(質問)二番目の質問です。
 以下の内容について、計画による、変更の可能性についての認識についてうかがいます。(用途地域の見直し、建蔽率・容積率の変更、長期にわたり未着手の都市計画道路の見直し・企業誘致候補地の変更)です。計画では、住宅や都市機能施設の誘導区域が設けられます。誘導区域の中では、土地の活用がより効率的になりますので、上に用途地域などの見直しが有りうるのか否か、また、市の企業誘致基本計画では、市街化調整区域に、企業誘致候補地として「産業系土地利用促進ゾーン」や「産業団地候補地」が設けられていますが、立地適正化計画策定で、何等かの影響が生じるのかうかがいます。

(回答)
 立地適正化計画の策定につきましては、本市の現状分析を行っている段階であり、用途地域、建蔽率・容積率、長期にわたり未着手の都市計画道路の見直しについては、現時点では考えていません。
 本市の企業立地候補地は、市街化調整区域にあります。各誘導区域は、市街化区域に設定されるものであり、調整区域にある企業立地候補地の変更は生じません。このことから、企業誘致候補地の変更を行うことについても、現時点では考えておりません。
(所感) 
 本来は、ここで、「用途地域、建蔽率・容積率、長期にわたり未着手の都市計画道路の変更が行われる場合の前提」について再質問すべきところですが、時間の関係上、できませんでした。回答の中に「現時点では」と一言入った点は、「将来の可能性に含みを残す」表現と受け取れます。
 なお、国土交通省のHPで、立地適正化計画の作成に係るQ&Aの54では、誘導区域と用途地域の不一致がある、あり得る旨示しています(下文章参照)。つまり、計画策定後の用途地域見直しはあり得るということになります。

https://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/content/001475629.pdf

 たとえば、居住誘導区域であれば、第一種低層住居専用地域などで需要がタイトになることも考えられます。建蔽率を緩和することでこれを改善することができます。議会では、分析の内容、市民や専門家の意見、状況に応じて、効率的な土地空間利用の措置を講じることを求めました。

 「公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文「2022 年 10 月立地適正化計画策定後における用途地域の見直し実態に関する研究」では、立地適正化計画策定によって、アンケートに応じた自治体の約26%が用途地域の変更を行ったとされています。変更の可能性自体は常に存在するわけですが、質問は、計画によって、住居や誘導施設が集まるようになるわけですから、土地や空間の利用の仕方に影響を出ることは自明なので、こうした既存の規定・制度の変更の可能性について、戦略的に検討していただきたいと、別の機会に、担当課に伝えました。
 
(質問)三番目の質問「景観・空間デザインに関する規定策定への考え」です。
 立地適正化計画によって、都市機能建築物、住宅が誘導区域にこれまで以上に集積されることになります。誘導区域の街並みはどんな外観をつくっていくのでしょうか。我々が見る街並みが少しずつ変わっていくことが想像されます。新しくつくられる、改築される建物、道、植栽、見上げる空、水がある場所、変わっていく街並みに、景観計画や、空間デザイン(ランドスケープ)の計画など策定することは、非常に有意義だと考えます。この景観、デザインは、近年20年くらい、まちづくりの重要な要素でした。本市においても計画の策定は、景観、デザインのまちづくりを始める絶好のチャンスです。シティブランディングの一環でもあります。そして、まちづくりに、一つの共通の概念、精神を設け、我々世代が始め、そして次の世代にゆだねる、まちのストーリーがやがて、できあがっていくわけですが、考えをうかがいます。

(回答) 
 景観・空間デザインにつきましては、埼玉県が策定している埼玉県景観条例に基づき、行為の届出に係る事務を運用しています。
 立地適正化計画の策定により、誘導区域を定めることとなっていますが、景観・空間デザインに関する新たな規定を設ける予定は、現時点ではありません。
 (意見)
 立地適正化計画、特に駅前など都市機能誘導区域は、今後、景観の変化が予想されます。市民の景観に関する考えを凝集した、本市の景観計画の策定が必要と考えます。近隣では、和光、朝霞、志木、川越などは既に策定しており、本市も、景観計画、空間デザイン規定の策定していただきたくお願いします。埼玉県のHPでは、景観計画を策定した自治体の一覧表を示しています(下記参照)。景観計画の策定を推奨するものと受け取れます。
 https://www.pref.saitama.lg.jp/a1102/keikansakuteijoukyou.html

 国土交通省は、「景観まちづくり」との呼称も使っていますが、これは、市民のまちづくり参加の重要な部分であります。
 
 (所感)
 景観は一度損なわれると回復することが容易ではありません。
市役所は、景観についての理念を語ってほしかったです。今後、景観に関する規定策定の議論が議会や市民の間で、活発になることを願います。

 昨年7月、広島県福山市を訪れ、同市の景観計画について学びました。

https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/uploaded/attachment/5433.pdf

 

「福山市景観計画」より

風致の保全、落ち着き、風格、にぎわい、楽しさ、歩いてみたくなる、快適さ、という概念が挙げられています。さて、ふじみ野市の景観にあてはまるものは??


 「景観に対する市民の想い」は、現代のまちづくりに欠かせません。
以下は、奈良県葛城市HPより。
 大規模な開発等により、その特徴的な景観が阻害される事案が増えています。一度壊された景観の回復は容易ではなく、長時間を要することから、今後このような行為を未然に防止する取組が必要となります。
また、景観はそこに生活する人々の身近な環境によって形成されるものであり、良好な景観を維持しようとする市民の意思は、その主体的な取組を通じて市民の地域への愛着をはぐくみ、地域の活性化に寄与するものです。



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