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議会で、「開発行為に関する規程」(防犯灯設置の行政指導)について質問しました。

12月11日、ふじみ野市議会で、一般質問で「開発行為に関する規程」について市役所の考えを聞きました。
(目的)
 この質問と前の質問は、当初は質問の予定はありませんでしたが、長く続いている行政の不作為(防犯灯を設置しない)による住民の不利益状態を放置できないと考え、質問に組み入れました。このため、再質問の時間が大変少なくなってしまいました。
 この問題は実は簡単で、市役所は本来、新しい住宅地に防犯灯を設置すべきなのです。難しくなっているのは、市役所は、法的根拠のない行政指導によって、防犯灯設置を住宅地開発業者に求め続けているためです。事業者は法的根拠がない行政指導には従う義務がないため、防犯灯を設置しない。この結果、住宅地に防犯灯が設置されていない状態が続いています。
 市役所は、「行政指導に協力すること」と「防犯灯を設置すること」で、「行政指導に協力すること」を優先しているのですが、繰り返しになりますが、このことに法的根拠はありません。まず、行政指導による行政の実態と法律との関係を明らかにし、その対応を正していきたいと考えています。
(質問) 
 質問は二つで、「街路灯、防犯灯の事業者負担の法的根拠」「開発行為の手続き・基準を定める条例制定の考え」です。まず、第一の質問「街路灯、防犯灯の事業者負担の法的根拠」です。
 ふじみ野市内で、数件の住宅開発された区域の道路に防犯灯がついていないところがあります。担当部門に問い合わせたところ、「開発事業者が防犯灯を設置しない」とのことでした。ふじみ野市開発行為等指導要綱では、「第19条 街路灯、防犯灯等の保安施設については、市と協議の上、事業者の負担において整備し、市が必要と認めるものについては、無償提供するものとする」とされています。この条文に、従っていない状況のようですが、法治国家でありますので、事業者が従うか従わないかは、法的根拠の有無によると考えます。事業者がこの条文にしたがわなければならない法的根拠についてうかがいます。

 (回答要旨)
 街路灯、防犯灯については、開発事業者の負担で設置することを指導しています。
 なお、開発事業者が防犯灯を設置しない場合には、開発事業者が居住者に対し、その旨を真摯に説明することと指導しています。
 行政指導要綱に基づく行政指導の内容については、事業者の費用負担の法的根拠はありません。
 防犯灯設置に協力していただける事業者と、協力が得られない事業者が存在することで、住宅地内の生活環境に違いが出てしまうことが課題と認識しています。

 (所感)※再質問の時間はありませんでした。
 「指導が空文化している」「街路・防犯灯が設置されていない箇所が存在する」という現状があります。行政は法によって行われるものです。法的根拠がない行為を継続することで、市民にとって不利益な状況が何年にもわたり、続く状況は、現代行政において、ありえません。職員のみなさまにとっても忸怩たるものがあるのではないでしょうか。防犯灯は、犯罪が起きてから設置するのでは遅いのですが、既に昨年、隠き配の荷物の盗難事件も生じている箇所もあります。危機管理、安全、公平の観点から設置されなければならなりません。
 
(以下しばらく法律論)当たり前なのですが、回答で、「事業者の費用負担の法的根拠はありません」でした。この回答によって、議論は、「行政指導」の範囲内となりました。
 
回答で、防犯灯については、開発事業者の負担で設置することを指導している」とされていますが、行政指導要綱では、「市と協議の上」という条件が付されています。つまり、「協議が整わない場合、事業者の負担とする」ことはできません。回答では、この「市と協議の上」に触れませんでした。
 なお、後で確認したところ、市の職員は慣習で行っているためか、市の行政指導要綱に「防犯灯を設置すべき」と書いていると勘違いしていました。

 ここで問題となるのが、行政手続法第35条第一項(ふじみ野市行政手続条例第33条も同様)のきまりです。
 第三十五条 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。
 この条文内容が事業者にどのように示されているか確認が必要です。

 今回の回答で、初めてわかったことは、市役所が「開発事業者が防犯灯を設置しない場合には、開発事業者が居住者に対し、その旨を真摯に説明することと指導」していることです。防犯灯の設置は、「市との協議」が前提でしたが、「設置しない」と表明した事業者に、居住者への説明を求めているということです。
 これも後で確認したのですが、市の職員は慣習で行っているためか、この「居住者への説明」が「市の行政指導要綱」に明文化されていると勘違いしていました。

 ここで問題が4つあります。
 まず、行政指導については、あくまで「任意の協力」を求めるものなのですが、この「居住者への説明」という指導が、「市との協議」で協力しない事業者に更なる指導を行っている点です。指導に従わないなら更なる指導という構図になっている。これは道理に合いません。これが認められるなら、幾重にも、指導(任意の協力を求める)をし続けることになります。
 次に、「事業者に、居住者への説明を求める」指導について、上の行政手続法第35条の「趣旨、内容、責任者」の説明を行っているか、ということ。
 第三に、行政指導という行政手続についての関係者への説明を、行政機関が行うのではなく、民間業者に求めていることです。行政手続の説明責任は、行政機関にあるのは自明の理です。行政機関の説明責任の放棄といえる内容です。
と思います。
 四番目に、「事業者に、居住者への説明を求める」ことは、行政機関の任務や所掌事務なのか、という問題があります。行政手続法第32条には、
第三十二条 「行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」
とされています(ふじみ野市行政手続条例第30条も同様)。

 市役所は、その後、自ら防犯灯を設置しない理由について、「事業者が住民に説明していないため」と述べました。「事業者が義務でもないことを説明することが、なぜ防犯灯設置の条件になるのか、論理は成立しない」と考えますので、市役所には引き続き、法的根拠のない行政指導を第一にするのではなく、住民の利益を第一に考えるよう指導してきたいと思います。

(質問)第二の質問「開発行為の手続き・基準を定める条例制定の考え」です。法的根拠を備えるには地方自治体としては条例制定がよいのではと考えます。条例であるならば、市民、そして我々議会も審査成立の過程に関与できます。指導要綱は内部文書の性格ですので、法による行政、を順守する上でも、「開発行為の手続き・基準を定める条例制定の考え」についてうかがいます。
 (回答要旨)
 市開発行為等指導要綱の条例化については、他の法律による諸制度で行う事が適切であると通達されている内容や、防犯灯の設置など根拠となる法令がないものなどを含んでいることから、条例化には慎重に取り扱う必要があると考えています。
 本市の場合は、「ふじみ野市開発行為等指導要綱」と「ふじみ野市中高層建築物の建築に係る紛争の防止及び調整に関する条例」で示す、周辺住民への周知、説明や報告書の提出などを求めることで、他市町の条例と同等の指導が図られていると考えています。
 (所感)
 条例に対する考えが基本として間違っています。最後部に、「他市町の条例と同等の指導」と答えていますが、条例は「法」であり、指導(任意による協力要請)ではありません。
 法治国家ですから、行政は法に基づかなければなりません。市役所が条例に後ろ向きなのは、条例に「防犯灯設置」に関する条文を入れることに、躊躇しており、現行の「行政指導」という「お願いベース」が使い勝手が良いからでしょう。防犯灯の設置を明文化した条例は、朝霞市、横浜市、鎌倉市などに存在します。法による行政の例として、指摘しておきます。
 防犯灯の設置には、不透明な行政を克服する上で、設置基準を策定することが必要です。神戸市は、防犯灯の設置基準、20メートルおき、という内容を設けています。市民にとって、どういう場合、設置され、どういった場合、そうでないのか、わかることが必須です。透明性、一律性、公平性が確保され、ブラックボックスの中の手続きは回避され、市民の信頼を得ることができます。
 私の本意は、行政指導を否定するものではありませんが、上に述べた「住民への説明」指導は行き過ぎだと考えます。法的根拠のない「行政指導ファースト」の行政ではなく、住民が「防犯灯がないこと」で不利益を被っている状況を「市民ファースト」で早急に解消してほしい。市民の「税金で公僕として育ててもらっている」(垂秀夫前駐中国大使)のですから、市民にきちんと奉仕してほしい。市民ファーストの考えで、「困っている市民の問題をどう解決するかを出発点にし、どう解決したかを帰着点にしていただきたい」と思います。
 
 
 
 

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