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肩書きが国民プロデューサーから亡霊になった、哀れな限界サラリーマンの追憶

はじめに

毎週木曜日、21時からリアタイでPRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS(女子アイドルサバイバルオーディション番組)を見て、坂口梨乃の「分量(いわゆる取れ高)」や「順位」に一喜一憂する国民プロデューサー生活(視聴者投票制度)から解き放たれると同時に、惜しくもデビュー圏内次点12位でデビューを逃してしまった坂口梨乃の亡霊(惜しくもデビューを逃してしまった推しのことをいつまでも考えてしまう存在)となってしまったアラサーサラリーマンである僕が、備忘録として、PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLSにどのようにハマってしまったか、何が僕をそうさせたのかを時系列順に綴っていきます。

エピソード1-顔見せ〜レベル分けテスト(96名→96名)

熱量:3くらい
当時の推し:海老原鼓笠原桃奈

正直、人が多いなと思っていました。
取引先の人間の名前も覚えられないのに、96人を一度に紹介されても愛想笑いしかできませんでした。
ながら見しかしていないので、めっちゃ歌上手い!とかめっちゃダンス上手い!みたいなタイミング以外はそこまで真剣に視聴していませんでした。
真剣視聴タイミングは下記

海老原鼓の圧倒的な歌唱力

歌が上手い子にめっぽう甘いボイストレーナーのイ・ホンギ氏が、後に練習生と木村カエラに擦られまくる「なになに〜?」を発動した記念すべき回でもあります。
「次のパフォーマンス」が素直に楽しみになりました。パフォーマンスで感銘を受けたのはもう1組

笠原桃奈の圧倒的な存在感

すでにデビュー経験のある2人が、果敢にもYOASOBIの「アイドル」のパフォーマンスを披露。歌い踊らせるために書かれた曲じゃねえだろと思って若干同情していましたが、結構耐えてました。すごい。これがハロプロクオリティか。

トレーナー陣からは「プラスアルファが欲しい」みたいなことを言われていましたが、どう考えても曲の難易度のせいなので、こちらも普通に歌い踊り用の曲でバチバチのパフォーマンスを見たい!と思いました。(この時はまだ加藤心氏にはビビっときてませんでした。)

エピソード2-グループ評価(96名→50名)

熱量:65くらい
当時の推し:海老原鼓、会田凛、櫻井美羽

この評価のグループ分けが非常に非人道的なシステムであり、誰が得するん?大丈夫?と番組に対して懐疑的な眼差しを向けながら見ていたので、正直1週目の制服のマネキンまで集中して番組を見ることができませんでした。
(後に推しとなる坂口梨乃は1組目で歌っていたようですが、正直まだ見つけることができていませんでした。今見返してもやっぱり分量が少なすぎたね、、、。)

非人道的なグループ分け

Step1
参加者投票で番組テーマ曲のセンターとなった櫻井美羽以外の参加者から無作為に1名が選ばれる

Step2
選ばれた参加者は、自分がチームを組みたい任意のメンバーを指名する

Step3
Step1-2を、人がいなくなるまで繰り返す
(勿論、トレーナー評価下位の子達が残ってしまう)

Step4
櫻井美羽が、グループ関係なくメンバーを引き抜いてチームを組む(なんで?????)

Step5
Step4によって欠員の出たグループと、Step3の残っちゃったグループが、人数に余裕のあるグループからメンバーを引き抜いて、グループを完成させる(胃が痛い)

制服のマネキン

残ってしまったメンバー」と、その補充のための地獄の引き抜きに巻き込まれてしまった藤本彩花によるグループ。

ダンス経験者が藤本彩花だけだったため、チームのリーダーも任されてしまう展開。
トレーナー評価の低いメンバーということもあり、なかなか振りも入らないなど練習が進まない中、折れそうになりながらもチームをまとめ、ステージを作り上げていく姿に心を打たれました。

パフォーマンス後、藤本彩花を引き抜いた山口愛咲から「指名されて嫌だったと思うけど、一緒にやれて嬉しかった」と言われて、2人で抱き合う姿で頭痛がするくらい泣きました。
この残酷なシステムに泣かされました。悔しいです。
(もう1組は高見文寧がぶちかましていましたが、藤本彩花贔屓で見ていたので真っ直ぐ評価できませんでした。今見返すと意味わからんくらい上手いです。高見さんを認めざるを得ない、と思えたのは、また後の話、、、)

Body & Soul 1組/2組

会田凛の亡霊もまた、大量に現世を彷徨い続けていると聞きます。
PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLSにハマった理由は、間違いなく先述の藤本彩花と、会田凛の存在が大きいです。

Body & Soul 1組は体調不良者が続出し、メンバーが揃わない状況が続きます。
対するBody & Soul 2組は、センター櫻井美羽セレクトの精鋭チーム。

心が折れそうな環境の中、会田凛は前を向いて、ひたむきにメンバーの復帰を信じて、練習をし続けます。

この直後の2人きりでのBody & Soulと、好きな歌詞は「きっと明日はいいことあるはず」と笑顔で語る凛ちゃん、メンバーが揃って、夜通し練習して本番間に合わせる、という流れが完璧すぎました。何度この回を見返したか

櫻井美羽率いるBody & Soul 2組は、そんな1組と合同で練習をするなど、ライバル関係でありつつも仲間である、というスタンスがとても素敵でした。後にデビューメンバーになる海老原鼓、櫻井美羽、山本すず、加藤心、佐々木心菜、飯田栞月が集結するBody & Soul 1組/2組は、ドラマとしても、パフォーマンスとしても見どころのある回でした。

2組は、櫻井美羽の葛藤にフォーカスが当たっていました。ちょっとお高く止まってんじゃないの?という周りを寄せ付けないような雰囲気を醸す彼女が、うまくメンバーとコミュニケーションを取れない不器用さを告白して、人間らしい部分を見せてくれるようになります。

パフォーマンスもトレーナー陣から絶賛されるクオリティ。特に海老原鼓はぶっちぎってました。歌が上手い。

このグループ評価の後、人気投票上位50人以外の脱落が決まります。
まあ人気出るやろ的なところしか追っていなかったので、そこまで大きな事件は起きませんでした。

アイドルを歌っていた笠原桃奈と加藤心がワンツーフィニッシュし、界隈が湧きました。
会田凛さんもBody & Soul効果で一気に圏内まで駆け上がります。この番組面白すぎか???

エピソード3-ポジション別評価(50名→35名)

熱量:95
当時の推し:坂口梨乃、加藤心、櫻井美羽

人気投票順位順に課題曲を選んでいくスタイル。上位勢は好きな曲を選ぶことができ、下位勢は選択肢が減っていく、という仕組みだが、前回のグループ分けほどの非道さは感じなかった

飯田栞月の脱クラシック

宝塚デビューを目指していたこと、現役音大生であることから、美しいヴェルカント唱法が染み付いている飯田栞月は、Body & Soulのパフォーマンス中のイ・ホンギ氏「クラシックかな?」発言と、さまざまなネットの声が本人に届いてしまったようで、涙ながら「悔いの残るステージだった」とを振り返っていました。
座右の銘「やればできる」のもと、髪を金髪に染めて再スタートを切り、安室奈美恵のHEROステージに臨みました。

金髪も相まって、眩しくて見えないです。彼女はここから飛躍的に順位を上げ、最終デビューメンバーに残ることとなります。

長年目指して、習得したものを否定され、捨てることはとても辛く、そして勇気がいる判断だったと思います。本当に、心から、尊敬します。

僕がめちゃくちゃハマったわけではありませんが、印象的なエピソードでした。

美人

特別講師ちゃんみなの授業がとても良かった。
村上璃杏にとっては飛躍につながるとても大きなステージだった。(後述の35→20の投票期間に大きく影響を及ぼしたと考えられる。)

おもかげ

本番は編曲でキーを上げすぎて事故りかけていたが、ビハインドはリーダーとして気を張っていた加藤心氏がメインボーカルとして苦悩する中、テルマ姉さんの提案により「誰にも見られてないと思って、やりたいようにやってみな」と言われて部屋を暗くして「影も僕を見ていた、君のことが分かるから」という歌詞と向き合いながら歌って涙を流すシーンで、心を打たれました。

この頃になると本編を待ちきれず、各種SNS、YouTube等で情報収集に勤しむようになっており、加藤心氏の前所属団体とその脱退についての背景やら、笠原桃奈氏のハロプロ時代の映像など自らビハインドを摂取しにいくようになっていたこともあいまって、当時を知ったかぶって泣きました。

石井蘭

あんまり刺さってなかったんですけどこのパフォーマンスでファンになりました。

First Love

ごめんなさい、坂口梨乃をちゃんと認識したのはここからでした。

優勝です。みんなうまい。
高見文寧の圧倒的なヴォーカル力は、グループに必要不可欠であると認めたのもこのステージがきっかけでした(誰目線?)
ただ、その中で一際存在感を放ち、現場票を獲得したのは我らが坂口梨乃でした。

1番Aメロでトレーナー陣が絶賛、サビは一度も歌わずに中低音域を豊かに歌い上げました。

鼓ちゃん、高見さん、そして坂口梨乃。飯田栞月も台頭。ヴォーカル枠が渋滞してきたのもこの辺からでした。

ビハインドも最年長である坂口梨乃が比較的内向的なメンバーを優しくまとめあげ、パフォーマンスだけでなく人格的にも優れていることが伺える内容となっていました。そんな人が14位?!??!おいおいおかしいだろ、デビューすべきだろ、ふざけんなよ、みんな気づけよ、僕も今気づいたけど!!!

そして、第二回順位発表式。
坂口梨乃は順位を落として18位。First Loveのパフォーマンスは、この投票にほとんど影響がないタイミングでの放送だったので、本当の勝負はこれからです。ファイナルに残るための投票が、始まりました。

飯田栞月がここにきて順位を20位まで上げてきます。熱すぎた。

エピソード4-コンセプト評価(35名→20名)

熱量:100
この頃の推し:坂口梨乃、石井蘭、櫻井美羽

投票期間について

投票期間は1週間であり、ポジション評価後コンセプト評価放送前までというタイミングであった。
つまり、タイムラグがあるのである。
このコンセプト評価でどんなに良いパフォーマンスをしたとしても、票に反映されるのはポジション評価までのパフォーマンス

コンセプト評価は最終20名に残ることができるのであれば最終デビュー評価に大きく影響を及ぼすが、上位20名に入れるかどうかボーダーであり、このコンセプト評価で一念発起したいという出演者にとっては厳しいタイムラグであると言えます

コンセプト評価における坂口梨乃ちゃんの立ち回りについて

「小悪魔」ではメインボーカルを務め、その圧倒的な実力を国民プロデューサーに誇示しました。

メインボーカルでありながらもダンスの振り入れなどは先頭に立ち、彼女の実力の高さと人柄の良さを裏付けるビハインドも印象的でした。
パフォーマンス中の清水恵子との絡みが印象的であり、また安藤佑唯とのツーショットもたびたび抜かれ、少しずつではありますが分量が増えてきていました。

別チームである佐々木心菜にも惜しみなく歌唱指導をするなど、もはやトレーナー枠としての出番が増え始めていました。(佐々木心菜には同チームでFirst Loveあたりで懐かれたんでしょうか、とかその背景に想いを馳せ始めるともうだめですね。)

一瞬で中毒

かっけー

このコンセプト評価では、4チームのパフォーマンスが現場投票によって順位をつけられ、得票数が最も多かったチームには順位発表時のアドバンテージを得ます。
現場審査を勝ち取ったグループは

上位勢が獲得する形となったベネフィット

櫻井美羽、加藤心、笠原桃奈、山本すず、会田凛、海老原鼓という直近の順位発表で11位以内であったメンバーと、順位は下降気味ではあるとは言え、初期の11傑メンバーだった田中琴というほぼオールスターチームによるパフォーマンス。

カメラ寄りすぎで良さが伝わりにくいんですけど、フォーメーション移動とか振りがビシバシ揃ってるところとか、そもそもの個々人のスター性、身もふたもないことを言えば固定ファン層の厚さにより1位を獲得。

現場評価による下克上は起きない結果となりました。

波乱の「2pick」

しかし、先述のベネフィットがあるにも関わらず、ここでの順位発表ではほぼ上位層が固定化されていた今までの順位からかなり変動がありました。その背景としては、投票方法の変化がとても大きい要因として挙げられます。

ここまでは11pick、11人の出演者を選択して投票できていましたが、ここから2pick→1pickとどんどん選択権が狭まっていきます。(僕はこの投票期間中は櫻井美羽と坂口梨乃2pickでした。)

この順位発表で坂口梨乃は12位、デビューが見えてきました。ここから「小悪魔」で目立てた事の恩恵を受け、票数は加速する、そう思っていました。

波乱①山本すず14位に陥落
現場ベネフィットを抜くと18位と、かなり順位を落としました。
波乱②村上璃杏、飯田栞月がデビュー圏内に
ここにきて大きく順位を上げる両名。とても勢いがありました。
波乱③その他順位を落とす上位常連メンバー
海老原鼓がベネフィットなし9位、加藤心10位と、下位からの突き上げもあり危うい順位に。

ここから、最後の1週間。デビューメンバーを決める最後の投票期間が始まりました。

最終回-デビューメンバーの決定(20名→11名)

熱量:15089431812(仕事に支障を来たすレベル)
推し:坂口梨乃

そこからの10日間は、仕事が手に付きませんでした。

時折公式から投下されるビハインド動画で坂口梨乃を探し、やっぱりデビューメンバーに必要な存在だよなあ、でも他の子達もとても魅力的だよなあ、ここまで残ってる20人、誰がデビューしてもおかしくないんだよな、つまり誰が落ちてもおかしくないってわけで。2pickで12位、喜んでいたけど1pick梨乃ちゃんってこの中にどれくらい含まれているんだろう。もう1人選ぶなら梨乃ちゃんかな、という層が多く占めているなら、最終順位めっちゃ落ちちゃいそうだな、他の上位メンバーが落ちてくるから上がるだろ。という単純な話じゃないんだなあ。梨乃ちゃんがデビューメンバーに入るためには現在の11人から少なくとも1人は脱落するわけで、でも、脱落しそうなメンバー、いなくない?もはやみんな好きなんだけど。落ちてほしくない。でも梨乃ちゃんはデビューしてほしい。もう20人でデビューしたら?乃木坂みたいにアンダーと選抜みたいな形で入れ替え制度にしちゃえばいいじゃん。一生投票させてよ。お金落とすからさ。でもやっぱり国内はそれでいいかもしれないけどグローバルで活躍するためには違うんだろうな。グローバルで活躍ってそもそも何?グローバル視点持つなら高身長バキバキパフォーマンスの梨乃ちゃんは必須なんだよなあ。じゃあデビューすべきだよやっぱり。まあ僕が1人思い悩んだところで何も変わらないんですけどね。ああ、どうなるんだろう最終順位。なんかダメな気がする。桃奈蘭美羽は確定として、璃杏、文寧もほぼ当確。飯田栞月も勢いがあって、心とすずは救済票がいきそう。これで8人。あと三枠だから鼓、凛、清水恵子、心菜、、、えっもう枠ないじゃん。てか清水恵子や心菜と枠を争わないでほしい。一緒にデビューしてくれ。けどそんな枠はない。枠増やしてくれ頼む

ということを毎日考えて、各種ワンピック調査、個別YouTube再生回数、支持母体の大きさを示すファンダムのフォロワー数などをチェックする日々。んーーーー厳しい。14位くらいのフィニッシュな気がする、、、。

想像以上

坂口梨乃はデビューすべきだ

前日までの弱気な自分を恥じました。彼女はこんなにも堂々とパフォーマンスをしているのに。眩しくて見えねえ。目が潰れた。

それにしてもこのステージは櫻井美羽が無双してました。ファイナルに寄せてそれぞれかなりパフォーマンスを仕上げてくる中で、強い輝きを見せて観衆を魅了するカリスマ性、スター性を感じます。番組を通じて彼女は、本物のスターになったのだと、個人的に胸熱ポイントでした。

笠原桃奈もここにきてメインボーカルに立候補。ここまで圧倒的な分量のなさだったが、最後は自ら分量をもぎ取るという圧倒的強者ムーブをかましました。かっけえ。みんなすげえ。

行くよ、想いは時を超えて

木村カエラ氏作詞の新曲を、ファイナリスト20名で歌ってくれました。
坂口梨乃ちゃんの歌声は安心安全です。レベチです。落ちないで欲しい。てか誰も落ちないで欲しい。

(でもやっぱり20人は多いね、、、)

語り尽くせない未来

櫻井美羽→笠原桃奈のセンター交代演出、山本すず、海老原鼓、坂口梨乃のソロパートと、初期から追っている人からするとたまらない、ラストに相応しい素晴らしいステージでした。
坂口梨乃のソロパート「語り尽くせない未来」は他の人には歌わないで欲しいんですけど、強いて言えばその枠が今後は佐々木心菜になったらいいなと思っています。

坂口梨乃最終順位、12位

終盤は、何か悟ったような、諦めに近いような雰囲気を醸しながらも、笑顔を絶やさなかった梨乃ちゃんでした。強い。強すぎるが故に、苦悩や葛藤にフォーカスがいくオーディション番組との親和性があまり高くなかったのかもしれない。

けれど、坂口梨乃は、オーディション期間中に惜しみなく出演者に自身の技術を、マインドを、伝えて高め合っていた。
カメラに映らない部分でもきっと、そういう立ち回りをしていたのだろう。
それはデビューメンバーの血となり、肉となり、ME:Iのパフォーマンスの中に生き続けていくんだと思う。そう思いたい。

こうして僕は、成仏されないまま、坂口梨乃の亡霊になった。

今でも僕は、彼女の追加加入をどこかで期待してしまっている。


2023年12月23日 すみお

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