今回は、子どもの受験勉強にヤキモキされている親御さんにNHKの「ウワサの保護者会」の中から、とある回の放送を紹介致します。

「ウワサの保護者会」とは、教育評論家の尾木直樹さん(通称尾木ママ)が思春期のお子さんの親御さんを呼んで、教育や子育てのあり方について、お互いの経験談を踏まえて話し合っている番組です。

今回紹介したいのは、「親の受験ストレス」というテーマなのですが、個人的には今までの放送の中で一番の"神回"だと思っています。

https://www.youtube.com/watch?v=c3hvZvergqI&feature=share
(こちらのURLから番組の内容が見られます)

この放送では、ついつい子どもの受験勉強に積極的に手助けしようとするお母さん達が多く、「自分が過去に受験勉強しなくて失敗した事があるから、子どもにも同じ失敗して欲しくない」とか「高校行くのは当たり前で、少しでもレベルの高い学校に行く事が良い」という理想を持っているのですが、子どもは理想通りに勉強してくれなくて困っている、という話をしていました。そして、「そういった理想に導いてやれるのが良い親だ」とも言います。

そこで、子どもの主体性を尊重するお父さんは、高校受験を控えた子どもに対して
「高校は義務教育ではない。まず行きたいのであれば行きたいと言ってくれ」というところから子どもと話します。そして子どもが行きたいと言ったら「じゃあ何のために行くのか？」「楽しむために高校に行きたいと言うのなら、あなたにとって楽しいって何？」と哲学的な対話をするそうです。周りのお母さん達はそれを聞いて「面倒くさい」と感じているようでしたが、お父さん曰く「子どもに自分の将来の事を考えて欲しい」からやっているというものでした。

それでも、お母さん達は「自分達の親もそうやっていたから、それをするのが当たり前だと思っていた」「良い高校・名のある高校に行けばその後の選択肢が広げられる」と言います。

ただこの意見に対して、お父さんは「選択肢が選択肢がと言ってずーっと上を目指しているだけだから、選択肢なんて別に広がっていない。選択肢を広げる目的は、最終的に良いところに就職するためだ、と思うかもしれないが、私自身が企業側で面接を担当した事があり、どういう人を採るかといえば、
"一生懸命親の言う通りに受験で頑張ってきました"と言う人は採らない」と言って、周りのお母さん達が驚いていました。


確かに、親が子どもの幸せを考える時に、
お金に不安のない生活を送って欲しい、そのためには良い大学に行かせる必要がある、そのためには良い高校、良い中学に合格させてたい、その為に受験勉強を頑張らせると思うかもしれませんが、長期的に見た時に、子どもが自ら考える機会を奪ってしまい、良い企業の就職面接の際に不利になっている、ということでした。


それでもお母さん達は、子どもに失敗させたくないから我慢できずについつい動いてしまう、とも言っていました。ここでまたお父さんの金言が出ます。

「そうやって失敗しない子が大人になった時、失敗出来ない大人になる。だから失敗は若いうちに沢山やっておくべき。」


いやぁー、この人には勝てないなぁ、と思いました。


私自身の経験で置き換えますと、幼少期から母親に「大学に行けば自分の好きな勉強が出来る。」と言われ、それが人生の目標となり勉強してきました。しかし、大学に入ってみると「全然好きな勉強が出来ないじゃないか」と母親を恨みました。また、それまで"勉強させられていた"ため、ストレス性のアトピーで肌がボロボロになるほど勉強嫌いになっていたし、大学進学が人生の目標になっていた為、大学に入ってから目標を見失い、現実逃避で週6でパチンコに通うほど自堕落な学生生活を送っていました。子どものうちから受験の合格を意識させすぎると、子どもの中でそれがゴールとなってしまい、入学してから苦労するケースは私以外にも経験した人が多いと思います。


また、私が学生時代に塾講師のアルバイトをしていた際も、勉強したがらない生徒をついつい説教して、無理矢理勉強させてしまう事もありました。もっとちゃんと子どもの話を聞くべきだったなぁ〜、と反省しております。今でこそ、子どもの主体性を促すために待つ我慢が出来る様になりましたが、ついつい教えすぎてしまう事もあるので、まだまだ修行が足りないなぁ〜、とも思っています。


これを初めて見た時には、私は今まで培ってきた価値観が誤っているという事を感じさせ、心を打たれた気分になりました。


過ぎたるは猶及ばざるが如し

よくできた言葉ですね。何事もバランスが大事であると思い知らされました。


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