見出し画像

マッキンゼーレポートから機械・FA事業の市場トレンドを読み解いてみたPart1

前回の記事では、僕がパナに入社した理由について書きました。

今回は、今の仕事である機械・FA事業の商品企画として自分がやるべきことを整理するために、マクロ的な視点で今後の市場動向を整理してみます。


機械・FA事業のエコシステムに影響を与える、注目すべき2つのトレンド

現在、機械・FA事業は、3DプリンタやIoT、インダストリー4.0などなど様々なトレンドにより、業界自体が大きく変わってきているのはみなさんご存知の通りです。

ではそういったトレンドは具体的にどれくらいのインパクトがあるのか、それを知るために今回はマッキンゼーがネットに上げているレポートを読み解きたいと思います。ちなみに無料です。このボリュームを無料で読めるのマッキンゼー様様ですね…

その中で、特に注目すべきと論じられているのが、「Shifting growth patterns(成長パターンのシフト)」と「Increased pace of degitization(デジタイゼーションのペースの向上)」です。

画像1


今回はその二つのトレンドの一つ「Shifting growth patterns(成長パターンのシフト)」をまとめてみたいと思います。

①Shifting growth patterns(成長パターンのシフト)

画像2

①-1「ソフトウェア、アプリプロバイダーの成長」

機械産業におけるOEM、SIerや制御機器メーカーといった様々なセクターの中で、ソフトウェア、アプリプロバイダーはCAGR(年平均成長率)では、2012〜17年の間で6.7%の成長率を出し、また、EBITについても全セクターの中で最も大きい数値(11.6)となってます。

CAGR:年平均成長率。複数年にわたる成長率から、1年あたりの幾何平均を求めたもの。
EBIT:支払金利前税引前利益。税引前当期純利益 + 支払利息 - 受取利息

画像3

ウチの会社も現場プロセスイノベーションを掲げ、ハードだけでなくソフトを含めたソリューション提案を行うことを宣言していますし、大きな流れです。

①-2「アジア圏の台頭」

次にアジア圏の台頭について。こちらは別のマッキンゼーレポートにアジアについて詳しくまとめられたものがあったのでそっちを見てみます。こちらは世界でのアジアの存在感について述べられており、今後アジア内で強力なネットワークが形成されることを予想しています。

まず、規模としてアジアは2040年までには世界のGDPの半分以上を占め、世界の消費の約40%を担うと見られています。
また、1つの特徴として、産業化のポテンシャルが挙げられています。製造業部門の雇用は、通常、経済が1人当たりGDPが10,000〜20,000ドルに達した後、総雇用のうち約30%でピークに達する傾向があるそうですが、多くのアジア諸国は、製造業の雇用がまだ15〜20%であり、さらなる産業化の大きな可能性を秘めていると言えそうです。

画像4

やはり、中国、Emerging Asia(新興アジア)、Frontier Asia and Indiaのポテンシャルは目を見張るものがあります。

それだけのポテンシャルがある上に、更に消費の増加、各国内のバリューチェーンの成熟、世界貿易に関する不確実性だったり、様々な要素が絡み、今後アジア内で独自のサプライチェーンが形成されていくと見られ、そのインパクトは非常に大きいです。
アジア内サプライチェーンの動きは数字にも表れていて、先進アジアと中国はインドや東南アジアなどの他アジア地域に多額の投資をしており(アジアのベンチャーキャピタル資金の約70%はアジア地域内)。例えば、電子機器事業のハブとなっているベトナムは、2013 から 2017年の間 韓国からFDIのうち79 %もの割合を、投下されたことが大きいです。
とは言え、新興アジア内でのつながり自体も引き続きまだまだ強いです。

これらがより進むと、アジア内のマルチローカルネットワークが形成されてきそうです。

そして、アジアを語る上で外せない中国についてもまとめられていたので触れます。

画像5

中国は世界のアジア向けFDIのうち35%を占めており、世界の大きな注目や期待を背負っているのは確かです。

FDI:投資先企業の経営を支配したり、企業経営に参加したりする目的で行なう外国直接投資のこと。

しかし、中国製造2025に見られるように従来の投資インフラ主導の経済から、消費主導型へと移行しつつあり、総資本形成が横ばいになっていることから、今までのような強い需要に若干の陰りが見えてきています。

総資本形成:民間及び公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体、家計の生産者としての支出(購入及び自己生産物の使用)のうち、中間消費とならないものであり、在庫品増加と総固定資本形成からなる。

この様に、アジアと一括りにしてもその動きは様々で、アジア地域内の個々の都市のレベルまでの微妙な違いを理解する必要があります。
それこそインドやフロンティアアジアにある政治的文化的対立の様な、それぞれの文化も踏まえた戦略を考えた上で、アジアでできるマルチローカルネットワークに上手に入っていかなければなりません。やはり人類学や行動科学を含めた政治的文化的理解は必須だと思います。

以上がマッキンゼーレポートから読み解ける「Shifting growth patterns(成長パターンのシフト)」です。もう一つのデジタイゼーションについては次回まとめます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?