ぬるくなったコーヒーと失恋の話

日をまたぐ少し前、
10分だけの短い電話をした。

「ごめん」の一言に何にも言えなかった。

「あなたは今まで出会った誰より優しい」

その言葉なんてひとつも望んでいなかった。

わたしはあなたに「ごめん」といって欲しいわけでも、「優しい人だね」と思われたかったわけでもなかった。
「わがまま」でもなんでもいいからあなたの好きな人になりたかったのだ。

でもその回答があなたなりの優しさなのもわかってた。わたしを傷つけたくなかったのも知ってた。

その優しさに腹が立ってしまう自分がすごく嫌だと思った。
昔のわたしならその自分をきっと責めたと思う。

でも今回は違った。
ちゃんと自分に頑張れたことを褒めてあげられた。
ちゃんと自分の気持ちを真っ向から受け止めてあげられた。

でもやっぱりこの気持ちは誰かに話したかった。

深夜0時。

わたしがふと連絡したのは親友でも、家族でもなく、なぜか、an excuse,のゆいとくんだった。
「明日どうしてもan excuse,にいきたい」と思った。

ゆいとくんは「ティッシュを用意して待ってます」といってくれた。

"an excuse,"がみんなに愛されるわけがわかった。
なんかそれがわかっただけで胸がいっぱいだった。

ここではどう話したっていい。
きっと泣いてもよかったし、もっと怒ってみてもよかった。
でもわたしは話す時笑うことを選んだ。
それがわたしらしいことだと思ったから。

あなたを最後まで嫌わないことに決めた。

わたしが帰る間際、
ゆいとくんがわたしに、

「なんかあったら日曜日俺がチームラボいくんで連絡ください」

と言った。

"「コーヒー」を挟んで誰かに会う言い訳"がどこかで欲しかった。

この世界は優しい。捨てたもんじゃないよ。

7/2

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?