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未来へ”酪農”を残すために。高秀牧場の循環型酪農とは。

 北海道のような広大な景色が広がるのは、千葉県いすみ市にある高秀牧場。今回は、高秀牧場の馬上温香(まがみ・はるか)さんを取材させていただいた。

高秀牧場は、酪農だけでなく、チーズの製造やジェラートの製造、菓子の製造なども行っている。さらにカフェも併設しており、牛を見ながらジェラートをいただくこともできる施設だ。

そんな高秀牧場のホームページを拝見すると”循環型酪農”と言う文字が目立つ。
循環型酪農とは一体どんな酪農なのか、馬上さんにたずねてみた。

書き手:岡優成

高秀牧場
高秀牧場は、いすみ市の大自然の中で約150頭の乳牛を飼育している酪農牧場です。広大な敷地を持ち、東京から2時間半でまるで北海道のような雰囲気を味わえます。自然資源を無駄にせず、循環させていく「循環型酪農」に取り組み、街の活性化と食の安全に貢献しています。
引用:高秀牧場HP https://www.takahide-dairyfarm.com/

牛は1日に50kgほどの餌を食べるそうだ。そのため排泄物の量も多く、酪農において糞尿処理が1番の課題だという。循環型酪農では、牛の排泄物から堆肥を作って自社の畑や地域の田んぼに入れることで、牛の餌となるとうもろこしや牧草、稲などを育てている。そして、そこで育てられた農作物が牛の餌となる。これが循環型酪農である。

高秀牧場は、広大な敷地を生かし、自社で牛の餌を育てるための畑を持っているのが一つの特徴だ。しかし、当初から牛の餌を全て自社で作っていたわけではないそう。どのようなきっかけがあり、今の循環型酪農というスタイルに落ち着いたのだろうか。

「あの時、牛の餌のためのとうもろこしがなくなって値段がすごく高くなったんですよ」
と馬上さんは話す。それはバイオエタノールの発明だったそうだ。当時、餌のほとんどをアメリカから輸入していた中、アメリカの大農家がとうもろこしを牛の餌として出荷するよりもバイオエタノールの燃料として出荷するほうが買取価格が高いため牛の餌として出荷されなくなった。馬上さんの父の「海外に頼っている酪農ではだめだ」という想いのもと、堆肥を作る施設を近隣の酪農家と共同出資で作り、餌を自分たちで作るスタイルに落ち着いた。

餌を買わなくていいのでコストが削減された一方、労働的な大変さは増したという。さらに最近ではトラクターを動かすための燃料の価格が高騰し、コスト削減のために行っていたはずの「餌を自社で作る」という取り組みのコスト面でのメリットが薄れてきてしまったという。国内での燃料価格の高騰は酪農の世界にまで影響を与えている。

労力が増えていることやトラクターの燃料の価格が高騰し、自分たちで餌を作ることのコスト面のメリットが薄れてきてしまっている現状だが「餌は自分たちで作っているからこその安心感はある」と馬上さんは語る。世界では紛争が続いていたりする不安定な世界情勢でいつ餌が入ってこなくなるかがわからない中、その心配をしなくてもいいという心理的なメリットは大きいそうだ。

「将来的には地域で餌を作る仕組みを整えたいんですよね」

馬上さんは、より低コストで酪農を未来に続けていくための方法について前向きに試行錯誤を重ねている。餌の生産がハイコストで労力もかかるため、地域で餌を作り各酪農家に分配する仕組みを整え、地域全体で酪農という産業を支えられるようにするのが夢だそうだ。

そして、未来に酪農を残すためにもう一つ、課題に感じていることがあるという。
それは、「酪農現場と消費者がまだまだ遠い」ということ。食べることは生きることの根源であり、消費者にもっと目を向けてもらう必要性を感じている。そのような想いもあって高秀牧場では酪農体験をすることができるのだ。

酪農体験では約2時間の間で、牛や酪農の話を聞き、牛と触れ合い、乳搾りを行い、バターを作るというもの。たった2時間の間でこんなにもたくさんのコンテンツがある高秀牧場の酪農体験。筆者の興味をそそられる。さらにカフェも併設されているため美味しいジェラートをいただくこともできるのだ。

「消費者と距離が近い場所になりたいんです」
という馬上さん。高秀牧場にジェラートを食べにきてくれた人の一部でも牛に興味を持ってくれて酪農体験に参加していただいたり、酪農体験に参加していただいた人の中でもっと深く学びたいと思ってくれた人をインターンとして採用したり、「100万人きてくれた中でたった一人でもそういう人がいたら嬉しい」と馬上さんは語ってくれた。

”食べることは生きることの根源”
酪農は私たちに大切な何かを教えてくれるのかもしれません。

後編記事はこちら

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高秀牧場ホームページ : https://www.takahide-dairyfarm.com/
牧場体験 : https://www.takahide-dairyfarm.com/experience/


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